- Tue, Jun 29
- 21:22 フェラーリとイノベーション:イノベーションとブランディングについて考えている。すでに商品があってそれをどのようにブランディングするかはマーケティングの領域だし、マーケティングリサーチが役に立たなくなった90年代にはアーカーのブランドエクイティ戦略がもてはやされた。
- 21:27 だが、イノベーションとブランディングに関してはきちっと議論されていない。アップル社のi-Padなどをみると、見事にイノベーションとブランディングが一緒になっている。このことが気になったのはフェラーリについて少し調べていたときである。きっかけは後藤治氏だ。
- 21:29 ホンダF1のエンジン開発を担当して業績をあげた後藤氏は、ホンダがF1から撤退した後、フェラーリでV10エンジンを開発する開発責任者となった。後藤の開発したエンジンは1996年よりフェラーリ・F310に搭載されて実戦に投入され、ミハエル・シューマッハのドライブで3勝を挙げる。
- 21:32 またデザインにおいても奥山清行氏が市販車のいくつかを担当したことは知られている。フェラーリが日本の匠を活用している。i-Podできいたよう話だ。このことを知ってびっくりしたのは日本人が活躍しているからではない。優秀な日本のエンジニアやデザイナーが参加してもフェラーリはフェラーリ。
- 21:35 経済的危機におちいっていたフェラーリの中興の祖はルカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロである。ローマ大学卒業後に弁護士を目指しアメリカのコロンビア大学に留学した後、1973年にエンツォ・フェラーリの招きで当時成績不振に陥っていたF1のスクーデリア・フェラーリのマネージャーとなる。
- 21:37 以下はWikiPedia からの抜粋。「1991 年にはエンツォ・フェラーリ亡き後のフェラーリに社長兼マネージングディレクターとして再度入社。当時F1チームの慢性的な成績不振を抱えていた上、市販車の品質にも大きな問題を抱えていたフェラーリの建て直しに着手した。」
- 21:43 モンテゼーモロはF1監督にジャン・トッドを招聘し、さらに必要な人材を確保。その後、フェラーリは1999 年から2004年まで6年連続してコンストラクターズ・タイトル・チャンピオンに、ミハエル・シューマッハが2000年から2004年の5年連続でドライバーズ・チャンピオンを獲得。
- 21:45 さらにWikiから。フェラーリ社の市販車の品質も大きく改善させ、その品質で高い評価を得た355や456を開発し市場投入。フィアット傘下で高級スポーツカーメーカーとして有名なマセラティをフェラーリ傘下に。フェラーリとともに品質改善、売り上げを急増。 フィアット会長へ。
- 21:47 2004 年当時フィアットは慢性的な赤字を抱え経営難。再度経営建て直しに手腕をふるい、同社は2005年11月には単月黒字を計上。2005年7月に発売が開始された小型車であるグランデプントが、2006年1 月のヨーロッパ市場における販売台数1位に。長年の低迷から完全復活させた。
- 21:50 フェラーリとイノベーション: とまあ、モンテゼーモロの経歴をWikiから抜粋してきたが、僕は彼の経営手腕はイノベーションのブランディングにあるとおもっていて、、それもフェラーリの経営においてそれが確立したとみている。今晩はちょっとその辺りをしばらくTweetしたい。
- 23:01 フェラーリとイノベーション:独自にエンジンを開発してF1レースで活躍して、走りに徹した市販車を売る。この会社が経営危機に陥いる。当然だろう。
- 23:04 モンテゼーモロがフェラーリの再建にはいったときに、F1の強化を行う。フェラーリはF1を行うためにその資金を市販車の販売で稼いでいたと言われていた。それを逆転させるのだ。F1でフェラーリのブランドを確立して、その勢いで市販車を売る。品質を向上させ多くのファンをつかむ。後藤氏と奥山氏がフェラーリで仕事をしていた訳だが、それによってフェラーリが変わった かというとそうではない。フェラーリはフェラーリだ。モンテゼーモロのブランド戦略は揺るがない。
- 23:07 フェラーリのエンジンのブランド力を活用して、マセラッティを傘下に。やはり品質を向上させて多くの顧客をつかむ。また世界のお金持ちを相手に、フェラーリをうる会を頻繁に催す。F1を素人に運転させたりして、高級なおもちゃを売りつける。こんどのおもちゃは壊れにくい。その手腕は見事だ。また広告宣伝費はゼロ。
- 23:10 F1はイギリスのエンジニアたちが横のつながりでレースカーを開発してきた伝統にのっとたスポーツである。普通はイギリスに拠点を構えないと優秀なエンジニアを調達できない。モンテゼーモロは次々と優秀なエンジニアやデザイナーを引き抜いて活用していく。後藤治氏もその一人だ。
- 23:14 さて、経営が改善されたフェラーリだが、その収益構造がびっくりする。フェラーリは世界の超大金持ちに車をうっている。だがそこからの収益(売り上げではない)を上回る収益源を持っている。ちょっと数字をみてみよう。
- 23:22 以下はhttp://bit.ly/9zQqpD 数字からみるフェラーリを参考にしている。 データは2006年。市販車などの宣伝広告料は驚異の0円。フェラーリは広告を出さない代わりにF1に出場する事などによってフェラーリのブランドイメージを強めている。
- 23:30 営業利益は3億3900万ユーロ、日本円に換算すると約400億円。年間販売台数は6587台。ちなみにトヨタは約860万台。利益の出所はフェラーリの売り上げはもちろんだが、加えてフェラーリのグッズ等のロイヤリティ。フェラーリのロゴが入ったグッズから、フェラーリと提携して出た商品まで。ブランド名を売ることで利益を得ている。
- 23:35 詳しい数字はいま調査中だが、売り上げの3割はグッズで、利益の7割はグッズからという話もある。モンテゼーモロのブランドビジネスの成果だ。彼は有名ブランド「TOD'S」の役員、お酒のチンザノ・インターナショナルや超高級家具「ポルトロナフラウ」、「カッペリーニ」等、数々の社長を歴任。
- 23:47 最近、フェラーリの工場の番組があった。National Geographicの特集である。 http://bit.ly/ciChYW これをみてびっくりするのは、フェラリーを素材からシートまで、エンジンも含めて最新鋭の工場と熟練の職人の組み合わせで作っている。
- 23:55 エンツッオ・フェラーリの時代は鍋職人に車体をたたき出してもらい、赤い色を塗ってアメリカのお金持ちに売るビジネスだった。そのうち車体のデザインをうけもつカロッツッリアが登場して、彼らは多くの車メーカーのデザインを請け負いビジネスを行う。速い車、速そうに見える車に価値があった。
- 23:58 だが、モンテゼーモロがフェラーリの経営を任されたときはそのようなビジネスは立ち居かなくなっていた。彼が着手したのはおもちゃをうって金を稼ぎF1につぎ込むビジネスモデルからの脱却であった。F1で強くなる。そこでうまれたブランド効果を生かすために市販車の信頼性を向上させる。
- 00:00 ファンを増やすために金持ちの道楽者にレースの雰囲気を楽しませる会を頻繁に行う。個人でF1をもってい てサーキットで走らせる道楽者は日本にもいるし、世界にも何人かいる。こうした人たちに5000台から6500台くらいの車を売る。だが、フェラーリを支 えているのは道楽者だけではない。
- 00:03 フェラーリストアがある。フェラーリのロゴが入ったグッズをうっている。ヨーロッパの各地にあるが、ここ の売り上げも利益も大きい。フェラーリを持っていない人がかっても後ろめたくない。フェラーリはフェラーリオーナーだけのものではないのだ。このようなブ ランディングはメーカーにしかできない。
- 00:07 強い車を作る、壊れない(フェラーリの場合は壊れにくい)車を作る。これはエンジニアリングの問題だ。 F1でブランドを確立して、それを市販車に、そしてグッズへと拡大していく。この手法こそがモンテゼーモロのイノベーションである。ミニカーでフェラーリ に夢を見る少年もフェラーリーの愛好者だ。
- 00:11 F1撤退をきめたホンダやトヨタは車で夢を売るブランドビジネスから撤退したと言える。20世紀の産業を ささえた車メーカーは21世紀に生き残っていくことは難しい。だが、F1のファンタジアに満ちたフェラーリはモンテゼーモロのブランディングイノベーショ ンで生き延びる。
- 00:16 フェラーリの次の一手はモンテゼーモロの次の社長がだれになるかにかかっている。だが、我々はモンテゼー モロのフェラーリ再建から実に多くのことを学べる。高いブランド品を限られた金持ちに売るビジネスではなく、社会に広く認知されるブランドを構築するため に技術を駆使する。
- 00:18 そして、そのブランドを販売するお店を作る。比較的安いお金でフェラーリの夢を見ることができるのだ。そ んな消費者をだれが馬鹿にできるだろうか?偽物のフェラーリに乗っている訳ではない。フェラーリというブランドを愛して、フェラーリのふりまくファンタジ アを楽しんでいるのだ。
- 00:20 エンジニアリングの使い方もすてきではないか。F1に勝つために一流のエンジニアを集める。信頼性のある フェラーリをつくるために最新の工場を造る。高品質なタッチを維持するために伝統的職人を活用する。そして、それを買う人がいてもいいし、かえなくても ファンになればグッズが買える。
- 00:23 いまいくつかのリアルプロジェクトを指導しているが、ものがつくれる人間がブランディングに手を出してほ しい。なにをどうつくればブランド価値が生まれるのか、フェラーリはそのよいお手本だ。高度なエンジニアリングと先端的なデザインを含み込む全体の姿をイ メージして、ブランディングを行うのだ。
analysis
2010年6月30日水曜日
フェラーリとイノベーション
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