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2010年7月2日金曜日

デザイン思考 Day8:

  • Thu, Jul 01
  • 07:54  デザイン思考 Day8: 今日はシナリオを発表。ペルソナを作る。仮説的な道具を想定する。ここまでは前回発表した。今回の課題はそれをもとにシナリオを作る。シナリオではペルソナが道具をつかって目的を実現するまでを描く。 Face3.0でこの方法の詳細が日本語で読める。
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  • 07:58  デザイン思考 Day8: さて、シナリオが淡々と進めばたんなる使い方ビデオになる。このレベルはさすがにまずいだろう。もう一歩進める。そのこつはembodimentという考えを活用することにある。この言葉は訳しにくいが、道具が身体の一部にある感じがまずある。自然に道具を使う。
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  • 08:01  デザイン思考 Day8: 自然な感じ natural attitudeは人間関係、社会関係にもある。関係が自然な感じだ。ルーシー・サッチマンはsituated perspectiveと呼んだ。特に意識しなくても全体が分かっている感じだ。このような日常的世界の安定性はカント真・善・美の一致とした至福の世界だった。
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  • 08:04  デザイン思考 Day8: ここに疑問を感じたのがエトムント・グスタフ・アルブレヒト・フッサールEdmund Gustav Albrecht Husserl)。科学的認識が絶対的な世界理解となった近代の構成に疑問を持ち、ガリレオからデカルトに至る近代的合理的思考の根拠を問い直す。このとき手がかりとしたのは意識が外界の物に言及する動き、志向性 intention、だ。
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  • 08:07  デザイン思考 Day8:志向性がどのように成立しているかを問い直す学問をフッサールは現象学と呼んだ。彼が注目したのはthe life world 生活世界であり、そこにおける日常的な経験において物事を自然に感じる態度を研究した。
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  • 08:09  デザイン思考 Day8: 形式的な知識ではなく日常の経験に注目したのだ。これが現象学で、この方法と解釈学を組み合わせて解釈学的民族誌という方法がうまれ、諸君に実践してもらったわけである。この考えをさらに推し進めたのがMartin Heidegger ハイデガーである。
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  • 08:12  デザイン思考 Day8: ハイデガーは考えることと存在することは同じではないかとする。ハイデガーは形式的な知識の存在の疑問をさらに推し進めて、我々が存在している形とかカテゴリーの存在に疑問を持ったのだ。日常世界を豊かな物として感じているのは意識ではなく世界のあり方だとした。
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  • 08:14  デザイン思考 Day8:その上で、我々がその世界と出会うのは実践を通してのみ可能だとしたのだ。物とのインタラクションを行うことによってのみ世界と出会える。この状態をbeing-in-the-worldという造語でハイデガーは表現した。ドイツ語はDasein, 世界内存在と訳す。
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  • 08:19  デザイン思考 Day8:その上で、世界とインタラクションするものとして道具、equipment,の概念を出す。ハイデッガーにとって道具とは何か目的を達成する物であり、他の道具と連携していく物でもある。この道具の考えをインタラクションデザインに持ち込んだのがウィノグラードである。
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  • 08:21  デザイン思考 Day8:さて今日の講義のエッセンス。ウィノグラードはハイデガーの"ready-to-hand"と"present-at-hand"の考えをインターアクションデザインに持ち込んだ。この違いをマウスを例にして説明している。
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  • 08:24  デザイン思考 Day8:マウスをつかっているとき、僕たちはそれを意識していない。これがready-to-handの状態だ。ところがマウスが動かなくなると、突然マウスを物として意識する。これがpresent-at-handの状態である。ハイデガーはこの違いに注目して道具を説明した。
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  • 08:26  デザイン思考 Day8:道具とはready-to-handの状態で人間が世界と無意識にインタアクションするときにのみ存在する。意識するとそれは物である。ready-to-handの状態になると技術は意識の外に消えていってしまう。この状態を彼はpreontologicalと呼んだ。
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  • 08:29  デザイン思考 Day8:さて、シナリオで描くのは君たちがデザインしたモノが道具となってユーザーが自然に(意識しないで)使って目的を達成するまでのシナリオだ。マウスとラップトップはIDEOが見事に道具としてデザインして見せた。タッチインターフェイスが最近ここに加わった。ここは分かりやすい道具観だ。
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  • 08:34  デザイン思考 Day8:SNSの登場は社会関係を道具として扱うことを可能にした。ここはフッサールの現象学の影響をうけた社会学者Alfred Schutzが切り開いた現象学的社会学の世界で、後にエスノメソドロジーという分野として確立した。基本の概念は間主観性(intersubjectivity)である。
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  • 08:36  デザイン思考 Day8:お互いが相手を主観的に評価するが、それを繰り返しているうちにコミュニケーションが可能になる社会関係が生まれる。そしてその関係が自然に感じる。これもnatural attitudeだ。関係する道具達の世界だ。ここをテーマとするのも良い。
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  • 08:39  デザイン思考 Day8:多様なセンサーや無線デバイスの登場で可能性があるのは人間の身体と知覚を利用した道具だ。Wiiやi-Phoneはこの世界にかなり入っている。ここはフランスの哲学者Merleau Pontyが切り開いた身体の現象学の領域だ。
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  • 08:41  デザイン思考 Day8:僕たちは手とか足とかという身体を持っている。そしてそれを動かして何かを行う身体的な能力も育成できる。これは我々の身体がハイデガーのいうところの「道具」となって世界とインタラクションする。センサーとアクチュエータだけの世界である。ここは面白い。
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  • 08:43  デザイン思考 Day8:ペルソナを使って道具をつかうシナリオを書く。シナリオでは道具をつかう実践が、つまり利用者の自然的態度が描かれていなくてはならない。しかしながらそれだけでは何のことか分からない。「道具」を説明するpresent-at-handのシーンも必要だ。
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  • 08:45  デザイン思考 Day8:ready-to-handとpresent-at-handの関係を示すためにbreakdownの考えを使う。つまりうまくいかないときである。そのシーンを上手にくみこむとどのような道具をデザインしたか、利用者はそれを使ってどのように目的を達成するかが分かる。
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  • 08:47  デザイン思考 Day8:いままでの講義を元に、自分たちのシナリオを再考してみよう。どのような道具なのか、どのように使うのか、何を達成するのか、本当に道具となっているのか、そういったことが日常世界をコンテキストとして生き生きと描けていれば成功である。では授業で会おう。
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