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2010年6月18日金曜日

デザイン思考 Day4

  • 2010年6月17日

  • 08:36  デザイン思考 Day4: 民族誌調査について。デザイン思考においてはフィールドワークが基本である。調査される側の人をインフォーマントと呼ぶ。調査者とインフォーマントがお互いに合意関係にあることをラポールがあると呼ぶ。この関係を築くことが民族誌調査の第一歩である。
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  • 08:38  デザイン思考 Day4: だがこのことがなかなか分からない。調査をするということがそれ自体大義のあることだと思ってしまうのだ。だれか専門家をみつけて調査をしたいと思う。だが相手にしては迷惑な話だ。自分の仕事中に訳の分からない学生がやってくる。調査をすれば相手に迷惑をかける。
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  • 08:40  デザイン思考 Day4: それにもかかわらず、調査をさせてくれる。これはまずは相手の好意である。だが、それだけではやはり駄目だ。相手を尊敬すること、それが必要だ。何を尊敬するか、それを見つけることがフィールドワークの第一歩である。好奇心と尊敬は違う。ここがなんとも難しい。
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  • 08:42  デザイン思考 Day4: 師匠・弟子モデルはその意味でも有効だ。そもそも弟子入りするには相手への尊敬がいる。半端なことでは弟子にはなれない。フィールドワークでインフォーマントを見つけるとは、相手のことを知り、尊敬した上で弟子入りをお願いしなくてはならない。ここが第一歩だ。
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  • 08:43  デザイン思考 Day4: 不思議なことに相手を尊敬して弟子入りをする能力が出来ると、ごく自然体でインフォーマントとラポールを築くことが出来る。街をあるいていても面白いこと不思議なことに出会い、興味ある人に遭遇する。僕が「開かれたパーソナリティ」と呼んでいるところだ。
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  • 08:45  デザイン思考 Day4: 師匠が見つかったとしよう。無事弟子入りできた。次に行うことは観察である。師匠の行っていることを2時間観察する。ただひたすらノートにメモをとりながら、わからなければちょっと質問をする。なにか「発見」しようとすると、メモはあまり取れない。ただ観察する。
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  • 08:46  デザイン思考 Day4: 観察がおわったら、すぐさまラップアップという作業をする。時系列に従っておもいつくまま観察したことを文章にするのだ。すぐにやると意外とたっぷり文章を作ることが出来る。これを「濃い記述」とも言う。これが分析や発想のもとになる最も大切な資料だ。
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  • 08:48  デザイン思考 Day4: このとき記述が真実であるかどうかは関係がない。自分が現象を解釈した主観的な記述でいい。この方法が解釈学的人類学と呼ばれる所以でもある。たっぷりと解釈的な記述がある。ここが大切だ。次にこれを分析する。
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  • 08:50  デザイン思考 Day4: 分析は1)フローモデル、2)時系列モデル、3)物理モデル、4)アーティファクトモデル、5)文化モデルの5つである。濃い記述をもとにこの5つのモデルをすべて作る必要がある。これは日常現象を全体的に見るためのエクササイズで、必ず行わなくてはいけない。
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  • 08:52  デザイン思考 Day4: デザイン思考の上級者になると5つのモデルを必ずしも作る必要はないが、最初は大切である。やってみるとわかるが、人によって作りやすいモデルが異なる。世界を見ている視線に個人差があるのだ。それを調整しながら日常世界を観察する能力を磨いていこう。
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  • 08:53  デザイン思考 Day4: 民族誌的手法は難しい方法ではない。専門家を必要としない。方法は簡単だがそれを用いる君たちの人間的な成長を要求する。他者に対する思いやりや寛容、心を開く態度、そうしたことを身に付けないとよい民族誌は書けないのである。頑張って挑戦しよう。
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  •  発表コメントから
  • 14:22  デザイン思考 Day4 。ビジョンと技術の棚卸しの関係について、技術が分かりすぎている学生が陥りやすいのは、どのように作るかの視点が落ちる。どの技術で何をやるということは簡単に言える。だが、ビジョンからアイデアをつくり、そのアイデアをどのように実現するかが棚卸し。
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  • 14:25  デザイン思考 Day4: 民族誌の方法をインタラクションデザインに持ち込んだのはルーシー・サッチマンである。『プランと状況的行為 人間‐機械コミュニケーションの可能性』が翻訳されている。彼女はカリフォルニア大学のバークレイ校で人類学を学んでいた。一方アルバイトで秘書をしていた。
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  • 14:27  デザイン思考 Day4: サッチマン女史のアルバイト先はゼロックスのParc。コンピュータ研究のメッカだ。そこで開発した高性能複写機をオフィスで働いている人は使えない。それは利用者のリテラシーや知性が低いからだとエンジニアが話しているのを小耳に挟んだ。彼女はむっとして言った。
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  • 14:29  デザイン思考 Day4: だったらその複写機を何台がバークレイ校において、どのように利用するかビデオに撮ったらいい。ビデオを再生してみると、たしかにオフィスで働く人は使えなかった。しかし、世界的な経済学者も、ノーベル賞を取っている物理学者も使えなかった。そこから研究が始まった。
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  • 14:32  デザイン思考 Day4: 人間は意識した行動(彼女はこれを計画と呼んだ)と状況に合わせて無意識に行う行動(これを状況的行動と呼んだ)がある。この二つを上手に組み合わせて人間は複雑な行動をする。したがって、ここを理解してデザインしなければいけない。この結論を受けて再設計された。
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  • 14:34  デザイン思考 Day4: いま我々がなんとなく高性能の複写機をつかえるのは、ここで開発されたデザイン言語が埋め込まれているからである。サッチマンはその後Parcに勤務し、民族誌的調査の専門家が何人も雇用された。だがそのあとめざましい成果は出ていない。調査が詳しすぎるのだ。
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  • 14:36  デザイン思考 Day4: 僕は民族誌調査は方法としては簡単なので、デザイナーやエンジニア、あるいは経営を行う者が身に付けておく能力だと思う。すくなくとも民族誌を専門にする者がデザイナーとエンジニアとコラボレーションする必要がある。専門的な調査を行うと実現が難しいビジョンが出る。
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  • 14:40  デザイン思考 Day4: 民族誌調査でいくら強調しても強調しすぎでないことは、相手を尊敬することである。そもそも尊敬するから弟子入りするわけだ。10年ちょっと前にホームレスの民族誌をおこなったチームがあった。「尊敬しろと先生が言ったしな」とおもってホームレスのおじさんを見た。
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  • 14:42  デザイン思考 Day4: するとおじさんは上手にダンボールとビニールシートで家を造っていた。そこで彼らは「おじさん、上手に家を造りますね。作り方をおしえてください」とお願いした。とても良い調査になったのだが、ホームレスのおじさんは感動した。
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  • 14:43  デザイン思考 Day4: 「どうしてホームレスになったのですか」「さびしくないですか」と聞く奴ばかりなのに君たちは「家の作り方を教えて下さい」と聞いてきた、というわけだ。彼は自分の身の上を話し始め、授業の最後に大学にやってきて話をして帰った。尊敬するとは素晴らしいことなのだ。
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