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2011年4月30日土曜日

OIKOSプロジェクト クラスターミーティング

  • Fri, Apr 29

  • 07:12  クラスターミーティング終了。2つの教室に分かれて。01教室はSOCIETYクラスター Media Convergence 、Digital Kids、 Pop Power 、Creative Industry

  • 07:13  NETWORK クラスターはNetwork Media 、 Global Computing + Media Telescope、Global Education。最後に石倉先生の新プロジェクト構想。

  • 07:16  02の教室は LIFEクラスターがOIKOS: Art Life Project 、Social Entertainment Everybody's Art、Sanctity of Life。

  • 07:17  ENTERTAINMENTクラスターがPower of Motion Pictures、Food & Fashion Media、そしてReality Mediaである。修士論文中間発表の時も二つの教室に分かれた。一緒にやりたいがまあこれが限界。興味に会わせて教室を変わる。

  • 07:19  4年目に突入ということでリアルプロジェクトの成果もでてきたし、新しいプロジェクトの説明もあり、楽しかった。スポンサーを獲得して社会に変化を与える活動を共同で行うというリアルプロジェクトのコンセプトは、僕は科学技術の進歩が未来を切り開くというMITメディアラボより優れていると思う。

  • 07:22  メディアラボは新しい所長を迎えて方向を変えていくと思うが、設立の時は僕はアメリカのワシントンDCにいたが、日本の会社から金をもらって研究資金にしようという思惑が露骨に見えて嫌な感じがした。日本進出である大学とのやり取りも直接見たがひどかった。

  • 07:23  皮肉というか当然というか、メディアラボが提示した「デモ」は素晴らしかったけどね。初期のコンセプトやその開発についてはスチュワート・ブランド『メディアラボ』という本にまとめている。カウンターカルチャーとテクノロジーが結びついたユートピアだった。素晴らしかったけど。

  • 07:25  一方メディアラボからでてきた「とろけるような」デモの役立たずさぶりも凄かった。あんなものに日本企業はよく金をだすなあ、とおもっていた。新しい所長にかわって、どこまで社会のイノベーションを引っ張っていくか注目したい。さて、KMDクラスアーミーティングである。

  • 07:28  02の教室は稲蔭先生、稲見先生、館先生、そして僕がおもに関わっているプロジェクトが中心である。リアルプロジェクトはスポンサーに評価されるという原則は当然まもっている。3年経ったので、評価されなかったプロジェクトも当然ある。また新しいプロジェクトの紹介もあった。

  • 07:30  最初はOIKOSプロジェクト。これは僕が中心となっているプロジェクト群だ。メディカルプロジェクト。これは砂原先生と加藤先生に技術の担保をしてもらって、奥出がコンセプトを社会に持ち込むというのが教員の役割。第1期3年が終了。

  • 07:32  スポンサーのVeriSign社ともう1社名前を出してくれるなという大企業へのプレゼンも終了。実際の医師、看護師、介護者、さらには薬局などを巻き込んで在宅医療のサービスをつくり学会、展示会の出展、そしてデザイン誌『AXIS』への掲載と活動を積み重ねてきた。

  • 07:33  最後の企業トップへのプレゼンテーションは僕が行ったのだが、良いプロジェクトにしていただきました、とか最初は不安でしたがここまで仕上げていただけると嬉しいですとか、という過分のお言葉。ことしは彼らに加えてさらに数社新しく加わってもらって新しいプロジェクトを始める予定だ。

  • 07:35  このプロジェクトは医療の現場に入り民族誌を書き、それを分析してプロトタイプをつくり、現場に持ち込み評価してもらってそれを修正する。かなりハードなデザイン思考の実践である。その分学生は鍛えられる。生き残った学生は各学期数名以下だが、それぞれほれぼれする就職をする。見る人は見ている

  • 07:36  次はメディアファニチャープロジェクト。これはシンガポール政府のお金をCuteセンター経由で使っている。MDAという役所の高官が3月11日に来日してそれにあわせてプレゼンテーションを行った。地震の直前だ。昨年はわかりやすくデザインを前面に出したテレビでこのプレゼンをした。

  • 07:38  ことしはソファーやクッションをテレビに加えて、操作する環境を作った。普通ファニチャーをインタラクション技術であつかうと、スイッチでの操作をする環境に置き換えようとする。だがこれでは駄目なのだ。しかし、学生はその先をみる想像力はない。なので、まずはそこまで作りプロトタイプを使ってデモをした。

  • 07:39  プロトタイプをつかってデモをしてみると、このファニチャー群をプラットフォームとしてその上にアプリケーションを作らないと新しい価値が生まれてこないことが解る。来年度はそこが勝負。だがデモの力は大きくて、シンガポールの家具屋さん向けの展示会などの話もでてきた。日本企業の巻き込みの準備も始めた。

  • 07:40  新しいメディアを作るとは口で言うのは簡単だが、おそろしく難しい。なのでほとんどのデジタルメディアプロジェクトはテレビや電話や携帯電話をどのようにつかって新しいメディアコンテンツをつくるか、になり、それを新しいメディアの創造だと言っているが、全然違う。コンテンツは作っているけど。

  • 07:42  だが新しいメディアを作り、それをプラットフォームとして新しいコンテンツを作る。マクルーハンが新しいメディア(テレビだけど)をみて「メディアはメッセージだ」といったのはこのことだ。OIKOSプロジェクトは新しいメディアを作り、それをプラットフォームとしてアプリケーションを作る

  • 07:45  評価という点では一年目二年目と生きのびて来年は最終年。そのまえに企業を巻き込み、このままスピンアウトして起業する流れがあると思っている。活動の前線をシンガポールに移し、KMDからCuteにスタッフを送り込み、いよいよ勝負である。

  • 07:47  その次はアーバンメディアプロジェクト。これはJR東日本企画をスポンサーとして始めたが初年度で否定的な評価をされて中止。GPSでユーザーの位置情報を獲得してそれをつかって何らかのサービスをするのが基本である。Where2.0として注目されるアプローチだがどうもうまくいかない。

  • 07:49  コンセプトも技術もプレゼンテーションも面白いのだが、次に進まない。JR東日本企画が降りた後、独自のプロジェクトとなった。いきなり解散もかわいそうだと言うことになりあらたなスポンサーを探したがうまくいかない。スポンサーにメリットがないからだ。

  • 07:52  企業は面白いなと思ったのはR&Dの部門、とくに研究の部門はいわゆる科学的エンジニアリング的研究にお金を出す。そして事業化マーケティング的視点からつまりすでにあることできることへの付加価値にしかお金は出さない。デスバレーという言葉があるのは構造的な問題だ。

  • 07:55  都市メディアはつかっている人はおもしろがるが企業のメリットがない。しばらくやってみたがどうしようもないので、解散にして、別プロジェクトに学生を回した。結構いい成果をだして卒業したが、その別プロジェクトがリアルプロジェクトだったかというとそうではない。スポンサーがないから。

  • 07:57  2年目の半ばにリアルプロジェクトとしてのアーバンメディアは解散して修士論文にむけての開発に切り替えたのだが、一つだけ残して新しいリアルプロジェクトとして動かした。それがSentioである。ビジネス化つまりは収益化が出来ないのが問題だと解っていたので、マーケティング的に分析した。

  • 08:00  だが都市をメディアとして位置サービスを提供してビジネスを行うという流れが成立しない。そんなときにKMDの古川先生から東京モーターショーみたいな所で使えるよねえ、というコメントを頂いた。で、KMD全体と共同のプロジェクト立ち上げのプロジェクトをおこなっている赤坂にあるある会社へ。

  • 08:02  そこで、閉じられた都市空間、ようするにショッピングモール、展示会、サーカー競技場、野球場、コンサート会場、遊園地などをマーケットとして展開する方法を暫く検討した。現在赤坂にある会社と企業プレゼンを共同で作りながら、古川さんへのプレゼンを準備している。古川さん経由でXXXX(秘密)

  • 08:04  このようにリアルプロジェクトには失敗もあるが、それはプロジェクトが失敗しただけで、そのメンバーにはしっかりとした力が付く。アーバンメディアはそんな例だ。次はミュージック&サウンドプロジェクト。これもアーバンメディアのメンバーが始めたプロジェクトだ。

  • 08:06  プロジェクトがたち行かなくなって、解散したがやったことをまとめて修士論文にした。そして、むくむくとチャレンジ精神がうまれてきてある学生が博士課程に進学。音楽をとりまく市場を変えるプロジェクトとして立ち上げた。音楽の才能があるということでいまの音楽市場に出て行っても無駄だ。

  • 08:08  そこで音楽を人生にしてもよい学生を集めてプロジェクトを始めた。新しいメディアをつくらないと音楽の市場は生まれない。この根気の要る作業にのこった三名の修士の学生とプレゼンテーションとデモを作った。何社か廻ったが、そのうちある会社がショッピングモールビジネスを後発で手がけていた。

  • 08:10  そこにプレゼンテーションをして共同プロジェクトの契約書を準備していたときに震災。実験予定のショッピングモールも被災した。6月には再開するようなので再び交渉を始める。その間、デパートその他の場所のフィールドワークを繰り返しているうちに、すばらしいコンセプトを思いついてXXXX

  • 08:12  XXXXのところがまあリアルプロジェクトの価値だ。出来上がれば発表できる。さて最後は大阪イノベーターズクラブ。これは二年前に大阪市からKMDに大阪市北ヤード地区の再開発の一部への協力の話が来た。僕は都市開発の基本構想のコンサルティングも時々行っているのでKMDのリアルプロジェクトとして引き受けた。

  • 08:14  大学で引き受けたものの学生で出来る調査ではないので、僕の研究室に二〇年まえ入ってきて、そのあとNTTに行き、最後はDocomoで、そのあと起業して、KMD発足と共の博士課程の学生になった芦澤君と行った。彼もプロとして都市開発基本構想の経験がある。

  • 08:16  一年目はざくっと全体をみて、大阪市の強みを調べた。大企業と東大阪の技術力のある中小企業というのが一般的なイメージだが、実際に調べてみると、中堅企業が多い。100億から200億くらいの売り上げだ。200社を優に超える。日本の行動成長と共の大きくなり大企業を支えてきた。

  • 08:18  技術力は日本一どころかばあいによっては世界一だ。グローバルニッチという。ここから数社ピックアップしてイノベーションの実験をしようと提案した。昨年は実際に5社にあつまってもらってデザイン思考ワークショップ。楽しんでもらっただけではなくて、このチームで本格的な新事業提案を作りたいと。

  • 08:20  ことしは3年目。都市計画の報告書は要求されなくなったので、担当を博士課程の大学院生に移して、一年間本格的なデザイン思考ワークショップを行い、5社協同でイノベーションを行う。5社を会わせると数百億の売り上げになるので、小回りの利く大企業事業部という感じだ。

  • 08:22  これはイノベーションの実験であると同時にイノベーション方法のイノベーションでもある。産業クラスターという考え方があって、基本的に都市開発と結びつく。工業団地みたいな感じだ。クリエイティブインダストリー論もリチャードフロリダ氏は都市をつくるという視点がある。

  • 08:24  だが、ここからは難しいところだ。作ろうと思ってはいけないというのがハイエク『感覚秩序』でのべたところだ。人間の能力を超えたことを計画してはいけない。自分の出来ることの連鎖が結果的にはよい街を生む。イノベーションを心がける企業のネットワーク、イノベーションパイプラインを作る。

  • 08:26  まあそんなことを考えて、5社でイノベーションワークショップ。新規事業に値する成果が出てそれを評価してもらう。その実績で来年度はパイプラインに60社加わってもらう予定。そうしたパイプラインのハブを400平米ほどのスタジオとしてデザインする。以上5つプロジェクトの紹介をした。

  • 08:29  リアルプロジェクトの定義は社会にインパクトのあるプロジェクトを大学以外の組織と組んで行うということだ。大学にはお金権力もない。知恵と人だけだ。したがってパートナーはお金と社会的な支援を提供しなくてはならない。つまりそれに見合った魅力的なアウトプットを生み出すのが大学の仕事。

  • 08:30  KMDはリアルプロジェクトを目指して4年目だが、すこし手応えが出てきたと思っている。砂原先生、加藤先生、古川先生、稲蔭先生とタッグを組みながら3年間やってきて実に面白かった。これからもがんがんいく。(完)
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2011年4月28日木曜日

民族誌、民族学、民俗学、そして民俗誌

  • Wed, Apr 27

  • 10:35  フィールドワークと民族誌にかんしてはなかなか用語が不安定で修士二年生の学生の発表でも混乱しているので説明しておく。民族誌はethnographyの訳である。いままで説明したような方法だ。

  • 10:37  民族誌のような記述的方法ではなくて、観察の背後にある法則を見つけ出そうというのが民族学 ethnology である。レヴィ=ストロースの著名な論文「歴史学と民族学」で民族誌と民族学の決別が提唱され、文化の構造を発見する民族学がよいとされた。

  • 10:40  それに対して現象学的な視点から、現象の背後の法則を探るのではなくて現象を記述して解釈を積み重ねる中で文化の真髄にせまろうという方法がクリフォード・ギアツによって提唱された。民族誌的調査(ethnographic research)を行うべきだと主張し実践したのである。そのご民族誌はフィールドワークの一手法として定着した。

  • 10:47  また現在では社会調査法の一つとしても質的調査として認められている。これが民族誌である。この概念と紛らわしい分野に民俗学がある。英語ではFolkloreである。文化人類学や民族誌と民俗学は人間の文化を研究するという意味では同じだ。どこがちがうのか?

  • 10:54  30年前にアメリカに留学してアメリカ研究の学会で民俗学のセッションがあったときにこのような質問がフロアから出た。ある著名な民俗学者が、人類学者は人が隠そうとすることを調べる。民俗学者は人が自慢したいことだけを調べる、と述べて非常に印象的だった。歌とか陶芸とか大工作業とか。

  • 10:56  僕の博士論文はニューオリンズの19世紀半ばの大工さんと彼らが建てた家の調査である。マテリアルカルチャー(material culture)というがこれは民俗学の一部だ。いずれにしても民族誌、民俗学が現象学的な影響を受けて学問の方法を変えていたのが1980年代であり、それが21世紀になって我々の日常世界に導入されたのだ。

  • 11:00  あと学生の発表で民俗誌という言葉が頻出する。多分FEPで仮名漢字変換をすると最初にでてくるのだとおもう。この言葉は柳田国男が使い始めた。慶應大学では、宮田登先生が非常勤でずいぶん長く教えられていて僕も授業をとったことがある。視点をかえた国学みたいな所もあり、興味深い。

  • 11:01  だが、民俗誌という学問と民族誌は関係がないとは言わないが、別の学問であり、別の方法である。なんだか面倒くさいが、デザイン思考では民族誌に統一しておいてもらいたい。英語ではethnographyである。(この項 完)


濃い記述と民族誌

  • Wed, Apr 27

  • 09:41  濃い記述:メディアデザイン基礎でフィールドワークの話を昨日しましたが、フィールドワークの一部が民族誌です。そして僕の方法は民族誌調査を行います。クリフォード・ギアツに影響をうけた「濃い記述 thick description」を行うことが目的です。

  • 09:58  濃い記述とは何か?Contextual Design(1998)を著したHugh BeyerKaren Holtzblattcontextual inquiry という方法を導入したときも、経験をwrap upしてそれを5つのモデルに分析するとだけ書いてある。

  • 10:01  フィールドワークの方法について詳しい検討が行われるのは実は21世紀に入ってから、それも2005年くらいからだ。それまではデザインの対象はWebだった。それがユビキタスコンピューティングが登場することで、普通に記述するのでは不十分だと言われ始めたのである。

  • 10:05  contextual inquiry は民族誌の手法を師匠・弟子モデルとして導入しているのだが、そこの説明は比較的単純である。だがユビキタスコンピューティングの登場で状況は変わってくる。民族誌の手法である参与観察(participant observation)を強調する必要が出てきたのだ。

  • 10:07 参与観察とは観察する対象の日常生活に観察者も参加する。師匠を捜して弟子として入門するというcontextual inquiryは参与観察を要求しているので入門者にとっては使いやすい方法である。

  • 10:08  またこの方法の良さは、弟子入りをするというプロセスを行うことで、観察者と観察される者のあいだにラポール(rapport)を構築するプロセスも要求していることだ。この二つの点に注意しながら民族誌調査を行う。そしてデータを得るわけだが、ここで濃い記述の問題が出てくる。

  • 10:12  濃い記述を書くためには自分が経験したことを覚えている限りすべて書く。コツ読者をその場にいるような気持ちにさせることだ。自分の経験だけを書くのではなく、必要であれば背景となるコンテキストも書き記す。観察した行動を記すだけではなくて、こうした行動がどういう意味を持つかも書く。

  • 10:16  2時間民族誌調査を行って、そのあと直ぐにファミレスなどに飛び込み、一気に濃い記述を仕上げる。この資料は非常に大切である。なにかプロダクトやサービスをデザインしようと考えたときに、デザイナーはユーザーではない。したがってコンテキストがないデザインを行う傾向がある。

  • 10:19  濃い記述はユーザーの生活世界の詳細に関する情報を書き留めておく手法なのだ。調査したい人を見つけて、ラポールを構築して参与観察をして、濃い記述を残す。この方法が顧客が満足するよいインタラクションデザインを生み出すベストプラクティスだと、現在では認められている。

  • 10:22  濃い記述ではあらゆることに注意をはらう。記述をこの段階では解釈してはいけない。「気付き」を書き記すなどもってのほかである。新しいカテゴリーとかコンセプトを発見してもいけない。ひたすら濃く記述する。そしてその記述をもとに分析を加え、解釈を行っていく。それが5モデル分析だ。

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2011年4月26日火曜日

研究現役復帰実践

  • 06:53  研究現役復帰:Emacsの次はやはり原典講読環境。学問は知の歴史の継承であり複数の領域をまたいでいくことで新しい領域に到達できる。その基本は原典であり、原典をきちんと読むことであるが、まあこれが結構難儀。僕はもともとアメリカ研究から出発しているので英語の原典に当たるのが仕事。

  • 06:55  1990年代は実は英語での思考が非常にアバンギャルドで、ポストモダンのフランスの思想家は実は英語圏で教鞭をとっており、その影響で英語でかなりのことが解った。ドイツもフランクフルト学派は英語での活動が実は盛んで、わりと英語でよかった。日本語と英語の狭間で哲学をしていたわけだ。

  • 06:59  僕の『思考のエンジン』は英語圏でのポストモダン哲学とデジタルメディアが出会ったあたりをさまよって自分で考えたことを書いた本である。そのあと、日本語にはなったが英語になるのが遅れたヴィレム フルッサー『テクノコードの誕生—コミュニケーション学序説 』に出会い、むむとおもった。

  • 07:02  数年前に稲蔭さんとCRESTという政府からの助成での研究を始めて、ユビキタスコンピューティング時代のコンテンツとは何かを考えた。その結果は今振り返ってみるとメディア芸術祭に何点も大学院生の作品が選ばれており、たいしたものだと自負しているが、このときはハイデッガーの哲学を使った。

  • 07:04  だがそれはドレイファスという非常に独創的なハイデガー解釈者のハイデガーであったために原典はドレイファスの本であった。人間の身体の延長として道具がある。その「道具」をつくり道具が創り出す新しい経験をユビキタスコンピューティング時代のコンテンツとしよう、という試みだ。

  • 07:06  ユビキタスコンピューティング技術はさらに進み、問題にするべきはもはや「道具」ではなく、経験そのものになり、経験をしている「身体」そのものが研究の対象になってきた。それは道具と身体のユーザービリティとかエルゴノミクスといった問題ではなくて、身体を動かし経験することが重要になった。

  • 07:08  フランス語圏でも英語圏でも勢いをうしなったポストモダンの思考をさらに展開したのはイタリアの美学者達である。このあたりはすこしまえに大分Tweetsしてblogにまとめた。彼らが頻繁に参照しているのがベンヤミンでありメルローポンティなのだ。

  • 07:10  ベンヤミンはフランクフルト学派と分類されることもあり、英語圏でわりと研究が進んでいる。だがメルロポンティはもう一息だ。道具の現象学から身体の現象学へと哲学を変更し、その哲学にしたがったデザイン論を展開するにはメルローポンティをどうにか読みこなさなくてはいけないなあと思っている。

  • 07:13  メルローポンティは日本語で読める。翻訳もよくできている。だが読み手である僕自身がデザインの方法論として活用しようという態度で接する限り隔靴掻痒の感じはする。まあ人文系社会科学系の研究者は原典に当たるというのが基本なので、参考書は英語だとしてもフランス語の原典を読むことにしよう。

  • 07:16  というわけで辞書を買おうとアマゾンで注文したら入荷まで1ヶ月とかでてきた。フランス語は人気がなくなっているんだねえ。ふとおもって日本橋の丸善へ。Oxford Dictionary Frenchがどんとおいてあったので購入。仏英・英仏セット。ついでにミニ版も。これは辞書選びの基本。簡単な辞書が大事。

  • 07:17  学問は形からということで、万年筆を購入。セーラー万年筆のコーナーがあったので懐かしくて覗いたら、透明ボディのものがあり、気に入って購入。大人なので2万5000円くらいでも買えちゃうのが嬉しいね。学生時代は1000円とかの万年筆。赤のインクも購入。

  • 07:23  ついでにモールスキンの大判のノートも購入。文具を買うのは研究的生活の快楽だね。オシャレな子がブティックでお洋服を買う感じ。で家に戻り、Maurice Merleau-Ponty Phenomenologie de la perceptionを取り出す。

  • 07:27  Gallimardが2005年に新しく出したもので印刷は2010年。勿論原書は1945年。実はこれも大人なのでフランスの古本屋で割と状態の良いフランス綴じの本を入手してある。頁の割り振りが違うみたいだ。このあたりはどの箇所を引用しているか、で大切になるところだけどね。

  • 07:37  さて、形から始めて、いよいよ序章の1:LA SENSATION を読む。おお、いきなり難しいではないか。sentirの使い方が独特。英訳も日本語訳も解説しながら訳しているところだ。条件法接続法が頻出。なるほど。なかなかすっきりとは解らないね。

  • 07:40  お勉強の形にこだわってみたが、昔ながらの方法に加えて、新しいツール紹介。Webのフランス語>>英語辞書を使っている。 http://www.french-linguistics.co.uk/dictionary/ これはとても便利。

  • 07:45  動詞の変化が解らなくてもインプットするともとの動詞を教えてくれると共に、変化形が何かも教えてくれる。僕もそうだが、哲学歴史社会学の研究者は語学力不足からどうしても単語の意味に引っ張られて読んでしまうので、文学の専門家のようなしっかりとした読みができない。そこをちょっと助けてくれるのでこれは重宝する。

  • 07:47  奥出直人のA Sentimental Journeyというblog http://blog.livedoor.jp/naohitookude/ でメルローポンティへの旅が(3)で中断していて、先が読みたいという声があるのですが、しばしお待ちを。このペースで読んでいていつになるか解らないが、原典で読み終わったらね。書きたいことは山ほどあるので夏前には。(完)

Powe

OIKOSワークショップへのご招待

  • Mon, Apr 25

  • 06:36  KMDリアルプロジェクトOIKOSグループではイノベーションの方法を模索して実践する開発ワークショップと知的フロンティアをラディカルに模索する研究ワークショップ、コラボレーション学習環境を構築し実践するマネージメントワークショップを提供します。(続く)

  • 06:37  加えて、企業や自治体など外部組織とのコミュニケーションを学ぶビジネスワークショップ、将来の施設を検討する普請ワークショップという複数のプロジェクト横断的な活動があります。各ワークショップにサブワークショップが加わります。ワークショップはKMDの学生全員にオープンです。

  • 06:40  ワークショップを主催するのはKMD博士課程の学生です。すでに大学で教えていたりビジネスの経験がある学生が非常勤講師としてスキル科目の形で提供します。マーケティングではなくてイノベーションを基本としたビジネスをデザイン思考で作成したプロトタイプをつかって、企業相手に展開します。

  • 06:43  OIKOSグループは社会的に意味のあるプロダクトやサービスをゼロから生み出して、それを実際の社会に適応して具体的に意味のある成果を上げるまでの活動をを責任もって実行するために必要なあらゆる知識と技法を実践のなかで学んでいきます。実際の企業や外部組織へのプレゼンも行います。


2011年4月25日月曜日

アイビーの時代とジャズ


  • Sun, Apr 24

  • 18:04  クロゼットを整理していたら大学の終わりか大学院の初め頃に買ったCross and Simonの濃紺のサマージャケットが出てきた。当然入るわけなく、息子に。ジャストフィット。VANKENTで日本にアイビーファッションを誕生させたくろすとしゆき氏のお店。

  • 18:06  高校生の終わり頃から、紺のジャケットにはじまり何着もジャケットを購入。スーツもいくつかつくった。赤のカシミアのカーディガンを白のボタンダウンのシャツに合わせるのもここで学んだ。ちょっとまえに『くろすとしゆきのアイビーの時代』という本が河出書房新社からでている。

  • 18:10  ハリスツイードのジャケットもダブルブレストの紺ジャケット、グレーのジャケットの着こなし、キャメルのカシミアジャケットなどいろいろ買ったなあ。ほとんど両親の家の納戸にのこっているが。『くろすとしゆきのアイビーの時代』を読んでいてびっくりしたのは、学生ジャズバンド時代の話。

  • 18:12  一緒にやっていたメンバーはテナーサックスの杉原淳。すこし前、僕のサックスの先生だった。古い人なら、11PMで番組の最後にちょっとサックスを吹いていたおじさんといえばわかるだろうか。本当に30秒とか長くて1分くらい。そんな出番だけのためにスタジオにいたわけではなかった。

  • 18:15  11PMの番組全体の音楽監督をしていた。大橋巨泉さんがサラブレッズというジャズバンドをもっていて、そこのバンマスが杉原さんで、11PMの音楽は全部彼が担当。高度成長期で日本人が遊びを覚え始めた頃だ。サラブレッズでピアノをひいていたのが僕の歌の師匠の澤田靖司。そんな時代だった。

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2011年4月24日日曜日

OIKOSプロジェクトへのご招待

  • 10:53  今年から僕がかかわるリアルプロジェクトを一つのグループにまとめました。OIKOSと呼ぶことにしています。ギリシャ語で家の意味です。もう一つDOMUSという呼び方があります。こちらはラテン語。OIKOSはより日常的な生活空間に関係します。

  • 10:55  そのなかに含まれるプロジェクトは1)メディカルプロジェクト、2)メディアファニチャープロジェクト、3)ミュージック&サウンドプロジェクト、4)アーバンメディアプロジェクト、5)大阪イノベーターズクラブプロジェクトです。OIKOSグループ全体として技法を共有します。

  • 10:58  技法としては、インタラクションデザイン(小林茂)、形のデザイン(柏樹良)、ビジネスのデザイン(芦澤賢一)です。コラボレーション文章表現法は僕が教えます。あと、メディアをインタラクションにするときに不可欠な数理モデルについては博士課程の学生をTAとして実践的に教えます。

  • 11:02  基本的に閉じられた空間デザインを行います。住まい、オフィス、ショッピングモール、遊園地、図書館、美術館などあらゆる種類の空間を内部から人間中心にデザインをしていきます。手に取ることの出来ない音や光,匂いもデザインの対象です。

  • 11:04  デザイン理論としては身体性を重視する新しいポストウィノグラードをにらんだ(つまりはポストハイデガー的な)現象学的設計論の構築を目指しています。またHorst Rittelが提唱したwicked problemを解決する方法としてのデザイン論の構築を目指しています。

  • 11:06  OIKOSにおけるデザインの対象はプロダクトからインタラクションへ、そしてメディアへと拡大しています。詳しくは来週のクラスターミーティングで。

デザインの対象はインタラクションからメディアへ

  • Sat, Apr 23

  • 08:50  KMD到着。9月生修士論文中間発表。9月生は英語。ネイティブの学生もいればそうでないものもいる。中身と形式が整わないといけないので、学ぶことあるいは学べてないことは日本人の学生とそんなに変わらない。節目があるのはいいことで、内容が急によくなった学生もちらほら。本番どうなるかな。

  • 12:51  経験をデザインする、ということはインタラクションをデザインするのではなくて新しいメディアをデザインする、ということです。そしてそのメディアは参加型になっている。音楽経験、読書経験、あるいはスポーツで競争をする経験、イベントに没入する経験。そこにむけてデザインを行う。

  • 12:58  僕の研究室でまだスマートフォンが一般的ではなかった頃、新しい経験を可能にするメディアをつくってbikewareとして発表した。http://vimeo.com/2781139 平成20年度[第12回]文化庁メディア芸術祭で審査員会推薦作品となっているが、こんな感じ。

  • 12:59  このときはまだソーシャルメディアやその先が見えていなかった頃だが、スポーツを楽しくする経験として競争に注目してあたらしくメディアを一からつくった。様々な装置が高性能で安価になったいま、新しい経験を可能にするメディアそのものをどんどんデザインしていって欲しい。

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2011年4月23日土曜日

スマートフォンに行動履歴が自動的に記録されている

  • Fri, Apr 22

  • 04:34  すでにニュースにはなっているけれど、iPhoneに埋め込まれているDataについて。使ってみたけれど、僕が動いていたアメリカとシンガポールと大阪と東京の記録は全部iPhoneファイルにある。http://petewarden.github.com/iPhoneTracker/

  • 04:43  オープンソースのこのプログラムはそのデータがどのようなものかを我々に認識させるためのもので実際のデータはぼかしてある。オーウェルの小説の『1984』の描くディストピアを破壊するマシンとしてマッキントッシュが登場してあの名作CMとなった。http://bit.ly/9GCJuB

  • 04:53  自己責任で管理するデータとして自分の行動履歴はかなり重宝する。これを他人に知られたときには問題になる。電話会社はこうした個人データを持っている。したがって、このデータをむやみに開示してはいけないという法律上の縛りがある。だが、マーケティングでは個人情報はかなり利用されている。

  • 04:59  今後社会の維持に必要となるさまざまなサービスを考えると、この問題は深刻だ。200年前に近代社会を作ったときの技術と現代の技術は大きく異なっている。だが社会システムは当時の技術を前提としている。このズレの問題に本気で取り組む社会科学者が必要なのだ。時間のかかる長い作業だと思うが。

  • 05:20  RT @needle: .@NaohitoOkude Androidでも同様のプログラムが出ており、どうやらiPhoneに限った話ではないようです。 http://t.co/5ghQDKg


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2011年4月20日水曜日

Emacsへ帰還

  • Tue, Apr 19

  • 10:03  KMD4年目の初日。メディアデザイン基礎。10時45分から。さて、ことしのクラスはどのくらい爆発するか。楽しみ。

  • 10:13  少し前に研究最先端復帰宣言をしたが、だいぶかたまってきた。少しずつ紹介をするが、そのまえにエディターを20年前のようにEmacsに変えることに。Emacs/LaTexの世界を研究環境として再構築。OSXにはデフォルトで入っているのでインストールは問題なかった。

  • 10:15  とはいえ、こまかなことは忘れているので、本を探していたが、『Emacsテクニックバイブル』が良さそうなので購入。ストールマンの哲学が強烈に反映していた初期のEmacsに加えて、その後多くのパッケージが開発されていて、さまざまにカスタマイズできる。しばらく時間をかけて環境作成。

  • 10:17  ところでSFCが始まったときにNewsのワークステーションでEmacsを使ったのが最初だったが、ビットマップディスプレイで美しかった。UNIXOSで動いていたのだが、この日本語化プロジェクトはいまKMDの古川さんの仕事だった。UNIX世界の日本語環境化は実に大きな仕事だった。

  • 10:26  すこしまえに日本でおこなわれたUbicompの学会のシンポジウムに出たことがあるが、そのときにWindowsを使うようになって知能がていかしたよねとゼロックスのParcの研究者と話したことがある。Unixの取っつきにくさが普及を妨げたのは確かだよねえ。

  • 10:29  秀丸なんか使うなよと研究会でいっていたのも昔の話。いまや文章はWordだし。そんな世界になれてしまって今に至る。デジタルメディアを研究するには修士論文はLaTexだよとKMDで僕の下で論文を書く学生には言っている。


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2011年4月13日水曜日

危機管理と危機回避:医療事故をめぐって

  • Tue, Apr 12

  • 08:54  田村耕太郎さんのケネディスクール危機管理合宿のレポート。おもしろいねえ。アメリカの組織の良い面。日常世界を安全に管理するのは下手だけど、危機には伝統的に強いのがアメリカの組織。アポロ13号の時もそうだ。フロンティアの歴史かなあ。 http://bit.ly/eWZybe
  • 09:41  手術室医療ミスをなくすシステムの設計の為の調査を行ったことがある。事故がおこったときの対応をどうするか細かく想定して提案したら「いらない」と。事故が起こったらしょうがない。全力で対応するしかない。彼らが欲しいのは事故が起こらない仕組みだという。

  • 09:44  そこで事故が起きる状況をかなり調べた。高度な作業を何人も出行う手術室のオペレーションは人間の能力を究極に使い切る場所の一つである。医療事故は非常に難しい自体に直面して起きることはほとんど無く、医師が起こっている事態を処理するために必要な能力の評価を間違うと起こる。

  • 09:51  これは新米とは限らない。高度な手術をおこなっている病院から普通の手術を行う病院にローテーションで移り、5年で戻ってきたときに技量が落ちている。その時にもおこるし、年をとってきても起こる。手術は手術計画をたてて行うが、実際にはその計画通りには行かない。状況的行為で対処する。

  • 09:54  その記録をノートやカードに保存して共有する。そこにはパターンが生まれているので手術室での事故を防ぐために不可欠の作業だ。しかしそれはまた特定の手術室というコンテキストに高度に依存している。ちょっと前まで慶應系と東大系では同じ手術でもどちらの向きからメスを入れるかがちがった。

  • 09:56  こうした分野は「標準化」すると効果が下がっていくので、職人技として師匠から弟子へと継承していく。これに麻酔医が加わり、最近は医療機器を操作するエンジニアも加わる。こうした高度なシステムにおいて、僕たち部外者は事故がおこったときの対応を考えてしまうが、医者は違う。

  • 09:58  事故が起きないシステムが欲しいというわけだ。事故が起きたときにどう対応するかのシュミレーターではなくて、事故が起きないナビゲーターが欲しいというわけだ。もう8年くらい前の話である。いまなら「ああ、こういったメンタルモデルなんだ」とすぐにデザインできるが、当時はその道具がない。

  • 10:00  何度も手術室に立ち会った。(研究担当の教授という役割をもらっていた)手術計画に従いながらもその場その場の判断で別の行動をする。これをsituated actionと専門用語で呼ぶ。ゴールは明確だ。そのゴールに到達するときにいくつかの経路がある。

  • 10:03  好ましい選択は事故が起きやすいところを避ける、である。タクシーの運転手がカーナビをみて渋滞の場所をさけるようにだ。避けられないときは自分よりも能力の高い医師にバトンタッチをする。そうして事故がおこる確率をできるだけさげる。もし起きたら総出で危機に対処するしかない。

  • 10:05  日常的に必要なのは危険を避けて目的を達成する作業を支援してくれる仕組みだという。これは麻酔医のメンタルモデルだ。とにかく切って悪いところをとりたい外科医ではない。外科医が患者を手術しているときに、これ以上手術をしたら人命にかかわる、と言うのも麻酔医の大事な役割である。

  • 10:07  最近は機械が手術室に入ってきていて、オペナースの負荷が下がっている。だがそれはそれで厳しいトレーニングがなくなるとミスがおきる割合が高まっていく。日常的な業務の中で事故を減らして手術のクオリティを上げていく。これはデミング博士の品質管理の方法だな。

  • 10:10  この研究は3年ほどで終了した。手術室で医師は手も足も五感も全部動員して作業をしている。その状態でどのようなインターフェースを設定するのか、いくつか試したがどれも使い物にならなかった。が、じつはKinectが使えそうだなといま思っている。もう一度この問題に挑戦するつもり。

  • 10:16  もう一つ大切な場所に緊急救命室がある。救急医療は外科とは別の分野だ。ここも大切である。ITと医療って医療知識にITを関わらせようとする研究がほとんどだけど、日々の手術室や緊急救命室における医師のプラクティスを支援する方法も大事だ。

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2011年4月12日火曜日

Organizational Behaviorという学問について

  • 11:17  RT @kotarotamura: 危機管理でまず想定してはいけないものは、「完ぺきなリーダー」。ここから全てが間違う。最悪のアホが力を持つと仮定して練り上げるのが危機管理。

  • 11:23  kotarotamuraさんのTweetsをRTしましたが、このような議論をorganizational behaviorといいます。きちんと確立した学問なのですが、日本のビジネススクールではしっかりと教えていませんね。エリート育成論の方が好きみたい。『実行力不全』も絶版だし。

  • 11:26  あとこれも絶版かもしれないけれど、マーゴ モレル『史上最強のリーダー シャクルトン — 絶望の淵に立っても決してあきらめない』 もいい。聡明な計画を立てる人が偉いわけではなくて、地道な活動を確実に実践する人が尊い。アメリカのビジネススクールのもう一つの側面。

  • 11:30  日本において聡明なリーダーの不在が議論されるけど、本当に大事なのは実践部隊をまとめあげて確実に一歩一歩進める力。イノベーションマネージメントの極意は実はここにある。企業戦略をたてて放り投げても意味がない。地道な作業はとオペレーションと呼ばれていてなかなかニーズは高い。

  • 11:32  オペレーション部隊を率いて確実な成果を上げる実践部隊が戦略立案戦術管理部隊とおなじボートに乗っていないときに悲劇が起きる。その意味では日本陸軍だけではなくて日本海軍も失格。オフィーサーがパイロットだったから人命を失わないことが戦略のポイントだったアメリカ軍と人間を使い捨てた日本。

  • 11:34  オフィサーはジェントルマンであり、一番の危機の時には最初に突っ込んでいく。しかし、その命を出来るだけ守ることが持続的な戦争において最終的な勝利を導く。パイロットの命を救うために鉄で回りを囲い、運動性能が落ちた分はエンジンの馬力で稼ぐ。組織力。

  • 11:36  この問題を早くから指摘していたピーター・ドラッカーは人を人と見ていないGMのマネージメント体制を改善するレポートを出した。だが会長のスローンが拒絶。そのあとこれが『現代の経営』として出版される。方法の実践はどうなったのか気になっていたがドラッカーの回顧録で、トヨタで採用されたと最近知る。

  • 11:37  そのトヨタもこれからアジアへの工場進出に向かっていくわけだが、植民地型工場経営にならないことを願うね。トヨタウェイを貫いて欲しい。(この項、完)

  • 田村耕太郎さんのケネディスクール危機管理合宿のレポート。おもしろいねえ。アメリカの組織の良い面。日常世界を安全に管理するのは下手だけど、危機には伝統的に強いのがアメリカの組織。アポロ13号の時もそうだ。フロンティアの歴史かなあ。 http://bit.ly/eWZybe

  • 17:20  地震で池袋から赤坂見附移動中に緊急停止。

伊藤忠商事社長岡藤正広氏のインタビューがとてもいい


  • 09:51  日経ビジネス4月11日号伊藤忠商事社長岡藤正広氏のインタビューがとてもいい。
  • (1)業績評価制度の見直し

  • 儲かった部門の報酬を上げる方法では未来の投資が出来ない。今儲かっている資源は20年前は儲かっていなかったのだから業績が良い悪いで報酬を決めない。いいね、この方向。

  • 09:53  
  • (2)管理部門の分割。

  • 本社に管理部門があっては迅速な現場の判断が出来ないので、繊維なら繊維部門に管理や経理の組織をつけた。営業と管理の距離は離れてはいけない。これもいいねえ。いちいち本社の管理を通すと仕事が遅くなるし、本社の管理の人間は現場を支援するリアリティがなくなるから。


  • 02:01  
  • (3)顧客中心の判断

  • これはすばらしいね。繊維部門だからヨーロッパのブランドとのビジネスが長い。経営が苦しくなって伊藤忠に会社を買ってくれと頼まれることがあるという。管理部門ではブランドの価値つまりは商標権は解らない。しかし、そのブランドの顧客を熟知している営業部門は違う。

  • 02:02  そのブランドがどのような顧客を抱えているかを知っていれば価値が解る。つまり現在幾らの収入があって、今後もそれがみこめるから、幾ら投資しても、たとえば3〜4年で回収できます、と判断が出来る。逆に客のいないブランドを買うと失敗する。それは見込みだから、と述べる。

  • 02:05  

  • (4)外国語:中国語圏への留学の強化。

  • 実際に中国と商売してみて解ったのは、多くの中国の企業のトップがたたき上げのオーナー経営者なのでほとんどが中国語しか話せない。彼ら相手のビジネスをするには通訳を介していてはまにあわない。中国語が必要だ、という。2008年から若手を留学させる。

  • 02:08  若手の社員は自分で街に出て「片言」でいろいろな人と話をして中国社会を分析して非常におもしろいレポートをあげてくる。そこで若手全員を対象にして制度化することにした。英語に関しては半年の留学制度があったがそれに中国語を加えた。21世紀グローバル社会への対応としていいね。

  • 02:09  またグローバル化を目指すと行って、社内の公用語を英語にはしない。そんなことを決断する会社はトップの海外駐在が長かったり留学していたりと英語に不自由しない人たちだ。無理に英語を使おうとすると能力が七掛け六掛けになる。そんな状態で会議をしてもしょうがない。

  • (5)生活消費関連を重視:

  • 資源のように一発で何百億円儲かるという話ではないが地道にやっていけば安定した利益になる。くわえて中国との関係も、国民の支持が大事なので中国政府が無茶をすることもない。またパートナーの多くが台湾企業なので一緒にチャイナリスクを考えながらビジネスをする。

  • まとめ
  • 02:15  以上伊藤忠の新社長岡藤さんのインタビュー記事をまとめたが、すばらしいね。21世紀のグローバル社会の行方と日本についてこのごろよく考えているが、西から東への資本主義の移動はシンガポールで教えたりビジネスの可能性を検討しているとひしひしとわかる。

  • 02:18  20世紀は英語グローバリズムの世紀だった。まあこのイナーシャは当分続くとみているが、コミュニケーションのための言語になっていくのではないかと思っている。人間の精神を植民地化するような強烈な英語至上主義は終わろうとしている。

  • 02:20  英語なんか全くしゃべれない人がおしゃれなブランド服を着る。健康な生活をしてうきうきとデートをしてパートナーを見つけて子供を産み育て教育する。資本主義の直球である。人々が日常生活でこうした生活を求める限り、ビジネスは存在する。いいねえ。

  • 02:22  いま商社によってはロシアに社員を語学留学させているところもある。戦後商社社員は果敢に英語をつかってビジネスをした。その範囲が中国語、ロシア語に広がろうとしている。商売する相手の言語を片言でしゃべって果敢にビジネスをしていく。一方意志決定などは母語で行う。とても良い形だと思う。

  • 02:25  いま世界は非常に微妙な局面にある。コミュニケーションとしての英語はグローバル化によってますます必要になってきている。だが言葉は強烈だ。その言語をより巧みにあるいは母語として操る人間の価値観が伝播する。またこの言語の力を利用して相手を支配しようとする。ソフトパワーだ。

  • 02:30  憧れとコンプレックスと道具としての利便性のなかで揺れ動くのが外国語と母語の関係だ。またこの微妙な力を利用してくるのが言語政治学である。こうした微妙なところをしっかりと感じ取って国家をこえて言語文化のダイナミックスのなかでしっかりと生きていくのが21世紀グローバリズムだろう。(完)


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2011年4月1日金曜日

新しいLiveについて 音楽メディアの未来

Thu, Mar 31

19:19  Body and Soulという老舗のジャズクラブがある。僕は大学の頃からだから古いよね。名門でここでライブ出来るのは別格。今日友達がバンマスしているオーケストラがでる。Ustreamでやっている。http://www.ustream.tv/recorded/13422051

19:22  まえのTweetsにつけたURLは伊藤君子さんのライブ。だが、見ている人(聞いている人)が少ない。他もたいしたことはない。音をどのようにとってどのように流すか、配慮しないともったいないなあ。ミキサーも入れなくてはいけないし、カメラも工夫が必要。すると全然ちがってくる。

19:25  実はここをすこしきちんとやってみたい。ライブの音楽を聴く経験をUstreamつなげる。古川さんが坂本龍一さんのコンサートでやってみせたようなこと。ただカメラとマイクをおいてインターネットに流すのではなくて、インターネットにおける音楽経験そのものに感動を載せる。

19:28  書きながら伊藤君子さんのライブUSTを聞いているが、音そのものの力がない。これが聞いている人が少ない理由だろうな。僕が録音したみたいな音だ。つまりは素人だ。ここに感性と実力のあるミキサー・カメラスイッチャーをいれるだけで全然かわってくる。

19:30  12月の大晦日には村井純さんのWIDEがベートーベンの交響曲をUSTとそのお化けのような構成の回線で流した。KMDでこれを聞いたが素晴らしかった。東京や大阪の豊かなライブ状況を感じて、そしてライブにもよく行く。あたらしいソーシャルメディアがここに誕生して良いはずだ。

19:32  4月にKMDに入学する学生にこのあたりに興味がある奴がいるので、ちょっと考えてみたい。ウォークマン以来、ヘッドフォンに音楽を閉じ込めてきた30年だ。そろそろ生活空間にもう一度音楽経験を解き放つときがきてもいい。

21:35  RT @tamakiINADA: @NaohitoOkude Ustのライブを視聴させて頂きました。配信専用のミキシングをされると格段に良くなると思います。音がバラバラに聞こえLive感がないのが残念です。PAのもらいや、単にミキサーを入れるだけでなく、配信後の視聴環境を ...

21:36  RTしましたが、稲田君さすがです。こういったことをしっかりと積み重ねたいと思っています。相談させて下さい。

以下関連参考URLです。この件これから時々Tweetします。

新しいリアリティ/新しいメディア:VRと3Dインターネット放送

shinchan_orz 
@NaohitoOkude いまhttp://www.juilliard.edu/live/index.php でジュリアードのライブ生中継してます。もうすぐ終わりそうですが…昨晩のツイートと関連して。もしお時間あるようでしたら!