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2010年7月3日土曜日

NUS工学部教授向けデザイン思考ワークショップ

  • 16:50  NUSの工学部の先生にデザイン指向ワークショプを行うにあたり、tinkeringの部分をはずして、 ねんどや段ボールのところだけにしたい、という申し出。うーん、まあ教授たちがデザイン思考ワークショップを受けてくれるだけでも大変なことだからいい か。
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  • 16:56  KMDのクラッシュ合宿のようなものをまず行いたいので、そこを教えるようになりたいとのことだった。た しかに振り返ってみると、デザイン思考のはじめはネンドと段ボールでつくるプロトタイプですら、指導するのが大変で、まずは小学校以来触れてないようなマ テリアルに触らせて頭を柔らかくさせる。
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  • 16:57  これは技術の専門家と言うか研究者も同じである。特定の技術とその研究に凝り固まるとその先ができなくな る。自分の技術に自信があるから、ほかのことにシニカルになる。そんなときに何もできないよ!ということを感じさせないといけない。ネンドと段ボールだと 何でもできるけどね、ということだ。
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  • 17:00  問題はそこから先である。1年目はネンドと段ボールで形つまりはコンセプトをつくることすらできなかっ た。SFCの奥出研究室のときにはなかったことだ。話し合って議論をして何かを定義してからでないと作れない。ここを超えられない。最初の年の学生は2年 目にどうにか超え始めた。
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  • 17:02  また彼らに教える方法を工夫しているうちに、経験デザインというあいまいな教え方ではだめなこともわか り、目的思考デザインの導入を行った。また比較的重い役割をもっていたビデオプロトタイプを軽くした。最初の年に電子工作のTinkeringの導入を試 みたが、あまりうまく行かなかった。
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  • 17:05  2年目は物語をつくるというところに主眼を当てて、教えてみた。物語で戦略をつくる手法も注目されてお り、物語で設計してもいいではないか、という考えからだ。またFlashAirをプロトタイプ作成の道具として導入した。これでインタラクションデザイン を行うハードルが一気に下がった。
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  • 17:08  データベース作成もRuby on the Rails を導入して進めることができた。データベースを活用したインタラクションデザインのひな形のようなものが動き始めた。ここで大きな壁にぶつかる。センサー とアクチュエーターとデーターベースを一つのシステムとして理解できる人がいないのだ。
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  • 17:11  ある学生がそこを突破する役割をかってでた。そして、昨年どうにか動いた。これはアメリカでプログラムド クターという方法がとられたときと状況は似ている。プログラムドクターとは複数の領域を勉強してから博士論文を書く博士課程である。複数の専門家に学ぶ。 特定分野のエキスパートにならない。
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  • 17:14  だが、この話は先がある。プログラムドクターは複数の分野を超えた新しい分野で業績を出すことを期待され るのだ。数学で始まったこの教育方法はgeneral という方法で試験をする。一つの領域のドクターはcomprehensiveだ。この違いは大きい。
  • 17:16  複数領域をくみあわせて、あたらしいなにかを作ろうとするときに、複数領域から知識や技術が動員される。 だが最高のものをもってきても部品は部品で全体にはならない。人も同じだ。なので、一人の人間の中に複数の領域を入れて、統合するのをまつ。専門家が自分 の能力からこの学生を判断しない
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  • 17:18  これは小集団でも同じだ。マルチディシプリなリーなグループをみると、エンジニアリングの専門家は自分の 立場から何か言いたくなる。ソフトウェアの専門家も同じだ。するとスーパーマンしか複数領域を統合できない。人生をかけて専門家になっている訳で、その水 準に到達することは不可能だ。
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  • 17:22  なので、低いレベルで必要なものをすべて統合する。昨年、あるチームはこれを行った。なかなかこの段階で は世の中で評価されない。だが、すべてが統合されている。だが、こここそが命なのだ。どんなにすごくても、部品ではだめだ。また統合されていても社会的な価 値や意味がなければだめだ。
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  • 17:25  シニシズムを捨てなくてはいけない。とにかく全体があること、これがすべてだ。デザイナー、インタラク ションデザイナー、ハードウェアエンジニア、データベースなどのソフトウェアエンジニア、これがすべてつながり、全体として動く。ここを評価することが必 要なのだ。
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  • 17:27  全体はいろいろなレベルがあるビジョンも全体性がある。つぎにネンドと段ボールレベルつまり静的コンセプトの全体性がある。 だが、これではまだだめだ。インタラクションレベルの動的コンセプトの全体性が必要だ。ここはTinkeringの手法がなくては構築不可能である。そして、プロトタイプ としての全体性設計能力が必要となる。
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  • 17:38  部品ばっかりいじっているテクノ学生にはねんどと段ボールで全体をつくることを教える。議論ばかりして言 葉の定義をもとめる文科系学生にはかたちにしてかたることを覚えさせる。部品の完成度からも定義された言葉の完成度からもほどとおい見えも良くない「形』 が現われる。静的だが可触なコンセプトをまず作る。ここが基本だ。
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  • 17:40  インタラクションの全体性、つまりは動的コンセプトまで今回のNUSワークショップで教えたかったが、残念なことである。まあやっ ているときにあおれば次があるだろう。8月の終わり頃には今度はMOTの学生向けにワークショップ。プロのエンジニアで経営の勉強にNUSにきている社会 人学生向。ここは普通のワークショップ。
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  • 17:42  インタラクションの全体性のワークショップもやってみたい。11月頃の小林さんと共同でシンガポールデザ インウィークでやってみようかな。ここには小学生向けのデザイン思考ワークショップのリクエストもきている。そして、どこかでインタラクションデザインの 全体性があるワークショップをしたい。
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  • 17:45  デザイン思考ワークショップは設計に踏み込まなくては行けない。実際にデータベースをどのように設計する のか、デバイスの設計はどうなるのか、ここができるようにならないと、デザイン思考はビジネスの世界には出て行かない。デザイン思考ワークショップ教授版 を再来週NUSで行う本格準備を始めた。
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