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2010年7月24日土曜日

重商主義とイノベーション

  • Fri, Jul 23
  • 重商主義とイノベーション
  • ちょっとしたやり取りが大きなテーマにぶつかった。主流の経済理論では忘れ去られていたコルベールの唱えた重商主義、つまりはルイ14世にむけて特別あつらえした贅沢品を外国のお金持ちにみせて、ちょっとだけグレードダウンしたものを沢山作って利益をだすというビジネスの手法がAppleのビジネスと同質だということである。まだ十分展開できていないが、切り口としておもしろくなってきた。以下、Tweetsをまとめたものである。
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  • 02:04  @drinami ドキドキ、ワクワクをいつ忘れてしまったか>>イノベーションが生まれた瞬間に「技術的に新しくない」というエンジニアと、「幾らで売るの、ビジネスモデルは?」って聞くビジネスマンがわくわくを殺した。これはシュンペーターの言うSocialismで、官僚制度。ここが蹉跌。  [in reply to drinami]
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  • 02:59  @kizm_naoya 設計中心をドコに置くかという話だと思って、主人と奴隷を考えてたけど、consenttohegemonyの概念もいいかも。こんなにいいものをつくったのにご主人様はどうして買ってくれないんだという「奴隷」の叫びと、(続く)  [in reply to kizm_naoya]
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  • 03:02  @kizm_naoya(続き) いいもんができたから沢山作って外国の金持ちに売っちゃおうぜ、という考えの違いですね。後者は重商主義といってコンドルセが考えた方法です。「奴隷」がconsenttoに気がつくとそれを脱ぎ払って「商人」になれる。盛田さんはすばらしい「商人」だった。   [in reply to kizm_naoya]
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  • 03:10  @kizm_naoya これが設計中心の設定に直結する。1990年以降の市販車フェラーリの設計重商主義そのもの。F1で勝った車をちょっと「グレードダウン」して商品にする。あるいは古くはレンブラント工房ライカもそうだ。人をうっとりさせる機械の設計。KMDはそのタネに溢れてる。  [in reply to kizm_naoya]
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  • 04:07  @kizm_naoya @NaohitoOkude フェラーリ&ライカは主人的な製品ですね。>>これまた刺激的なことを。奴隷としての商品はまあ家電だね。いやなことをやってくれる。で、「主人」としての製品か。ぼくは「恋人」としての製品だと思う。丁寧に接しても、飽きたらさよなら。  [in reply to kizm_naoya]
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  • 04:10  @kizm_naoya (続き)でまあ設計者はあきられないように作るわけだけどね。そこを「主人」にすると、ちょっと変態的な関係が製品と利用者に生まれるね。hegemonyをもつわけだ。これは植民地型商品学という分野なんだ、実は。本国の工場で安物を作って植民地の市場に押しつける。  [in reply to kizm_naoya]
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  • 04:17  @kizm_naoya 君との軽いやり取りが本質に迫ってきたので、RTします。夜中に目が覚めたら面白い話になってきた。奴隷型商品をつくるのがかつてのアメリカ的設計。その設計をもとに製造を続けてきたのがかつての日本。いまの中国。でもそこに風穴をあけたのがかつてのSONYHONDA
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  • 04:22  世界中の人が欲しいという商品にし、ブランドが生まれた。重電メーカーも輝くオーディオ商品を別ブランドでつくった。日本型商品設計heydayだな。これを品質の高さと言い替えたところが問題。SONYもHONDAも製品の品質ってよかったっけ?奴隷型商品が日本の魅力だと言い替えたあるレポートの悪意を感じる。
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  • 04:32  で、奴隷型商品の反対は主人型商品か、というところだ。まあご主人様って感じの設計もありだとおもうけど。hegemony型の商品設計か、という話にしよう。ここは難しいところだ。まえから書こうと思っていたモジュール設計ってなに?という話につながるからね。で、話をもどして、主人型設計。
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  • 04:36  わくわくする、どきどきする、というデザインはじつは色々ある。表面的な多様性だけではなくてメカニズムからインテグレーションまでふくめてデザインの問題である。でデザインを前に出すと言うときに、多くの人は魅力とかどきどきだけに注目するけど、もう一つ大事な要素がある。それが多様性。
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  • 04:40  重商主義では交換がポイントになる。魅力的な商品をつくって欲しがる人から金を巻き上げるのが重商主義だが、もちろん簡単な話ではない。自分が設計する商品が他の商品と異なっていなければ相手は欲しいと思わないからだ。差別化は機能でもスタイルでも良い。昔の話で言えば、ウォークマンが欲しいと思わせたら勝ちだ。
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  • 04:49  idiosyncrasyつまり好みが価値を生む。デザインの価値が分かりやすいところだ。で、だれかが好みを模倣するものが登場した場合はどうだろうか?本物かどうか?つまりuncertaintyをなくすところに価値が出る。ここにもブランドの秘密がある。さらにこの議論は続く。
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  • 04:54  たとえばピカソの絵を考えてみよう。偽物のピカソをその絵が本物だと信じている人に売る方が偽物かと疑っている人に本物のピカソを売るより簡単だという。つまり、持っているものを過大評価する人のところにものは集まる。金融資本であればいつかバブルははじける。だが商品はイノベーションする。
  • (追加。ここに関して、betch824君からのコメントがきた。最後に付録として載せました。)
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  • 04:59  ビル・ゲイツは完成していないOSをIBMに売りつけた。アップルも実用にならないようなi-Pod やi-Phoneを売りつけた。インテル低機能のPCを売りつけた。シュンペーターの言う破壊的技術によるイノベーションだ。利用者の好みに合致した商品を欲しい人にだけ売ったのだ。
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  • 05:01  欲しいと思わせるテクニックに長けていた。金融市場であれば人々が楽観的な気分からさめたときにバブルははじける。だが製品はちがう。いちどイノベーションした商品を改善することは難しくないのだ。性能を上げても、価格を下げてもいい。いろいろある。ここを研究するのが本当のMOTである。
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  • 05:06  性能を上げ、価格を下げ、流通を改善し、商品は市場に対してヘゲモニーを構築していく。で、問題はヘゲモニーを確立した商品にたいして、コンセントを感じてしまう設計者にある。idiosyncrasyが大事なのだ。いまあるヘゲモニーに取って代わる戦略を幾ら議論してもだめだ。(この項 完)
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  • 付録 1
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  • 05:14  @michmoc あるレポートとはどのようなものでしょうか?>>1985年のヤング・レポートです。アメリカはアンチパテントからプロパテントに変わり、またソフトウェアという概念をつくり、知財化しました。これによって「ものつくり」を日本の特徴として日本の産業の外堀を埋めたわけです。  [in reply to michmoc]
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  • 付録2 
  • コメント:重商主義とはちがう原則で構築された正統派経済学の立場からのコメント
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  • 08:11  @betch824 変な話。金融商品だってイノベーションは起こるし、気分でバブルが起こったり崩壊したりするわけじゃない>>そうだね。君が正しい。確かに説明不足。貨幣が見えなくなって近代的市場がうまれ、「信用」が登場し、という議論がぬけてるね。自分で補って下さい。  [in reply to betch824]
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  • 08:18  @betch824 変な話。金融商品だってイノベーションは起こるし、気分でバブルが起こったり崩壊したりするわけじゃない>>あと、バブルは気分でおこるのではない、というのは面白い。理解できないので教えて下さい。楽観主義でお金が集まってきて、楽観主義が消えた時にはじけるのではないの?
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  • 11:20  @betch824 夫々の環境下で利潤を最大化する行動をとった時に実体経済から乖離するのがバブル>>説明ありがとう。うーん。数学科をでて銀行で実際に相場をはっている友人に聞くと、気持ちが萎えたときがおわりだっていうからねえ。個々の最適化が解をもたないとバブル?
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  • 11:25  @betch824 ギャンブラーの気持ちが萎えたときがバブル崩壊じゃあないかな。まあいずれにしてもマネーを商品にして市場をつくった、という問題は改めて論じたいが、手強いな。金融「商品」にはイノベーションがあります。そこは僕のタイピングが滑った。商品への対価に変えます。指摘感謝。
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  • 12:11  @betch824 個々の最適化とその合成の誤謬は大きい要因だと思います。(後略)>>90年代のバブルはそうだね。今回のグローバルでのバブル崩壊は?アメリカの信用金融商品「イノベーション」が機能しなくなったのは、最初の設計が間違っていた?またそのリカバリーがアジアで早いのは?  [in reply to betch824]
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  • 17:13  @betch824 @NaohitoOkude サブプライム関連金融商品の設計が一概に間違ってたとは言いづらいと思います。>>ここは知りたいね。今復活しているケインズ流がいいともおもわないけど。投資は合理的に行動していないとおもうのだけどねえ。それを強烈に合理的に計算してるだけ?  [in reply to NaohitoOkude]
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  • 17:16  @betch824 @NaohitoOkude (前略)アジアが早いのはデカップリングがやはり正しいのではという見方があります。>>なるほど。アジアの国の貯蓄の多さは?アメリカはクレジットでものを買いすぎているからだめ?ヨーロッパの銀行の腰砕けは?面白い話題になってきた。  [in reply to NaohitoOkude]
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  • 19:02  @betch824 さんのTweetsをふたつRTしました。サブプライムの仕組みの合理性は理解。で、その基盤になる格付け会社がいい加減だと言うことですよね。でも格付けはいつもいい加減なのではないか?戦略が正しくで戦術の実行で失敗したたとき、悪いのは実行できない戦略を立てた方では?
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  • 19:12  @betch824 アジアの金融の環境>>ここが分からない処なんですよね。ケインズ的に景気刺激策をうっていて、貯蓄も高い。中国ですら高い。でいまのところ効果が出ているように見える。アラブのお金も渦巻いている。一体なにがおこっているのだろう。
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  • 20:47  @betch824 (前略)クルーグマンも言うとおり、生産性は全てではないですが長期的にはすべてといえます。成長率が高いと思われるところは安定的に資金が集まります>>なるほどねえ。だいぶ見えてきた。思い当たるところはいっぱいあるね。
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