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2010年11月12日金曜日

デザイン思考と経営戦略: 参照設計とアジア中産階級市場について

  • Thu, Nov 11

  • 14:07  火曜日ケミカルのある分野で日本一、水曜日これもある分野で日本一、今日、これもある分野で日本一というか90%くらいのシェアをもつ企業へのプレゼン。たまたまなのだが、いまデザイン思考と経営戦略をあわせたコンサルティングの需要はここにある。
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  • 14:11  一時代前の言葉で言うと、コアモジュールなのだが、いま日本のこうした企業が置かれている状況をみるともっと深刻だ。日本企業が部品や要素技術素材で世界において圧倒的な水準にあることは間違いない。それにもかかわらず国際競争力が無くなっていく。それは何を作るかのメタデザインが弱いからだ。
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  • 14:12  ここ5年ほどデザイン思考という呼び方をしながらメタデザインの方法を教えるコンサルティングを国際的な規模でビジネスをおこなう企業に対して行ってきた。その中で発見したことは実際にものを作る力あるいは能力が大企業のなかで失われていたことだ。自分で考えて作ることが出来ないところが多い。
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  • 14:14  かつて工場をもたないアメリカのビジネスの方法にたいして日本のメーカーはものつくりを維持すると宣言していた。だが実情は規模の小さい会社に簡単な仕様をだして、出来上がってきたものの品質は高く要求し、価格を安く抑えた。日本の多くの部品会社や素材会社は大企業の無茶な要求に答えてきた。
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  • 14:17  日本のものつくり力はこうした産業構造の産物であった。そして、日本の大メーカーからものを作る力がどんどん失われていった。80年代初頭まで西堀、唐津、盛田に代表されるものつくりの神様に指導されてそだっていたものつくりの達人はいなくなった。そしてアメリカ型の新しい生産方法が来る。
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  • 14:20  それがコアとモジュールである。製品のアーキテクチャーを作り、コアとモジュールに分ける。モジュールは外部に生産させる。コアとのインターフェイスのルールを決める。そしてコアは高い利益率を保ち他社の参入を許さず、裁判も辞さない。モジュール側に押し込められるとどんどん利益率は下がる。
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  • 14:24  このころあるアメリカのコンサルティング会社(名前は秘すが)が日本の企業に対して、完成品は利益率が低いので部品の生産を重視する経営をするように行っている。このコンサルを受けて、全体の部分を手放してその後強烈なコモディティ競争に巻き込まれた企業がいくつかある。
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  • 14:26  インテルCPUという部材をモジュールではなくコアと定義付けて、ほかのものをモジュールとして使わざるを得なくなるようにPCという製品をイノベーションして、それを普及させて、利益率の高いCPUの販売を続けた。つまり、完成品は利益率は低いが、部品をモジュールにしてしまうと大変。
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  • 14:30  日本の部品会社や素材会社に仕事を発注してきた大企業の国際競争力が急速に弱まっている。したがってニッチェ企業の経営も大変になっていく。しかし、自動車の部品を作ってきたところが別の製品の部品をつくってもいいのだ。さらには自分で製品を定義して、自社の部品をコアにすればもっと良い。
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  • 14:32  さらには他の部品会社や素材会社とオープンイノベーションを行っていけば面白いことになる。つまり自分で生きていけばいいのだ。顧客をよくみて何を作ればいいかを考える。自分の技術をみて何が出来るかを考える。たりなければ他社と組む。国際競争力のない大会社の下請けをする必要はない。
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  • 14:35  デザイン思考で顧客のニーズやウォンツを探り出し、技術の棚卸しをして彼らが望む製品やサービスを考える。自社がコアを作るときめて戦略を考える。このときにデザイン思考は非常に有効である。日本で優秀な技術をもっている企業の市場を海外に向けさせることが次に大切である。
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  • 14:37  リーマンショックから2年。金融の中心が移動しつつある。経済は国際的に多極化している。その軸の一つがインド、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、香港、上海、台湾、韓国、日本だ。この地域全体に登場してきている中産階級マーケット、ここが次の市場だ。
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  • 14:40  東洋の資本主義市場に登場している勃興する中産階級がわくわくする商品やサービスを定義して、そのコアを握っているグローバルニッチェ企業、これが日本の行動成長を支えてきた中核企業の未来の姿である。産業によっては4000億円くらいまではこの戦略を採っていくべきだ。
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  • 14:44  つまりモジュール部分は顧客のニーズウォンツをみたすデザインが必要である。ここまでを製品として定義し、実際に作る。これを専門用語では参照設計という。そして、それをつくる企業を増やし、そこにコア部品を売り込む。これが高いものつくり能力を持つ企業が21世紀を生きのびていく方法である。
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  • 14:51  今日大阪の南堀江あたりを歩いたけれどデザイン重視の商品を売っているオシャレな店がおおいし、店舗デザインもちょっといい。Master-Pieceという鞄屋さんのフラッグショップがあり、おもわず衝動買い。こうしたテイストでアジアの中産階級のモダニズムを満足させていく。
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  • 14:54  技術力のある企業はそれをコアとして、いままで仕事を受けてきた大企業の商品とは関係ない商品を自分で作る。そこはデザイン力だ。販売力のある商品を開発して、コアから収益を上げる。このモデルをつくったところが拡大するアジア中産階級市場で成功をする。頑張っていこう。
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  • 14:56  新幹線で新横浜経由でKMDに移動。大澤『量子の社会哲学』読書中。
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