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2010年8月28日土曜日

サービスデザインと新しい制度設計

  • Aug 28, 2010
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  • 11:19  サー ビスにおける「制度設計」が今後非常に大切になるね。まったくなっていない。オブジェクト指向でサービスフローを作らないからいけない。手続き的にフロー を組み立て、妙なグローバル変数を勝手に作ると細部が動かなくなる。シンガポールで公共料金の設定をちょっと変えて、全員が不満足。
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  • 11:21  病 院を含め多くの20世紀制度はコンピュータ言語で言うところの手続き型。グローバル変数の決め方が難しいし、まあきめ細かなことを考えるという態度が「グ ローバル」じゃないからどうにもならない。しかし、人間の行動を観察すると、抽象的でおおきく、合理的な仕組みを前提に行動をしていない。
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  • 11:22  と いって、行き当たりばったりに処理をおこなっているわけでもない。なので銀行や郵便局や鉄道を含める交通のシステムは人間のちょっとした工夫で成り立って きた。ところがその人間部分を外してそのままコンピュータシステムに移してもシステム側の作業は効率化されるが人間の部分が残される。
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  • 11:24  大 規模システムの問題はほとんどここだ。機械システムは設計図どおりには動かない。据え付けて、神業エンジニアが摺り合わせて動く。神業エンジニアの部分ま で設計が進出するか、人間を神様にしないレベルで導入して緩いシステムで統合させるか、ここが戦略。システムか人間かの選択ではない。
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  • 11:28  シ ステムが未熟で人間を神様にして統合してきたのが零戦であり戦艦大和だ。またそうして神業で作ったものを大事にして人間を重要視してこなかったのも日本 だ。飛行機の方がパイロットより大事。なので、優秀なパイロットを一気に失ったあとは、戦闘能力なし。人命軽視は坂井三郎氏の手記でも明らか。
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  • 11:29  こ れって、追いつけ追い越せの思想だよね。西洋の機械だけをみて性能で追い越そうとする。でもそこにある人間が見えない。技を重要視しない。実はアジア中の 指向形式だ。台湾も中国もシンガポールも同じ。「追いついた」と思ってもそこには人間や文化はない。で、アメリカはどう考えたか。
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  • 11:31  誰 でも簡単に作れる飛行機を考えた。部品をあつめて強力なエンジンを積んでとばす。粗雑な部品だから重い。その分エンジンを強力にする。PCの考え方と同じ だ。そして、それを操縦するパイロットの価値を維持する。つまり落とされてもパイロットを「回収」できるように、死なないようにした。
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  • 11:33  人 間と機械の組み合わせである。戦後の自動車も同じだ。だがオイルショックで強力なエンジンというパラメータが機能しなくなる。ガソリン代がかかり始めたの だ。でデトロイトは衰退に向かう。まあこの問題はこれとして、システムと人間の関係の考え方だ。さて、サービスに話を進めよう。
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  • 11:35  戦 争に負けたとき、エンジンが非力だったと考えた若手の参謀はエンジン研究に、レーダーが非力だったからと思ったものは通信産業に、コンピュータがなかった ためだとおもったものはコンピュータ産業で働くようになった。富士通の前会長の山本氏はその一人だ。彼は銀行のオンラインを実質上実行した。
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  • 11:37  銀 行のオンライン、そして病院レセプトシステムのオンライン、などは大規模システムを人間の日常的情報処理業務に投入した仕事で、大変な快挙である。だが、 それは大規模で矛盾のないシステムを構築するという非常に手間暇かかる作業であった。だが、このようなシステムの導入などで成功をする。
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  • 11:39  1980 年代になって、SUNなどワークステーションが登場する。やがてパソコンも登場する。当時の日本のコンピュータ技術からするとアメリカで登場してきたこの ようなシステムはおもちゃの様なものだ。だが、アメリカはいままで機械をうごかすスイッチの固まりに過ぎなかった仕組みを切り出した。
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  • 11:41  こ れを「ソフトウェア」と呼び、知財として固め、日本の「ソフトウェア」産業を知財を犯していると裁判で徹底してたたいた。日本もソフトウェアの優秀なエン ジニアを多く抱えていたが、彼らを十分遇していたわけでもなく、あっというまに外堀を埋められた。まあ第二の「敗戦」である。それから30年。
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  • 11:42  NEC がインテルに訴えられたときに弁護を僕のアメリカの友人が担当した。日本とアメリカを行き来しておこなったのだが、日本人のエンジニアは「僕が作った」と 法廷で言えない。「ええと、彼と彼と相談してみんなで作りました」って言うという。良い奴だなと僕は思うが、これでは勝てない。
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  • 11:44  ま あ法廷での答え方などを指導して裁判に備えた。当時アメリカの弁護士は日本で活動できなくて、アメリカはこれも日本をプッシュしていた。でこの準備はアメ リカ大使館内で行われた。(ねじれてるけどね)最終的にはNECが勝った。そりゃそうだ。インテルのまねなんかしてない。日本は進んでいた。
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  • 11:45  でも裁判に勝った頃には時代は16ビット。日本には優秀な「OS」がいっぱいあったが、これもまあMSとかのくずのようなOSに淘汰された。工場の制御や自動車の制御など大変なレベルになっていたのだけれど、それが「ソフトウェア」であるという意識がなかったからね。
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  • 11:47  ソ フトウェアを特許にという試みも敗れた。電電公社は解体を強烈に迫られた。研究所がなんたって「世界一」だったからね。当時交渉の矢面の課長補佐だった人 は「せめて光ファイバー敷設を終えてから民営化したかった」と述べた。さらにプラザ合意で追い打ちをかけられて日本の産業的優位は終了した。
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  • 11:49  ふりかえってみて、僕はこれも歴史の流れかと思う。所詮、追いかけて追いついて少しくらい抜いたって、まねはまね。本気を出されると一発でふっとぶ。それにそもそもアメリカの市場にものを売る話だから、勝ち負け以前の問題の気もする。アメリカは自動車などの産業を捨てた。
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  • 11:51  い まみてみるとMS,Apple, Googleなどなどアメリカの中心になる企業は30年前と全く違っている。日本は同じだ。同じ会社、たとえばGEなどはやっていることが大分昔とは違 う。ではこのまま行くのか。アメリカはそう思っていたかもしれない。アメリカ帝国なんて言葉もあった。
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  • 11:54  だ が、歴史の流れはねじれて動く。日本に対抗するためにつくりあげた「ソフトウェア」が独自に展開した。だれでもソフトウェアを作ることが出来る。それをつ かって簡単にビジネスができる。国家や大規模資本はいらない。世界は緩くなり、カジュアルな方法が普及した。工場すらカジュアルに作れる。
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  • 12:00  資 本主義は第3の段階に入った。アメリカの市場に物を売っていたのが第2の段階だ。そのまえは植民地に物を売っていた。勃興する新興市場にどのような物や サービスを売るのか。新しい交通システムさらには都市システム、医療システムが必要となっている。また、いま必要なシステムは実は先進国も必要。
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  • 12:02  よ うするに、時代は大きく変わっているのだ。ものを作る時代もおわり、大規模システムを売る時代も終わった。クラウドとWebアプリでサービスを構築する時 代だ。それを必要とする社会、それが生み出す社会システムなどは全く違う物になるはずだ。そしてそれがサービスデザインの本質になる。
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  • 12:05  医 療サービスにおけるセキュリティ問題は世界中を悩ませている。だが、それは病院という制度を我々の生活に拡大しようとしているからだ。病院が日常世界に拡 大することが21世紀の医療サービスのソリューションではない。日常の生活と医療を橋渡しする領域がある。こうしたところに次の産業を見たい。
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  • 12:26  リー マンショックで大きく流れは変わった。アジアにおける新しいサービスデザインの問題をどのように解決してみせるか。ここを新しい制度設計に文子目ながら行 えるか?そして、大規模システムではない、クラウドとWebサービスでこれを実装できるか?スマートフォンやi-Padを活用する話だ。
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  • 12:30  サー ビスの中身は、利便性を超えて、感動や喜びが含まれ、信頼、そして精神的な充足までだろう。人が生きて死ぬ。この社会をしっかりと維持する。あたらしい仕 組みを考えると、そんな手応えが感じられる。シンガポールで会った世界的な蛇毒の権威の医師と話していて思ったことである。ここに進むぞ。
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  • 12:32  補 遺:蛇毒が?とおもだろう。パキスタンで洪水が起きたとき、大量の死亡者が出るが、水害で死ぬより蛇やサソリにやられて死ぬ人の数の方が多いという。また シンガポールは大きな病院が二つ。それを軸に病院がネットワークされているが、高齢化をむかえてどのように仕組みを動かすか考慮中という。
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  • 14:57  ア ジア人はすり合わせが出来ないか?そうは思わない。繊細な織物や染色、焼き物の職人がいる地域だ。手の力、素材へのこだわりはある。多くのヨーロッパの ボーンチャイナの染色も現在のアジアで行われている。むしろ工賃が上がって困っているぐらいだ。その繊細さは20世紀産業には転写されなかった。
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  • 15:00  ア ジアの多くの部品工場では大ざっぱな組み立てが行われていた。だが、iPhone4の作りをみて多くの日本のエンジニアは驚いたはずだ。同じレベルだと。 つまり日本のものつくりは零戦と同じでシステムに結びついていない。繊細なものつくりがシステムと結びつくとき、21世紀の産業が始まる。
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  • 15:02  安 く作ることは繊細なものつくりと矛盾しない。贅肉をそぎ起こしたメカニズム、微少な部品が統合されていく、こうした仕組みは価格を下げる。したがって、繊 細で安価なものをつくりそれを通して精神的な経験を提供する分野が出てくるに違いない。そう考えると多くの医療機器は住宅にはいると暴力的だ。
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  •  補遺
  • Sat, Aug 28
  • 11:42  稲 見さんがTwitterで僕が言っている「神様」で誰?という質問。沢山いるのだが、思いつくまま。トヨタ:長谷川龍雄、シャープ:佐々木正、日産:桜井 眞一郎、ホンダ:中村良夫、ソニー:木原信敏、松下:水野博之、戦前の東芝:西堀栄三郎などなど。西堀氏を除いて、当時の「ぼろ会社」に就職。
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