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2011年1月29日土曜日

編集素浪人 "ディオゲネス"さん

  • Fri, Jan 28
  • 18:21  ひょんなことからみつけたAmazonの編集素浪人 "ディオゲネス"さんの的確な書評。とても面白いし為になる。日本女子大の頃よくおはなしした青山 吉信さんの本の評価が高くてうれしかったな。本好きは一読を。 http://amzn.to/e14eeL
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2011年1月28日金曜日

放送と通信の融合の20年を振り返る

  • Thu, Jan 27

  • 07:00  随分昔に、あるプロジェクトでテレビ放送がデジタルになって電波が空いたときにどうするかの基本的な調査を沢山行い、試作もしてみた。どこから電波を出すかも大分調べた。まあ調査はたいていそうだが、結構明るい未来がありそうな結論になった。どうもいまは違うみたいだね。

  • 07:02  さらにその前、そもそも放送と通信の融合がアメリカでもあまり現実的じゃなかった状態からCATVでそのあたりを崩していった流れとそれを前提とした新しい産業の可能性の調査もした。MTVって当たり前にあるけど、最初はけっこう過激なコンセプトだったんだよ。CBSの偉い人と大分勉強した。

  • 07:04  CATVの日本上陸はコンテンツ的には僕はあんまり納得できなかった。またそうした産業を前提とした映像都市構想みたいなものもリアリティは無かった。でもそのころの偉い人たちはハリウッドみたいなことが出来るんだと興奮していた。SONYPanasonicがハリウッドのスタジオを買うころ。

  • 07:38  そのあたりはすこし『経済セミナー』に連載していたが(20年くらい前)忙しくなって中断。結果CATV産業は日本に上陸しなかったが、僕はそれで良かったと思う。アメリカ型のエンターテイメントはゲームも含めてこれでもかこれでもかと刺戟を前に出す。これは強烈。

  • 07:41  CATVは要するにコンテンツ制作と配信の垂直統合をなくすという話だった。おなじころニューヨークでACMの創業者と会った。http://www.amctheatres.com/ハーバードクラブというハーバード大学の卒業生のクラブ。東海岸の名門の生まれだが、中西部的ばんから。

  • 07:43  セオドール・ルーズベルトと同じようなタイプだと思ったが、話は面白かった。ショッピングモールにシネプレックスを導入したパイオニアだが、最初はハリウッドのスタジオは映画を回してくれない。日本でも東宝を始めみな反対していた。彼はそれに抵抗しなかったという。

  • 07:49  上映できる映画であればいいのだと。ショッピングモールは多くの人が来て子供連れもいる。かれらが時間をつぶすために複数のコンテンツを上映する小規模中規模な映画館をつくる。シネプレックスだ。そこに人が集まれば市場が出来る。その市場をもとに映画会社と交渉するという。

  • 07:52  なるほど、とおもった。このプロジェクトは結局日本の映画会社の強烈な反対になって、開発をしている会社は諦めた。そのあと日本ではシネプレックスは普及する。難視聴者対策となったCATVとは違う展開になった。今日本のシネプレックスは第二段階だ。ここを制した映画会社が残る。

  • 08:18  メディア業界の再編は経済モデルや政治モデルと並行して技術革新も関わる。このバランスが非常に大事なのだが、20年振り返ってみると、技術革新というか技術論に問題を絞ってしまう傾向が日本にはある。オーディオも車もそうなのだが、能力のある技術者が「技術論」というか科学主義になる

  • 08:20  MITメディアラボはメディア技術をビジネスに展開する点でかなり強烈でこのころ日本企業はメディアラボ詣でをした。一方で日本進出の動きもあり、その交渉の現場にいくつか立ち会ったが、結局は日本のメディア技術の閉じこめ策だなと感じた。逆に言えばメディア技術国際化の才覚が日本にない。

  • 08:22  サンフランシスコのエクスプラトリウムの日本地方自治体への営業の現場も立ち会ったことがあるがこちらも同じだ。CATVと同じでどちらもまあたいしたインパクトを日本に与えていない。その次にきたのが光ファイバー網の話だ。切っ掛けは勿論通信会社の技術だ。

  • 08:24  その頃(10年以上前)NTTの研究所でテレビをすべて録画して蓄積して自在に番組を選んで別の場所に送信するというデモをみた。いまでは当たり前だが、僕はくらくらときた。放送とか通信とかいうカテゴリーが経済あるいは政治の取り決めに過ぎないと言うことがわかったからだ。

  • 08:26  当時僕はNTTの研究所の非常勤のメンバーだったのでこうしたデモをみたのだが、NTTが解散になってしまう。研究所のメンバーとしてすることがなくなったので、光ファイバーを通して映像を送受信するプロジェクトを提案してその実験を2年半おこなった。といっても技術的にはどうということはない。

  • 08:28  問題は映像を自由に見るということで既存の経済モデルが壊れて多くの人の生活がたちいかなくなるとか新しくビジネスをする人が登場する、ということだった。光ファイバーを使ったこうした実験はまだだれも研究所の外でやっていなかったので、手探りでいろいろと考えた。

  • 08:30  国際的にはいろいろとあったが光ファイバーでやれることは見当がついた。そのころいまでいうオンディマンドでサービスをする可能性を放送局が勉強を始めた。フロリダでシリコングラフィックス社が中途半端な機械で大規模な実験をしていたころだ。NECなど日本のメーカーの方が凄かった。

  • 08:32  光ファイバーの可能性にどうしてあれほど皆夢中になったのかとも思うが、実は光ファイバーはあまっていて(ダークファイバーという)使いやすかった。とくに都市計画を新しくするときにはかならず目的はなくても整備していた。そのあたりを考えて、いまで言うコンテンツのクラウドコンピューティングを構想した。

  • 08:34  これはあるところで現実になっているが、これだけの設備をビジネスにつかわない、というのが現状である。まあ使えないという諸事情もあるのだろう。このあたりのプロジェクトが一段落した頃デジタル地上波の話になった。光ファイバーで全部出来るのになぜ電波?という気がした。

  • 08:36  とはいえ、ダウンロードが地上波でアップロードが携帯電話網なりインターネットという組み合わせでのビジネスの可能性を考えるのは結構面白かった。技術動向をみても電波でIPをというものは結構あり、いくつも実験が行われていた。

  • 08:52  だが、実際の所はどうなのか、ステークホルダーが多くなっていてわからなかった。民放テレビキー局、地方局、広告会社、NHK、NTT,NTTDocomo, NTTData, SONY, 松下、東芝などなどは?更には制作会社が関係してくる。

  • 08:57  レーガン・サッチャー時代(1980年代前半)に通信会社の民営化を行い、放送と通信の垣根をこわすという判断がなされて20世紀は終わったと思う。国家や社会という枠組みを再考する時代になった。また封じ込められていた技術が野に放たれた。この感覚は日本では当時NTTの立川敬二氏によるVIP構想として登場した。

  • 08:59  いまgoogleしてみたが情報がみつからなかった。これはV visualization, I intelligence, P personalの略である。Vはブロードバンドで、Pは携帯電話で、Iはgoogleなど大規模検索サーバーでいま実現している。

  • 09:00  この構想の凄かったところは、だれも通信技術にこのような可能性があるとはおもっていなかったときに、研究所の技術を社会に展開するとこうなると示したことである。20年前僕はアメリカの小さな大学(インテルのNoyceが卒業したところ )で教えていたが、あるとき新聞の記事が目をひいた。

  • 09:03  ヴィンセント・サーフがVIP構想を取り上げて、アメリカに光ケーブルだけを考えていると大変なことになるとワシントンにロビー活動をおこなっていると。この後、高速光ファイバーネットワーク構想(これがゴアの情報ハイウェイの最初の形)の主役がインターネット網へとかわる時であった。

  • 09:04  話は10年ほど前後するが、いずれにしてもデジタル地上波のことがまあどうもはっきりしない。というわけで前述のステークホルダーを全部お呼びして意見を聞く研究会をおこなった。民間ベースでおこなったのだがとても面白かった。いろいろと解った。DOCOMOでは4Gの研究が始まっていた。

  • 09:06  でこの研究会をとおして僕が感じたのは光ファイバーを張り巡らせる(ラストワンマイル)みたいなことは必要ないのでは、ということだった。自宅や事務所に光ファイバーを引く申し込みをすると、技術者がやってくる。当時はNTTMEってのがまだあった。僕の自宅は事務所はその地域で最初に引く家だったりした。

  • 09:08  すると、技術者が「おお、これが光ファイバーか」と言っている。こっちがびっくりだけど。話は30年まえになるが、アメリカからの強烈なプッシュで電電公社がNTTになるとき、交渉に当たっていた課長補佐が20年前にあるパーティで非公式に光ファイバーにしてから民営化すべきだったと述べた。

  • 09:10  要するに、光ファイバーありきでいろいろやってきたのだがデジタル地上波をみて、なんだ無線で出来るじゃないか、とおもったのだ。さらに無線LANは免許も入らない。クリントン政権のときに無線LANについて大分色々議論されて、そのあとどんどん技術は進んだ。

  • 09:12  電話網と無線LANとデジタル地上波、まあやりかたはいろいろあるし経済モデルも政治も面倒なことは色々あると思う。しかし、光ファイバーありきの時代は終わっていると思う。もちろん光ファイバーは必要だ。だが我々の日常世界に直接インターフェイスしてくるのはどうかな?

  • 09:14  ネットワークに接続している多くの家では光ファイバーから無線LANにして、その電波でインターネットを利用しているところが多いのではないか。一度この視点から見ると無線帯域というのはコミュニケーション資源として非常に大切だ。無線に開かれたインターネットは実は可能性に満ちている。(完)

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2011年1月25日火曜日

d.school訪問記


  • Sun, Jan 23

  • 17:45
      d.school訪問(1)いまさらなのだが、始まって5年目になるスタンフォードのd.schoolを訪問した。準備段階からいろいろと話しは聞いていているのでなんとなくわかった気になっていたのだが、今回小林茂さんと訪問した。案内していただいたのはBernard Roth教授。

  • 17:47  (2)Roth教授は機械工学の専門家でキネティクスとロボティクスの領域で大きな業績を挙げているが、それに加えてニューヨークリベラル知識人として筋金が入っている。d.schoolはビジネススクールに変わるものとして構想されたと言うが、いまは少し違うようだ。

  • 17:50  (3)結論から言うと非常に感動した。デザイン思考の使い方としてかなり斬新だと感じた。デザイン思考を現代社会が直面している貧困の克服に活用する。西洋型の資本主義が産み出したあるいは吸収できなかった貧困の問題を直接的かつ局所的に解決する。

  • 17:53  (4)僕はデザイナーが環境問題や貧困問題を解決する提案をするのが嫌いだ。それは独りよがりであり実際に解決するかどうかの検証もないものが多いからだ。省エネデザイン提案なんて自己満足で恥ずかしい。ところがd.schoolでの学生のイノベーションは直接的に効果をもたらしている。

  • 17:59  (5)例えばd.light http://www.dlightdesign.com/  d.lightは太陽電池によるLED照明でケロシンランプにとって変わり火災や空気汚染を防ぐ。大量に途上国で売れているという。

  • 18:01  (6)あるいはembrace http://embraceglobal.org/ embraceは赤ちゃんの保温に使う。コストが安く効果があるので、多くの未熟児の命を救う。これも評判になっているという。

  • 18:03  (7)あるいは足でこぐポンプがある。投入する労働時間に対して汲み出せる水の量が多く、耕せる土地が広くなり、家族が自給できるようになる。要するにイノベーションの目的が明確でその効果もしっかりと定義されている。具体的に観察をしてみなでプロトタイプをいくつも素早くつくりながら模索する。

  • 18:06  (8)医学部生だったり経済学を勉強していたり法律を学んでいたり機械工学を身につけている学生(あるいは社会人)がd.Schoolというデザイン思考実践の場所で問題解決をイノベーションして、それを企業化して社会に普及させる。この馬力はすごい。世界中から優秀な学生が留学生としてくる。

  • 18:08  (9)彼らの祖国が抱えている問題をデザイン思考で解決していく。小さな問題だが確実に解決して、その解決策が継続するようにビジネス的な基盤もつくり上げる。コラボレーションしてつくりながら考える環境を提供して、徹底的にフィールドで観察する。

  • 18:10  (10)一年に10個ビジネスになる問題解決をする。実践的な問題解決の方法とその維持システム(経済的に自立させる)を全スタンフォードで模索するためのハブがd.schoolなのだ。デザインそのものはacceptable designという考え方だ。無駄がなく丈夫であることが大切。

  • 18:14  (11)d.schoolは当初、大企業が直面しているイノベーション能力の枯渇を同解決するかを目指していた。だが実際に活動を続けるうちに現在のような方向性を見つけてきた。P&GやGEのような巨大企業は独自にデザイン思考を採用して競争力を復活させた。

  • 18:17  (12)ちょっと余談になるが、21日Palo Altoに向かう車の中でデザイン思考を経営戦略に採用したゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト氏が最近経済再生諮問会議の議長に指名されたというニュースが飛び込んできた。デザイン思考の経営戦略への影響は明確だ。

  • 18:20  (13)だがスタンフォードのd.schoolはこちらの方向に舵を切らなかった。社会起業家の方向に向かっている。ハーバードなどが強烈にもっていた(いる)社会的正義の実践をスタンフォード大学が行なっている、というのはアメリカの知識人のエコロジーを考えると奇妙な気もする。

  • 18:25  (14)いま地球全体が直面している様々な問題をどのように解決していくのか。本気で解決するのならインパクトのあるイノベーションで行おう、というのがd.schoolの主張のようだ。20世紀モダン社会を創りだした公衆衛生などの問題意識が通用するところには有効だろう。

  • 18:28  (15)だが21世紀にモダン社会をつきぬけてしまった僕達の社会がいま抱える問題はどうしてくれるのか?哲学や倫理の根幹をデザイン思考を通じて深く問いかけることも実は必要なのではないだろうか?極端な話だが、健康に生きることも大切だが幸せに死んでいくことも不可欠なのだ。

  • 18:30  (16)いずれにしても、ハブとして機能していて、自己中心的になりがちなエリート学生に社会的責任を教える道場となっており、しっかりとした成果が出る体制になっていることにはびっくりした。20世紀経済体制の救世主の役割は別の集団に託されるのかなあと思ったりした。(完)

2011年1月24日月曜日

メディアをデザインする:Bill Moggridge氏講演録

  • 15:20  モグリッジ氏講演レポート(1)2010年3月Bill Moggridge氏はスミソニアン博物館の一つであるCooper-Hewitt, National Design Museumの所長になってIDEOを去り、ニューヨークに移った。

  • 15:21  講演(2):1980年にラップトップコンピュータGRiD Computerを初めてデザインしたことで知られ、またインタラクションデザインの分野を切り開いてきたパイオニアでもある。博物館のURLは下記。 http://www.cooperhewitt.org/

  • 15:22  (3)僕は彼が最初のラップトップを発表した翌年、スミソニアン博物館と連携して博士号をだすプログラムのあるジョージ・ワシントン大学に留学をしてVernacular Arcitecure の分野でニューオリンズの19世紀半ばの住宅の研究で博士号をとった。

  • 15:23  (4)これはラスキンやウィリアム・モリスをご先祖とする学問分野であり、デザイン論の根源をといかけるような領域だ。同時に爆発するパーソナルコンピュータの大波をタップリと浴びた。このあたりは『アメリカンホームの文化史』『物書きがコンピュータに出会うとき』で詳しく書いた。

  • 15:24  (5)その後メディアとしてのコンピュータに夢中になって20年くらい経つ。ユビキタスコンピューティングの時代になり、機器としてのコンピューティング端末が我々の生活環境に拡大し、昔勉強していた生活空間のデザインとメディアとしてのコンピューティング環境が一つのものに融合してきた。

  • 15:25  (6)モグリッジ氏に初めて会ったのは1980年代の後半だったと思う。IDEOを創設する前だった。彼が日本を訪問したときに日経新聞の記者がインフォーマルなミーティングをセットした。彼の作品の幾つかを日経新聞の雑誌「日経イメージ気象観測」で僕が紹介していたことがきっかけだ。

  • 15:25  (7)その後、1990年代の始めにいまのIDEOのCEO、Tim Brownと僕とで一緒にちょっと大規模なデザインワークショップを一週間大阪でプロデュースした時以来、コミュニケーションが続いている。ワークショップの締めのシンポジウムで山中さんや深澤さんにきてもらったことも懐かしい。

  • 15:28  (8)ラップトップのデザインも素晴らしいが、モグリッジ氏が切り開いたインタションデザインの分野はその後の僕の人生を大きく変えた。眼に見えない経験をデザインする。人間を観察し、手を動かして考える、つまり作るという作業を繰り返す経験が必要だということが衝撃的だった。

  • 15:29  (9)インタラクションデザインはマウスの発明に始まる。Designing Interaction http://www.designinginteractions.com/ ではパイオニアのインタビューに満ちているが、そこからEngelbartのビデオが紹介された。

  • 15:29  (10):次にデスクトップをつくったTim Mott。さらにインタラクション理論をまとめたWinogradと紹介された。このビデオはオンラインでも見ることができる。

  • 15:31  (11)現象学をインタラクションデザインの原理に持ち込んだヴィノグラードの理論の骨格はconversationmanipulation, locomotion, の三つの概念だ。

  • 15:32  (12)conversationはコンピュータと対話するということだ。これはテキストターミナルで可能になった。

  • 15:32  (13)manipulationはコンピュータ上のオブジェクトをモノとして操作することができるつまりは道具としてコンピュータが設計されること。マウスとデスクトップメタファーがそれを可能にした。

  • 15:33  (14)locomotionはWebでサイトを訪問している感じだ。インターネットでコンピュータ同士がつながったときに、空間を旅している感じがした。これがサイバースペースの始まりだ。

  • 15:34  (15)インターネットの世界でテキストが行き交うコンソールを前にして超越論的な存在感を経験していたMITのエンジニアたちはSF作家のギブソン『ニューロマンサー』で展開したディスコースに自己の経験を重ねた。この感覚が普通の日常生活を送る我々に提供されたのがWebの登場である。

  • 15:36  (16)マウスとデスクトップメタファーをもったコンピュータがネットワークされた状態となり現在の我々のコンピュータの基本的な構造ができあがった。さて、ここまでがキーボードとデスクトップメタファーの画面とマウスが提供してきたインタラクションデザインの話だ。

  • 16:22  (17)このあたりまでは僕の『思考のエンジン』に詳しく書いた話だ。ずいぶん昔のことだけど。ではこれからどうなっていくのか。最近彼が出版したDesigning Media http://www.designing-media.com/から例が紹介された。

  • 16:35  (18)Facebook, YouTube, Twitterなどの新しいメディアをデザインの視点から見ると、たとえばFacebookはmanipulatonとlocomotionからなる。だが、いままでのデザインにはなかった視点がここに生まれているという。

  • 16:38  (19)それはThe Creator Economyだ。Paul Saffoの命名だ。http://www.saffo.com/ 彼によると、いま起きているのは50年ぶりのメディア革命だ。テレビが登場したときにマスメディアが生まれた。

  • 16:38  (20)個人はメディアからのメッセージを受動的に受け取り消費する存在になった。現在のパーソナルメディアはメッセージのやりとりがインタラクションになる。ここまではまあメディア論としてはよく言われていることが。だがこれをデザイン論として考えると、とモグリッジ氏は続ける。

  • 16:41  (21)人々を観察してプロトタイプを作るというデザインプロセスに物語を語るという新しい要素が加わる。観察して考えてものを作る。このあたりはDesigning Interactionの中で詳しく説明されている。だが、メディアをデザインするにはこれでは不足だ。

  • 16:44  (22)観察から何かを思いついて、それをものに展開して、更にそれが正しいかを検証する。英語で言えば、inspire, evolve, validateである。新しい手術の機器の形を手術室を観察したデザイナーが思いつき、形に展開して、現場でユーザーにその有効性を確認する。

  • 16:48  (23)だがFacebookのような新しいメディアでは利用者がメッセージを発信している。この仕組みをデザインするためにはconversation、manipulation, locomotionの妥当性を同時に証明しなくてはならない。手術器具デザインの妥当性の証明とは異なる。

  • 16:55  (24)新しいメディアをデザインするとなると、プロダクト、ユーザーインターフェイス、そしてユーザー経験というように異なる3つの側面を全体として確認しなくてはいけない。IDEOで言えば、IntelUMPCの一連のビデオがその例だ。http://bit.ly/eCwzbZ

  • 16:58  (25)この作品を見ただけでは未来のプロダクトをビデオでつくって提示している方法と変わらない。だが、もしこれらが実際にプロトタイプとして動いていたらどうだろうか。技術的な裏付けがあってつくったプロトタイプが、利用者がメッセージを発信しているメディアであることを伝えている。

  • 17:01  (26)ユーザーが新しくデザインされたメディアで経験していることが確認出来れば、プロトタイプの使い方を検証validateできたといえる。この検証を行うために必要となるのは物語を作る能力である。インタラクションから新しいメディアへとデザインの領域が進化した時に必要となる。

  • 17:02  (27)それは一般に物語の法則とよばれているような規則を上手につかう方法を身につけることだ。まとめると 1) action 2)reflection3) rising action 3') coloar and suspention 4) reflectionである。

  • 17:04  (28)物語を作る能力に関しては Ira Glass for This American Lifeが参考になる。GlassはNPRで番組をもっていて物語についていろいろと見識をもち、実際に様々な話を物語にしている。http://www.thisamericanlife.org/

  • 17:08  (29)以上が講演のまとめだが、インターネットの普及によって、マスメディアからパーソナルな双方向メディアに変わった。デザイナーは双方向メディアをデザインしていかなくてはならない。インタラクションデザインには観察・プロトタイプという方法が必要だった。

  • 17:09  (30)双方向メディアをデザインするには物語をつくりそれを提示するという役割もデザイナーには必要になるということだ。デザイン思考に物語手法を加えていくことがこれからは大切になってくるという話である。いま考えていることに大きく関わる非常に感銘を受ける発表だった。

  • 17:12  (31)講演終了後、小林茂さんにモグリッジ氏を紹介した。いま彼と柏樹さんと瓜生くんと僕とで取り組んでいるメディアファニチャーを考えるときにしっかりと考える話だったし、メディアデザインという領域がデザイン思考の延長にあることもしっかりと体系化できた。(完)
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2011年1月21日金曜日

今の日本と雑誌 monocle

  • 23:21  僕は今の日本に全く失望していない。感受性も趣味も素晴らしい人達がたくさんいて、これからのアジアやヨーロッパのライフスタイルのモデルになるような文化がたくさんある。食事も住居も都市も素晴らしい。
  • 23:23  こんな話をすると、KMDの同僚の岸さんは「奥出さん、それはいまの地方の現状を知らないからですよ」という。そうなんだろうな。でも九州の一部、関西の一部、名古屋地域の一部、東京圏、仙台あたり、山形あたり、新潟あたり、札幌あたりなど結構魅力的。都市生活の高度な魅力、ココがポイント。
  • 23:25  monocleという雑誌を知っているだろうか。http://www.monocle.com/ 都市生活の魅力とは何かをさまざまな切り口で教えてくれる。都市をライフスタイルをどう楽しんでいくか、それを考えるときに日本の都市ほど素晴らしいところはしばらくないと思う。
有益な情報をいただきました。

たんじふみひこtanjibrico 昨日編集長タイラー・ブリュレ氏インタビューしました。 RT @monotocoro: RT @NaohitoOkude: monocleという雑誌を知っているだろうか。http://www.monocle.com/ 都市生活の魅力とは何かをさまざまな切り口で教えてくれる。//

2011年1月18日火曜日

英語初級講座第7回


  • 06:12  英語初級講座第7回

  • 前回から6週間ほどたってしまったが、休んでいたわけではない。『英語のバイエル』STEP6までの文法的に正しい音読終了。例文を気持ちを入れて音読する。CDも良く聴いて。個別の発音、プロソディ、文法(意味が音読で立ち上がってくるか)を確認しながら進めた。 »»

  • 06:14  大西さんの本のCDはナチュラルスピードで入っているので教えやすかった。だんだん慣れてくると、英文を一度しっかりと目で読んでどのように発音するかをイメージして、しゃべってみる。それから口の動きにくいところを個別練習。リンキングがうまくできないところは鉛筆で印をつける。 »»

  • 06:17  子音と母音にかんしては、とりあえず子音はしっかりと発音する。母音は正確に発音するのはプロソディが固まってからでもいい。英語の音は変化する。リンキング(子音と母音をつなげる)はその例だが、子音の連続も難しい。そこも鉛筆でチェックしておく。子音の変化は要するに連続すると音が消えるのだが、は残る。 »»

  • 06:19  実際に発音記号をかいてみて、子音が連続するときには前の子音を発音しないが「長さ」はある。これが英語のリズムをつくるのでプロソディに深く関係する。ここを詰めてしまうとうまく発音できない。まあ今の状態ではここを注意する。というわけで、発音と文法(つまりは意味)を200文確認した。 »»

  • 06:21  顔中の筋肉をつかうのでかなり疲れる。だがこれで準備終了であとは暗記。大西さんの本にも「暗唱、暗唱」とある。ここで基礎的な発音と文法は終了。次の段階に進みたい。 »»

  • 06:26  200文暗記をしながら発音のレベルをもう一レベル上げることにする。松澤氏の『英語耳ドリル』改訂版にRaindrops Keep Falling on My Headが入っている。Fly Me to the Moonはゆっくりとした発音であるが、これはちょっと早い。 »»

  • 06:28  これにしばらく挑戦。100回くらい練習すれば人前で歌えるようになるだろう。こまかな発音指導はやりながら。くわえて音読による読みの練習をする。 »»

  • 06:31  読みに関しては日本の英文学者が積み上げてきた伝統がある。行方明夫さんは『英文快読術』(岩波書店)で英語の教科書が難しすぎると指摘している。共通一次の英語の試験もなかなかの名文がでている。慶応大学のSFCの英語の問題など、ビックリするくらい高度だ。名文で名問が続く。 »»

  • 06:34  だが、と行方氏は言う。入試の英語のレベルをもっと下げないといけない。それでも選抜はできるという。大学は合格の最低点を発表しないが、うんと難しい問題をだしているところ(行方氏は東大の先生だった)は5割から6割だという。予備校の推定は高すぎると。まあ昔の話だが。 »»

  • 06:37  行方氏の快読とはよんでいて楽しいということだ。楽しくなければやさしい英語を読めばいい。「アバウト」な理解はダメで100%理解でないと意味が無い。5割英語がわかりました、というのは読書ではないというのだ。そしてナチュラルスピードで話した文章が理解出来ないといけないという。 »»

  • 06:43  『英文快読術』は具体的な方法について適切に書いている。このやり方でなにかいい教科書はないかと何冊か検討してみた。和田玲氏の『5Step アクティブリーディング』が行方氏の方法の実践と考えるとかなかなかいい感じでつかってみたところ、楽しんでレッスン1をやることができた。 »»

  • 06:45  というわけで200文の暗唱、スピードが早い歌の練習、快読に向けての練習ということで初級講座は第2段階に入る。(完) »»

2011年1月17日月曜日

デザイン思考と民族誌


  • 04:40  デザイン思考と民族誌:

  • デザイン思考はフィールドワークを行い、頭ではなく手でものをつくって(Make)考え、複数の人とコラボレーションを行いながらイノベーションを行う。これが基本というかすべて。Makeの部分が弱いとアイデアを組み合わせたコンセプトを反復してつくり直せない。 »»

  • 04:42  デザイン思考と民族誌(2):そこでTinkeringとかスケッチングとか行った手法を身につけるわけだ。民族誌のところは比較的身につけやすいのでいままであまり説明してこなかった。だが最近デザイン思考が普及していくにつれて民族誌つまりは観察のところがどうもうまく伝わっていない。 »»

  • 04:44  デザイン思考と民族誌(3):もちろん民族誌といってもいくつも方法があり背後にある前提も異なっている。だが、人々の生活の中にデザインされた道具を持ち込み、それを使って適切なサービスを提供することを目的とすると、採用できる民族誌の手法はひとつだけだ。それが解釈学的民族誌である。 »»

  • 04:48  デザイン思考と民族誌(4):植民地支配のための情報を収集するために始まった人類学は帝国主義的体制が凋落するに連れてその価値を失っていく。一方人間の存在について考えてきた哲学としての人類学は実証主義から批判的思考を導入し、現象学の導入に至る。解釈学的現象学の影響が大事だ。 »»

  • 04:54  デザイン思考と民族誌(5):解釈学的現象学の影響を大きくうけている方法を解釈学的民族誌と呼び、クリフォード・ギアツが言い始めた。その基本の方法が厚い記述あるいは濃い記述Thick Descriptionである。書き手とコンテキストを共有していない読み手がなんのことかわかる記述だ。 »»

  • 04:56  デザイン思考と民族誌(6):デザイン思考における民族誌は濃い記述を行うことから始まる。2時間観察をしてそのあと一気に経験したことを思い出す限りすべて書き出す。現象学で言うところの超越論的還元、つまり自分の判断を「停止」して観察したことを「かっこにいれて」記述する。 »»

  • 05:00  デザイン思考と民族誌(7):この活動ができない。まったくデザイン思考を知らなければこの方法を行ってくれるが「顧客を観察する」と思った途端に現象を記述ではなくて「説明」しようとする。いわゆる「気付き」だ。これをやってはいけない。調査して作るものやアイデアに創造性がなくなる。 »»

  • 05:01  デザイン思考と民族誌(8)Contextual Inquiryという方法はこの間違いを初心者が犯さないようにしてある。つまり調査対象は「師匠」であって、そこに「弟子」として入門しなさい、というわけだ。師匠はマニュアルを使って教えることはない。やって見せるだけだ。 »»

  • 05:03  デザイン思考と民族誌(9)デザイン思考のための民族誌の方法が一度身につくと一瞬にして超越論的還元をおこなって世界を記述できるようになる。だが分かっていないとまるで駄目だ。マーケティングの世界でも昔はそう言われた。大学を卒業してマーケティングの部門に配属される。 »»

  • 05:04  デザイン思考と民族誌(10):すると上司からデパートの売り場に行って来いと言われる。次の日、どうだったかと聞かれる。でまた行って来いと言われる。一ヶ月ほどただそれを繰り返す。あるとき突然人の流れがわかるようになる。そんな話を上司に話せるようになると合格だ。 »»

  • 05:07  デザイン思考と民族誌(11):マーケティングリサーチという手法が普及する前の話だ。だがただひたすら顧客を見て記述する。ここができないとデザイン思考は始まらない。なので濃い記述をとにかく心がける。難しいことではない。何かを発見して説明しようと思ってはいけない。それだけだ。 »»

  • 05:09  デザイン思考と民族誌(12):いま民族誌的手法をイノベーションに導入しようとしている人は多いと思うが、濃い記述ができていないとどこにも進まない。ここを確認しよう。さて、濃い記述とはコンテキストを共有していない読者に「師匠」の世界がわかるように記述することだ。ではコンテキストとは? »»

  • 05:11  デザイン思考と民族誌(13)これもわかるとわかるのだが、見る目がないとわからない。Contextual Inquiryでは初学者向けに便利な道具を提示している。これが5モデル分析だ。濃い記述を図形として書き直すのだ。まず作業の流れをみるフローモデル »»

  • 05:13  デザイン思考と民族誌(14):時間の流れを見るのがシークエンスモデル。空間の配置をみるのが物理モデル。使っている道具と言葉を一致させるのがアーティファクトモデル。そして行動の背景にある社会関係などを描くのが文化モデルである。これも練習だ。初心者はここを飛ばしてはいけない。 »»

  • 05:16  デザイン思考と民族誌(15):さて、文化モデル以外は観察して記述すれば確証をもって描くことができる。観察を記述して超越論的還元をおこない、疑い得ないという確信が持てることをフッサールは明証性 intelligibility と呼んだ。 »»

  • 05:18  デザイン思考と民族誌(16)だが、人の心のなかのような観察できないことはどうするのか?ここを「科学的ではない」と排除してはイノベーションはできない。文化モデルは調査者が解釈をして主観的に創りだしたものだ。ここに踏み込んでいかなくてはいけない。 »»

  • 05:21  デザイン思考と民族誌(17):デザイン思考では観察をしたあとアイデア作りをする。Ideationである。これは現象学でいうところの形相的還元である。超越論的還元で机を記述したあとで、脚が3本だったら、天板がでこぼこだったらなどといろいろと考えていく。 »»

  • 05:24  デザイン思考と民族誌(18):そのようにして机が机である本質を探していくのであるが、デザイン思考も同じようにする。記述とモデル分析をもとにいろいろとアイデアを作っていく。このときに目的を設定する。調査した人たちは何を目的としてるのかを明確にする。次に文化モデルを参照する。 »»

  • 05:26  デザイン思考と民族誌(19)クーパーは一連の著作の中で文化モデル、彼の言葉ではメンタルモデルを解釈してつくるところがマーケティング調査と異なる点だと強調している。ゴールとメンタルモデルを明示的にきめて、観察記述とモデル分析を参考にしてどのようにすればゴールに到達するか考える。 »»

  • 05:28  デザイン思考と民族誌(20)そしてスケッチあるいは簡単なプロトタイプを作る。これは観察に基づいた主観的なものだ。正しいか正しくないかではなくて、適切か(appropriate)どうかが問題になる。それはフィールドに持っていかなくてはわからない。もう一度民族誌だ。 »»

  • 05:30  デザイン思考と民族誌(21)此処から先は中級レベルになるのであらためて論じたい。だがなにかイノベーションを行おうとしたら参考になりそうな人を探して師匠として入門して濃い記述をおこないモデル分析をしてメンタルモデルとゴールを設定してアイデアをいくつも作る。 »»

  • 05:32  デザイン思考と民族誌(22):そしてスケッチやアイデアとして手に取れるようにして、もう一度フィールドに行き、観察をする。この作業をまずは手を抜かずに行う。ここをおろそかにするデザイン思考があまりにも多い。いくらフィールドワークをしても答えは落ちていないのだ。 »»

  • 05:34  デザイン思考と民族誌(23):フィールドを道場として自分が変わる。デザイナーもエンジニアもマーケッターも、街に出て自分の経験を拡大して他者と世界を共有する。イノベーションはここからだ。そして民族誌的手法の効用はここにある。半端な努力では日常世界のカラは打ち破れないのだ。(完) »»