- Sun, Sep 05
- 12:35 現役復帰宣言:って大げさだけど、金曜日に稲見君他と六本木の鮨直で鱧料理を食べながら今後のKMDの学問の方向性について話していて、隗より始めよは勉強方法だけではなくて研究もだなと。川崎和男さんに送ってもらった20年前の『バグニュース』の僕の連載をみると博士号をとったばかりの勢いがある。
- 15:18 研究ゲームに現役復帰するにあたり、まずはドメインの決定だ。インターアクションデザイン、美学、倫理学、イタリア現代思想のクロスする領域を考えていきたい。領域が決まれば先行研究調査だ。これは僕の時代はCitationIndex、いまは大学の図書館にインターネットでアクセスできる。
- 15:20 アクセスできれば、画面で文献を探し、そのままBookendsソフトウェアにダウンロードできる。Bookendsは定番だがいまは他にも良い物があるみたいだ。いずれにしてもこうして先行研究を調べていくうちにフロンティアでありながら僕のいまの能力で挑戦できる領域が見えてくるはず。
- 15:21 まあいまさら博士号は入らないので、新しい理論書を書くつもりで論文を執筆して応募していきたいと思う。楽しんでフロンティアに挑戦だ。
- 19:26 SFCに勤め始めたのが1990年で、その年にアメリカに教えに行って、1991年、湾岸戦争だった。緊張の中、ワシントンDCから先に家族を帰してニューヨークへ。帰国後NTT中央研究所のメンバーに3年ほど加えてもらい、その後、2001年に9/11テロ。僕の中で何かが崩れ落ちた。
- 19:30 インターネットからヴァーチャルリアリティ、ユビキタスコンピューティングとインタラクションデザインの領域を拡大してきたが、英語圏での思想の展開と流通はすざましく、普通に英語で哲学的な問題を理解し、考えてきた。暴走するグローバリズムという名のアメリカ的生活様式(ネグリの「帝国」)だ。
- 19:33 2008年のリーマンショックがこの「帝国」を崩壊させた。反アメリカという意味ではなく、帝国の力が衰えてきたのだ。マクドナルドのある国は戦争をしないというトーマス・フリードマンの楽観論も吹っ飛んだ。だが、いま僕たちが暮らしている世界は実はそれほど悪くはない。
- 19:38 経済成長つまり資本主義がさまざまな形で地球を覆っている。社会の編み目の中に埋め込まれていた人間は自由を感じ始めるだろう。民主主義の登場だ。この二つがせめぎ合ってどのような社会を作っていくかの答えは、実践の中にしかない。ヨーロッパやアメリカが到達した答えとは別になる。
- 19:43 ではそれはなにか?分からない。だが、過去20年間英語によって思考され表現されてきた世界ではないところにヒントはあるような気がしている。アメリカの大学で講義を繰り返してきたヨーロッパのポストモダンの思想家の多くは物故した。ヨーロッパ思想と英米の功利主義がもたらした帝国は終わった。
- 19:46 英語でコミュニケーションされる空間はこれからも機能し続けるだろう。だが、そこからだけでは何も生まれない。その空間になじまない世界が資本主義と民主主義に出会っている現場から次の世界のビジョンを見つけなくてはならない。それはネットワークにつながったインタラクションデザインの世界だ。
- 19:50 セキュリティ、知財、エコロジー、生と死、家庭、公共空間、人間とは、美学と倫理、道徳、共同体、など活字と蒸気エンジンが作りだした世界に対して200年前に定義されたままだ。21世紀の世界にまったく似合わない。どのように新しい制度をデザインしていくのか、スローガンではなくてビジョンを!
- 19:56 ドイツやイタリア、そして日本(三国同盟みたいで物騒だが)で手を動かしてものを作ったり電子工作したりしている現場をみていると、英語の言説ですくえない身体の表現世界を感じる。これはなんなのだろうか。美と倫理が分けがたく融合している状態だ。この世界に対峙して行くべきなのだ。
- 19:58 近代化(西洋化)の言説の中に埋もれてしまった日本やイタリアのモダンデザインの歴史はこの「なにか」を説明することでまったく別のものになると考えている。ここから先はこれからの研究課題。(この項、完)
analysis
2010年9月6日月曜日
現役復帰宣言
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