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2010年11月19日金曜日

英語初級講座 番外編

  •  Thu, Nov 18
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  • 05:19  RT @BebsonJP: 奥出先生の英語教室は生徒さん達に対する愛情に溢れているのに、今日は少しチャチャを入れてしまった。御免なさい。http://bit.ly/clG660
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  • 05:22  @BebsonJP 奥出です。厳密なコメント有り難うございます。おっしゃるとおりです。僕の師匠の鈴木孝夫の理論もその通りです。英語をきちんと発音する練習の時間があれば別の勉強をしなさい。上手に発音してもスパイと思われます、とか教えられました。なのであまり気にしませんでした。
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  • 05:24  いま僕がおこなっているレッスンはアメリカ人とか英国人のように発音するためのエクササイズではなく、聞き取りのエクササイズです。ローマン・ヤコブソンが確立した音韻論に従って発音の練習をしていくと、確実に聞き取れるようになります。
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  • 05:26  喋る方はぶちぶち切れている感じで発音も日本人の英語のままです。ですが、それで実用には十分です。発音の学習には臨界期があるので、小さいときに学ばないと無理です。でも第二言語なのでそれで構わないと思います。音素ではなくて音韻で筋肉トレーニングすると確実に聞き取れるようになる。
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  • 05:28  あと、英語からの情報だけでは不足というのはこれも鈴木孝夫の理論で、SFCはいくつかの言語を第1外国語としておしえるという体制を作りました。英語を思い切って廃止するというのが鈴木先生の案でしたが、ここを徹底できなかったことが残念に思います。英語だけに頼っていては世界は見えません
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  • 05:30  韓国語、インド・マレー語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語(付記:アラビア語、失礼しました)が学べる体制にしました。こうした言語を学んだ学生から素晴らしい活躍をしている卒業生を輩出しました。ですが、これも第二外国語というゆるい基準をかえない教員も多くて、残念に思っています。
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  • 05:32  20年前はグローバル化がいまのような多極化になるとは想像すら出来ず、ベルリンの壁が崩壊したとはいえ、まだ共産主義の国がありました。それこそ何百年ぶりに西洋の存在が縮小している、とくに英米の影響が200年ぶりに薄くなっている現在、英語圏からの情報だけでは分からないのも事実です。
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  • 05:33  イタリアや中国は英語なんて関係ないという生活をしている人が多く、でも結構生活もモダンです。英語をつかって勉強してきた学生を大学院で教えていると、なんでもざくっとした抽象レベルでしか理解できなくて、むむっと思います。
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  • 05:36  その反対に、母語があって英語がまあそこそこで、日本語を覚えた学生のblogをみると可愛い表現になっていて嬉しく思うこともあります。科学哲学者ポパーのいう不可共約性を分かった上でコミュニケーション行為を行う。ここがポイントだと思っています。基本的に分からないし伝わらない。
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  • 05:38  これは鈴木孝夫の師匠でありのちに鈴木孝夫から破門する(弟子が師匠を破門したのは僕くらいだと言っていましたが)井筒俊彦が自分に問いかけたことでもあります。多言語を扱う天才であった井筒氏にして不可共約性を感じていたわけです。で話はリンガフランカに戻るわけです。
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  • 05:41  鈴木孝夫はラテン語は簡単にまなべるが、ギリシャ語はその言葉を知っている神父とかそう言った人から学ばないと分からない、と自分の経験を引用して、リンガフランカの説明をしたことがあります。彼がイングリックという造語をつくったのも、英語をリンガフランカへという狙いからです。
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  • 05:43  そこまでわかっていて何故英語なのか、ということですが、これは福沢諭吉のやせ我慢としかいいようがない。使わざるを得ないからやせ我慢をして使っている。もう一つ不可共約性に関しては、西脇順三郎氏の話もあります。ノーベル文学賞候補にもなった詩人の西脇氏は鈴木孝夫の師匠でもあります。
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  • 05:44  慶應大学の英文科の教授でもあった西脇氏は僕たちが使う現代の日本語の詩的な表現を切り開いた人でもあります。日本語では近代の心性の表現は無理だと英語で詩を書こうとしていた西脇氏はある時萩原朔太郎の詩に出会います。そこにはヨーロッパの伝統的教育を受けていないのに、日本のモダンがある。
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  • 05:46  いま考えれば当たり前ですが、追いつけ追いこせの明治文化のなかでイギリスをみて育った西脇氏にとって、西洋の古典を学び乗り越えるモダニズム(TSエリオットですが)ではないモダニズムをさらっとやってのけた萩原の詩作には驚いた。でそのあと日本語でモダニズムの表現を追求するわけです。
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  • 05:47  ですが、英文学の教師として西脇氏は大きな問題を持っていました。それは英語は英国人にしか表現できない言語だから、英国人でない我々が英語を表現するときはかならず英国人が一度表現したものでなくてはならない、としたことです。こんなことを言われてしまっては受け身の学習しかできません。
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  • 05:51  自由闊達に詩を書いた西脇順三郎氏にして、このコンプレックス。英語が上手くなればなるほど、自分がイギリス人でないことを呪っていました。日本が高度成長をして功利主義的な視点からは先進国に追いついた現在、この思いは大衆化しています。英語学習が容易になったからです。
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  • 05:54  したがって、品性と知性のある多くの若者はアメリカ人やイギリス人になどなりたくないわけですから、英語を学びません。それで良いと思っています。大学で教えるほどの価値はない、というのが鈴木孝夫の主張でした。昔は自動車の運転は大学でおしえていた。でもいまは教習所だ、というわけです。
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  • 05:59  非英語はしっかりと教えるところがない。だから大学で教える。実際非英語の語学教師の多くは、英語以外の言語を学ぼうと思った時点ですでに知識人です。大学で若い貴重な時間を英語学習にすごすのは無駄です。でも他の言語を直接学ぶことは尊い。知恵は師匠からしか学べませんから。
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  • 06:01  鈴木先生がもう一人よく言及していたのがシンガポールのリー・カン・ユーです。かれも英語をきちんと話すと植民地支配に屈したと思われるとシンガポール的英語で話すことを主張してそれを国策にして教育に組み込みました。これはいわゆるシングリッシュといわれている民族英語ではありません。
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  • 06:03  論理的な普通の英語です。しかしイデオロギーは英国人のものではない英語、です。彼の理念が家庭では母語、ビジネスや教育は上に上がるに従って英語というシンガポールの体制を生みました。ですが、独立を勝ち取った世代の次の世代のトップの層の多くはリー・カン・ユーのイデオロギーを感じていない。
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  • 06:05  ただしいアメリカ式あるいは英国式発音を子供に教えようとしている。そしてうまくいくと、シンガポールを去っていってしまいます。知人のシンガポール政府の高官は「自分の息子は中国語を喋るが、言葉だけで文化がない」と嘆いています。
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  • 06:06  僕はエリート選抜競争にあぶれた中産階級シンガポール人から新しいアジアモダン文化が育つと思っていてあんまり気にはしていませんが。というわけで、基本的に英語を英語文化を学ぶために勉強するというヴァナキュラー英語の立場を僕はとっていません。
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  • 06:08  リンガフランカとしての英語。発音は音韻レベルで調整。表現もラテン語のように簡単に。これが基本です。他の言葉がリンガフランカになればそれを選べばいいが、現状ではやせ我慢で英語というわけです。まあここは綱渡りなんですけど。
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  • 06:10  現在シンガポールは普通話を英語に次ぐ第二のリンガフランカにという動きがあります。母語としての中国語といいつつ、方言を無視して普通話を教えてきた。30年も経っているので結構普及した。ところがそう言ったとたんに中国語教師たちがデモをした。ヴァナキュラーとしての言語は強いです。
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  • 06:19  特定の言語をリンガフランカとするといつもヴァナキュラーとしてその言語を使う集団と政治的文化的な軋轢が出る。ここと綱渡りをしながら生きていくのが多極化する21世紀かと思います。ラテン語のようにだれのものでもない言語に英語はなってしまえばいいと思います。
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  • 06:22  その意味でヨーロッパで非英語圏の人がつかう英語はリンガフランカとしての英語に踏み出しているなと思っています。まあ発音にかんしては、100%リスニングの為の方法論であって発音矯正ではないというところを確認してこの話は終わりにします。英語達人の國弘氏だって日本人式英語発音でしたから。
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  • 補遺:
  • 07:40  すまぬ。奥田先生のアラビア語と文明論社会論は井筒先生の神秘主義中心のイスラム紹介とは違いますが、素晴らしいよね。@karim26 蛇足ですがアラビヤ語も学べます RT @NaohitoOkude: 韓国語、インド・マレー語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語(後略)
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2 件のコメント:

  1. 『まあ発音にかんしては、100%リスニングの為の方法論であって発音矯正ではないというところを確認してこの話は終わりにします。』

    冷たい現実を申し上げますと、自分で発音出来ない音を聞き取る事は、本当は出来ません。
    ですから生徒さん達にRとLの音の違いを聞き取らせようと思ったら、彼等にRとLの音を正確に出せる迄、発音矯正させなければならないと思います。私も歳を取って少し耳が硬くなってから韓国語を学んだ時には、個人家庭教師に付いてリウルの音が出来る様になる迄、発音矯正して貰いました。


    『特定の言語をリンガフランカとするといつもヴァナキュラーとしてその言語を使う集団と政治的文化的な軋轢が出る。ここと綱渡りをしながら生きていくのが多極化する21世紀かと思います。ラテン語のようにだれのものでもない言語に英語はなってしまえばいいと思います。』

    ワーッ!これは、これは!正に私自身が言いたかった事でもあるのですね。その為に、欧州共通言語を作る《Ido語運動》に加わって、英語の教科書まで作ってしまいました。http://www.geocities.jp/hochfeld/ 私の英語教科書から、本国人によってスペイン語とイタリア語の教科書も出来ております。日本人の方で興味のお有りになる方は、著作権フリーですので勝手に翻訳、改変して御自分のホーム・ページに載せて頂いて構いません。現在の所は世界中の殆どの(頭の悪い?)人間達に冷笑される言語ではありますが、コンピュータで言えば、JAVAを凌ぐRUBYではないかと思っております。多言語の日常会話に困らない私でも、それらの言語で物を書くには、こんな言い方は許されるかな~?、文法的にOKかな?、綴りもOKかな?と、大変な時間を要します。大概、途中で嫌になって止めてしまいますが。Ido語ですと、自分の頭で考えた発想が無理なく表現出来る為に、欧州人同士での素早いディベートや、本国人しか知り得ない裏情報収集に使って重宝しております。英語が嫌いでも、色々な国(今の所、欧州だけですが)の人間と情報交換したい人は、半年で使える様になりますので、チョコッと挑戦してみて下さい。今の所、英語で学ぶとユウのが、何とも皮肉ではあるのですがね。(:-P

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  2. 余計なオマケ:

    韓国語のリウル(ㄹ)は変わった音です。[l]と[r]の間を行ったり来たりします。問題はこれが音節末にある時なのです。私の場合は[l]が音節末にありますと(dark l)と言って如何しても[w]の音に近付きます。韓国語のリウルをこの(dark l)で発音すると、韓国人が『何か違う』と言うのです。それでは(clear l)かと言うとそれも違うのですね。そして何度も何度も私のリウルを矯正するのです。可也の時間が経って、音節末のリウルには、極々僅かな[y]の音が混入されている事にやっと気付いて、少しづつ[y]の音を注入して行くと、多過ぎたり、少な過ぎたり、なかなかOKが出ないのですが、本当に微量の[y]が上手に入り込んだ時に、ニコッとして貰いました。열심(ヨル[リ?]シム、熱心)に練習したお蔭でした。

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