- 2週間ほどかけて一冊の本を書評しました。内容は結構難しくなっていますが、新しい戦略立案に役に立つ現場からの貴重な発言です。長いですがよろしく。
- 2010 Oct 6
- 19:03 田 中宇氏の国際情勢分析 http://tanakanews.com/ が好きでよく読むのだが、彼のサイトで、書籍の広告があり、面白いので購入した。 『ヘコむな、この10年が面白い!』著者は小寺圭氏。もとソニー・チャイナの会長である。垂直統合から水平分業モデルへの説明から始まる。
- 19:06 自社で部品をつくると品質が高くて他から調達すると低い、というのは根拠のない話であり、大量生産された部品のほうが品質が良く価格がこなれている。中国で作られる部品は低価格の安物ではない。水平分業モデルはここから出発するべきだと彼は述べる。
- 19:08 iPod もiPhoneもコンセプトをアップルが作ったが、生産は中国にある台湾企業が行っている。どの企業が作ってもパソコンは同じ性能になるコモディティ化商 品だという。MP3プレイヤーも同じであった。だがiPodは違っていた。それはアイデアとマーケティングがしっかりしていたからだ。
- 19:10 製 造を他社に任せるには品質の保証と必要な個数をそろえるサプライチェーンの管理である。そのためには注意して工場を見て、また人を教育することだという。 ここで中国の工場で働く人と日本人はしっかりとしたコミュニケーションを行わなくてはいけない。そこが不足しているという。
- 19:12 さて、水平分業で利益が出るとはどのようなメカニズムなのか。設計を内部で行い製造をOEMに委託するというのがアップル社の方法であるが、ほかに相手先設計・製造というODMという方法もあるという。
- 19:13 川崎和男さんがデザインしたメガネを「自社のブランドで売らせてくれ」といわれて驚いたと最近Tweetしていたが、ソニーの盛田さんもトランジスターラジオを売り込みに行ったときに「うちのブランドで売らせてくれ」と言われて、憮然として断ったという。
- 19:15 な んだか安っぽい方法だが、実は高級オーディオでしられるデンマークのB&O社はODMの会社として知られている。設計も製造も、なんとデ ザインまで外部委託だという。それでいて高い価格で売って高い利益率を誇っている。音響機器という高度で参入障壁のない製品だから出来る話である。
- 19:16 製品のデザインにはコアとモジュールの区別が必要だ。(これは小寺さんの本からではなく、藤本氏の分析から)コアがある任天堂とかインテルはコア技術をブラックボックスにしてODMをする必要はない。だが、マーケティングとブランディングに自信があればODMで良いのだ。
- 19:18 し かしOEMにしてもODMにしても製品発注先にしっかりと製品を作ってもらわなくてはいけない。「つくらせる」能力がいるのだ。日本の企業は典型的な内弁 慶で他社とコミュニケーションしてきちんと作らせることが下手だ小寺氏は言う。相手に自分の考えを理解させるには論理的に説明する必要がある。
- 20:02 モ ノつくりの国からモノを作らせる国へ。これは金子哲男『「激安」のからくり』に21世紀資本主義の可能性を見る http://okude.blogspot.com/2010/08/21.html で説明したが、アパレルや雑貨の世界ではわりとうまくいってい る。電気メーカーが対応が問題。
- 20:03 さ てモノを作らせる能力をまず身に付ける。次に大切になるのがマーケティングとブランディングであるという。小寺氏の定義は明確だ。マーケティングとは商品 の持つ魅力を顧客に伝えその商品価値を極大化することだという。良い定義だ。感心。マーケットリサーチとかの言葉がないのがすがすがしいね。
- 20:07 ブ ランディングとは顧客にその企業の商品を保有することに対する安心感を与えることだという。所有することでライフスタイルが向上するような気持ちがすると いうことだという。「フェラーリとイノベーション」 http://bit.ly/clqnz9 で説明したことだ。この二つを組み合わせる。
- 20:09 小 寺氏は日本の将来は超絶的な技術や斬新なビジネスモデルを開発するか、「モノつくらせ」をおこなって、コストが下がってういた資本でマーケティング投資を おこなうかの二つを行うべきだという。この視点から見るとソニーのウォークマンは素晴らしい製品だった。アイデアの極致だからだ。
- 20:11 ア イデアが優れていて、既存の技術をつかって新しいモノを作る場合は中国の企業を活用して水平分業の利点を生かす。製品の設計などコモディティ化するのだか ら日本のエンジニアを使わなくても良い。彼らの力はもっと創造的な所に使う。台湾や中国の企業との付き合い方の方向性も示している。
- 20:12 こ のあたりは今回は書かないが近いうちに「資本主義の直球」としてまとめたいところだ。工場で働いて賃金を得て生活を豊かにして楽しい人生を送る、これが直 球だ。中国で生産性の悪い農業地域から希望をもって工場にくる若者を大事にする必要があるのだ。小寺氏はこのあたりも分かっている。凄い。
- 20:15 も のづくり大国がひっくり返ったのはIT革命と金融革命の二つを80年代以降アメリカが先導して実行したからである。70年代の日本の産業のパワーは製造設 備のコンピュータ化にあった。そこに注目して、そこをソフトウェアとハードウェアに切り分けた。ソフトウェアの知財化である。
- 20:17 そ の結果、ハードウェア部分は台湾と中国に持って行かれ、ソフトウェア部分はインド、中国、ロシア、イスラエルが持っていった。これがIT革命である。次に 金融革命が起きる。これは21世紀の錬金術だ。今40歳代半ばで東大法学部をでて外資系の銀行や投資銀行に就職して世界的に活躍した人がいる。
- 20:19 彼 らと直接話してみると、その「聡明さ」にびっくりする。あらゆるものを証券化して金融商品として市場に売り出す。頭の回転の速さとそのロジックの洗練、こ れはマジックだ。政府の規制の外で金融ビジネスを引っ張る秀才達。彼らの生んだ蜃気楼は2007年サブプライム、2008年リーマンで消失。
- 20:21 だ が、考えてみればIT革命と金融革命が終わった現在でも我々はまだ生きている。ここを生かして次の時代を考えない手はない。小寺氏は楽観主義なのである。 素晴らしい。そして、彼は地球を救えとかビッグイシューを議論しろなんてエリートぼけした無責任なことは言わない。彼は違う世界に注目する。
- 20:24 @okadahironori 設計もデザインも、ですか!?ではブランディングとマーケティングだけですか??>>しばし結論までまて。良い質問だよ。ちょっと先生ぽい発言だけど(まあ僕は先生だけど) [in reply to okadahironori]
- 20:26 さ て、小寺氏はここで視点をかえてトレーディングに注目する。いまから35年以上まえだがアメリカに留学してニューヨークでいわゆる家電専門店のようなとこ ろを初めて見た。家電やカメラというのは独特な商品なのだ。ここを小寺氏は感じ取る。トレーディングとは商品を右から左へ動かすことだ。
- 20:28 家 電製品は必需品と嗜好品の間の商品であり、物理的な大きさに比べて商品単価が高い。したがって世界的な需要に合わせて右から左に商品を移動させて利益を上 げることが出来る。これがトレーディングだ。それを支援するつまり中継貿易をする国がある。貿易は合法的な時もあれば非合法なときもある。
- 20:31 香 港、シンガポール、ドバイ、パナマといった都市がそうだという。こうした分野で家電のトレーディングを行っている商人は華僑、印僑、そしてユダヤ商人だと いう。華僑も客家、印僑はシンディ、あとユダヤ人商人は故郷を失った人たちである。彼らにとって魅力的な商品が世界に流通していく。
- 21:31 彼 らとの付き合いを通じて小寺氏はモノをどう作るかからモノをどう作らせるかに変化する必要性を主張するわけだが、そうなると作らせたモノを「どう売るか」 が大切になると言う。それを「コト興し」という言い方をしている。たとえば新幹線の最大の売りは安全かつ正確な運行だ。
- 21:33 そ れを可能にしているのは車両というハードではなく、優秀なシステムとオペレーションだという。日本はこうした仕組みに満ちあふれているという。たとえば水 である。水道水がおいしい、というのは技術だけではなく、オペレーションも含めた全体が上手く稼働しているからおいしいのだ。
- 21:36 こ うしたサービス面での優位性を事業化出来ていないのが日本の問題だという。サービスのすごさに日本人は気がついていないという。モノが壊れたときのサービ ス、顧客満足度を上げるカスタマーサービス:ショッピング、レストラン、ホテル、駅、病院、保育園、老人介護施設、結婚式場などが含まれる。
- 21:38 こ うしたことは日本の家電量販店を中国の企業が買収するコトなどに現れている。サービスのノウハウが欲しいのだ。あるいはウォールマートやカルフールといっ たそうそうたるスーパーマーケットがサービス競争で日本の企業、イオンやイトーヨーカ堂に敗北したことからも明らかだという。
- Oct14
- 13:34 小 寺圭:「へこむな」後半部分。さて、小寺氏はものつくりからサービスへとビジネスのやり方を変えて行くにはマーケティングの方法が必要だとのべる。マーケ ティングは翻訳が難しい概念だ。営業つまりセールスとマーケティングは同じではない。セールスは決められた値段で単純に売るだけのことだ。
- 13:36 マー ケティングとは販売ルートを考え、価格政策を作り、発注数量を決めて、販促戦略を考える。またマーケティングとマーチャンダイジングは別だという。商品の 買い付けや商品の選択に特化した部分をこのように呼ぶ。アメリカの会社はマーケティングからCEOになる割合が高い。
- 13:39 小 寺氏はマーケティングをモノやサービスに付加価値を与えることとしている。例として、ワインの値段が上げられている。一本1000円のものがあれば1万円 のモノがあるのは何故か。それはワインの売り方が違うからだという。モノの成分や原料コスト、製造にかかる費用からその商品価値を決める。
- 13:45 と ころがマーケティングの考え方ではモノに歴史やストーリー憧れなど、商品価値を高めることであればなんでものせて飾り立てる。「飾り立てること」がマーケ ティングだと小寺氏は言う。ニューヨークにいって評判のレストランに行って味がつまらなくて値段の高い料理に出会う。マーケティングの効果だ。
- 13:51 こうしたマーケティングを積み重ねてブランドが形成され、さらにそれが新たな伝説を生み出していく。マーケティングのこうした力で飾り立てることが出来ないのが日本の企業なのだ。だがこの方法を身に付けないと日本の企業に未来はないと小寺氏は言う。
- 14:00 も ちろんいいモノをつくっているのだから、それをマーケティングを通して価値を高めていくという方法が必要だ。だが、このあたりは日本企業も広告会社を通じ て行っていると言えば行っている。だが、問題はそこではない。問題はサービスだ。サービスには価値がありただで売るものではない。
- 14:16 日 本企業が顧客に提供できるサービスの価値はマーケティングやブランディングでいくらでも向上させることが出来る。日本のメーカーはそのことに出来るだけ早 く気がついて、モノつくりにサービスをくわえたビジネスを生み出す必要がある質の良いサービスは提供できている。そのブランドを作る。
- 14:18 小 寺氏の議論の優れているところはこのようにマーケティングを説明しながら、マーケティングのもう一つの側面、ニーズの掘り起こしについて触れているところ である。ここはデザイン思考が活用できる分野でもある。市場のニーズを探り出す努力をマーケティングの人間が行うべきだと述べるのだ。
- Oct 15
- 13:47 小 寺氏の本の続き再開。今ある商品の付加価値を上げるだけではなく、市場から顧客のニーズを掴み出す。そのためにマーケティングを行う人間が自ら消費者の生 活圏の中にはいり彼らの生活の中身を知ることが大切だ。エンジニアや企画マンは「この商品の良さがわからない消費者はおかしい」と考えている。
- 13:49 こ れはエンジニア系の学生の作品を見ているとよく分かる。利用者の生活世界の理解がないのでニーズも自分で考えただけのものなのだ。小寺氏は自分の開発した 商品を説明する。欧州向けのビデオを中近東で売っていたときのことだ。中近東は国によって放送様式が違い、アメリカのNTSCもある。
- 13:53 パ ルとセルとNTSCを一台でまかなえれば売れると考え、作れるかどうか日本の開発に聞いたところ、一台あたり2万円のコスト高。そうなると売れるかどうか 自信がない。そんな時、駐在していたドバイのサービスエンジニア(修理担当)に相談する。すると簡単にパルとセカムの製品を作ってくれた。
- 13:54 それをもとにテヘランのエンジニアが3システムが可能なモデルを作った。海外駐在のサービス担当が本社の優秀なエンジニア集団をさしおいて商品を設計したのだ。当然開発担当の事業部は面白くない。話は進まなくなった。
- 13:55 ここに盛田氏が登場。「マーケットがほしがっているのならつくってあげなさい」ということで一年後には現実のモデルとして市場に投入され、いまでも売れている。ポイントはマーケティングでニーズを掴むだけではなく、ニーズを商品に具体化するまで小寺氏が行ったことだ。
- 13:57 つ くづく盛田氏は素晴らしいと思う。SONYだけではないが日本のメーカーで心から市場が求めていることを探し出し、それを商品にしているところはない。 ニーズを探し出して商品にする。このパイプラインが存在していない。ここを直す勇気のある経営者はいない。なのでピント外れの商品ばかりだ。
- 13:58 こう考えると、いま登場しているアジアの市場に対して、彼らが求めているニーズを探し出して、それを商品としてあるいはサービスとして投入することが出来れば何の問題もないのだ。そこに会社の体質を変えていく必要がある。ところがこれが何とも難しい。
- 14:01 小 寺氏はアップル社の事業構造を分析しながら、モノとサービスを融合した事業構造を作り、それによって中国やアジアの市場に答える必要があるという。大枠は 拙著の『デザイン思考の道具箱』と同じなのだが、これをSONYにつとめていた小寺氏が述べるところが面白い。彼はこれを「コト興し」と呼ぶ。
- 14:10 コ ト興しの第1の課題はモノとサービスを結びつける事業構造をつくることだ。モノつくりはファブレスオペレーションである。EMSを使う。だがこれをものつ くり能力がないと判断してはいけない。EMSメーカーに詳細に仕様を伝達するコミュニケーション能力が卓越しているのだ。
- 14:11 なぜ伝えることが出来るかというと、自分の力でプロトタイプを作り仕様を決定する技術力があるからである。日本の大会社のエンジニアはOEM任せで紙の仕様書は書くが、実際のものつくり能力がない人ばかりだ。つくれるエンジニアは子会社に出向させてしまう。
- 14:13 アッ プル社は製造設備の投資を少なくしている。もともと利益の少ないところだ。一方、製品の販売は自ら行う。ここは利益が取れるところだ。スティーブ・ジョズ ス自らマーケティングをしてブランディングを行っている。「アップルストア」も快調だ。くらべてSONYスタイルの店が暗くて低調だ。
- Sat, Oct 16
- 07:36 小 寺氏続き:アップル社の自社ストアの成功はそのまえに、量販店からアップルの扱いを拒否されていたことがある。ジョブスが復帰してから量販店での扱いは 戻ってきたが、他のWindowsマシンと同じような扱いだった。そんなときに、自社ショップを打ち出したのだ。これはなかなか衝撃的だった。
- 07:39 こ こから先の小寺氏の分析は駆け足なので少し僕の分析を加えておく。ハードウェアとソフトウェアとコンテンツ販売を一つのビジネスシステムとして構築する。 これがアップルがiPodに関して採用した戦略である。この3つを一つのシステムとして開発することの意味に気がついたのがSONYだろう。
- 07:42 CD(ハー ドウェア)にカラヤンや後のマライヤ・ケリーのスターシステムを結びつけたのが大賀氏の戦略だ。地域に密着した音楽家という職業を根絶やしにしてハード ウェアとコンテンツ販売のビジネスを成立させた。さらにウォークマンによってリビングルームから高品質音楽鑑賞の経験を外に持ちだした。
- 07:44 コ ンテンツ「流通」のプラットフォームであるCDを成功させたのだ。だが高音質はDATの登場で躓く。コンテンツの流通を担っている人たちがあまりの高品質 にその流通を拒否したのだ。iPodはこの膠着状態の間隙を縫って登場した。それがMP3による音源の圧縮という技術である。
- 07:52 音 質をぎりぎりの水準にまで劣化させてコンピュータに取り込む。高音質鑑賞というユーザー経験を好きな音楽をいつでも聴けるというユーザー経験に変える。そ してここからが素晴らしい。MP3ソフトを整理するプログラムを先に開発(厳密には買収)して、それからiPodのハードの開発に向かった。
- 07:54 ま たそれと同時にコンテンツの流通に不可欠な著作権処理の交渉を始める。ソフトウェア主体の開発だったのだ。その意味ではi-Modeと似たビジネス展開で ある。(かなりi-Modeを勉強している?i-ModeをNTTに持ち込んだのはどこだっけな?。夏野さんじゃないよ。夏野さんはその後。)
- 07:56 つ まりiTuneをプラットフォームとして、ハードウェアを設計し、コンテンツ流通TMSのための法的処理を行った。したがって、Morgridge氏の Designing Interaction の中でもとアップルのメンバーが答えているように、半導体の設計からビジネスの形を繁栄していた。
- 07:58 そ のあとは、iPodの数が一定数に達すると、そこを市場とするべく、アクセサリーの接続方法を変えた。始めはRS232の端子をヘッドフォン端子から操作 できた。がこの部分をクローズにしてあたらしいインターフェイスを作り、そこにアクセサリー市場を作った。スピーカーもここにつなぐ。
- 08:00 つ なぐためには接続料を払う。結構な値段である。またシステムがアップデートすると古いアクセサリーは使えない。だが何千万台もiPod はある訳なので、その市場に参入したい会社は後を絶たない。コンテンツもTMSに登録すれば流通する。音質がわるいMP3のフォーマットはもう使っていな い。
- 08:02 こ の経営戦略実行の背景にはi-Podが提供する音楽鑑賞経験が、CDによって高品質音楽鑑賞が安価に大量に可能になったユーザーの生活シーンで、どのよう なビジネスを行えば利益が出るかを、つまり小寺氏の表現をかりると「どのビジネスに最大の付加価値が存在するか」を見極めていたからである。
- Mon, Oct 18
- 18:41 小 寺圭「へこむな」:何回かにわけて書いてきたが、このあたりで結論にする。「コト興し」つまりはモノとサービスを統合してあたらしい事業をイノベーション する方法でウォークマンはiPodにたたきのめされたのだ。SONYはDellなどのコンピュータのOEMも行っていたとも書いてあった。
- 18:43 さ て、あらたな産業を作る機会として小寺氏は電気自動車を上げている。電気自動車は充電システムを前提とするので、ガソリンステーションに変わるビジネスを 生み出す。電気自動車はバッテリービジネスである。このことに慶應大学SFCの電気自動車プロジェクトでも気がついていた。
- 18:49 エリーパワーという会社がSFCからスピンアウトしたが社長を務める吉田氏は銀行マンからSFCに参加して、電気自動車プロジェクトのなかで可能性が高いリチウム電池に注目して会社を作った。ビジネスを見る目はさすがだと思う。http://bit.ly/9JTbG8
- 18:54 Goodle が最近発表した"自動運転カー"はGoogleストリートビューカーが収集した膨大なデータを処理することで自動運行システムを可能にすることを目指して いるという。ここはもうGoogleが押さえている。ヨーロッパ・中国というレベルで別のスタンダードを作れば話は別だが。
- 18:57 と すると、電気自動車で「コト興し」をするには、バッテリーと自動運行システムでは付加価値はつかない。家はどうか?これはバッテリー問題と同じだ。家に自 家発電装置が付く。エリーパワーに住宅会社が投資している点は納得できる。すると残されているのはネットワークサービスとスポーツの領域だ。
- 19:02 ここからが面白いところだが小寺氏の本はここで終わる。だが、彼が「へこむな」で展開して見せた方法を上手に展開すると電気自動車のコト興しはかなり可能性がある。モノとしての電気自動車は世界中で多くの会社が手がけている。だが「コト興し」はない。が
- 19:05 コ ンテンツ販売とネットワークとハードウェアを統一してひとつのビジネスを考えることが出来れば、大きなコト興しが可能だろう。大分前にアップルが車を作る と、という記事がビジネスウィークに出た。http://bit.ly/b0YaRH ようするに「コト興し」をすればいいのだ。
- 19:08 コ ト興しとは藤本隆宏氏の表現をかりれば「消費空間」である。電気自動車の消費空間をデザインできたところが、次の巨大市場を手にすることが出来る。自動車 の消費空間とは大きく異なっているはずだ。いい音を聞きたい消費者が多様な音楽を聴きたいユーザーに変質していたように、消費空間は変わる。
- 19:10 電 気自動車の消費空間を定義し、そこを支えるソフトウェアを作り、そこで提供するコンテンツやサービスを考えてあつめて、それからハードウェアを定義して、 3つの要素をすべて満たすプロトタイプを作り、検証して、製造出来る状態まで設計して水平分業で製造して、かつ、コアを自社で握る。
- 19:17 さて、ここから先はいま準備しているビジネスに深く関わるので、しばらく内緒。だが、電気自動車をどのような消費空間を演出するサービスの「端末」にするかで大きく変わる。電気自動車プロジェクトはここを見誤っているものがほとんどだ。
- 19:21 21 世紀、郊外の戸建てに住んで親子で楽しく暮らすという消費空間が日本だけではなくアジアで、ヨーロッパで果たして存在しているのか。GMがノーマン・ベ ル・ゲディーズにデザインを依頼し、フューチュラマとし1939年に「ニューヨーク万国博覧会」展示した消費空間と同じではないか。
- 19:23 お 父さんとお母さんと子供二人。おしゃまなお姉ちゃんと腕白な弟。戸建ての家に庭。自家用車があって、お母さんはキッチンで食事を作っている。家庭団らんの 中心にテレビがある。そうそう庭のポチを忘れてはいけない。僕が『アメリカンホームの文化史』で分析して見せたアメリカ的生活だ。
- 19:26 石 油資源を前提として作り出された世界だ。ロックフェラーのガソリン産業の上に、GMの車が走り、テレビから広告が流れ、大量の消費財と流線型の車が走る。 このイメージを電気におきかえてもだめなのだ。21世紀の世界に希望と楽しみを与える消費空間をデザインしたところが価値だ。
- 19:28 Apple ストアもまだここには到達していない。SONYスタイルなのかPanasonicスタイルなのかToyotaスタイルなのか、Googleスタイル?まあ マイクロソフトスタイルにならないことは明らかだ。ホンダや日産には生活のかけらもない。まあそこに可能性はあるかもしれない。
- 19:29 しばらくこの世界に挑戦してみたいとおもっている。Tweetsできることがあれば書くのでお楽しみを。小寺さんの本は楽しませてもらった。(完)
analysis
2010年10月19日火曜日
書評『ヘコむな、この10年が面白い!』
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