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2011年1月6日木曜日

Kuniavsky に学ぶデザイン思考の実践

  •  Wed, Jan 05
  •  Kuniavsky に学ぶデザイン思考の実践
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  • 09:13  Kuniavsky Observing the User Experience(2003)を読む
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  • (1)少し古い本だしWebデザインが中心なのだが、観察とインタラクションデザインの問題を考えるときにこの本はやはり欠かせない。彼が関わった実話、昔PointCastが王様の時代。
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  • 09:06  (2)彼はPointCast打倒を目指して様々な機能をもったアプリケーションを開発するチームにいた。この新しいメディアと未来の社会はどう関わるかなど大きなビジョンを元に時間をかけてソフトウェアを作り上げた。複雑な仕組みになったがどうにかサービス直前まで行った。そして幹部プレゼン。
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  • 09:05  (3)利用者は誰か?どうやって使うのか?上手く答えられなかった。そこでユーザーを呼んで使ってもらった。結果は散々だった。このソフトで何をするのかを理解したユーザーはいなかった。結局プロジェクトは中止となった。顧客は誰か、顧客のニーズ、顧客の欲望、顧客の能力を考えていなかった。
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  • 09:03  (4)開発チームはプログラムの出来とかヴィジュアルデザインのかっこよさしか気にしていなかった。これは彼の経験であり、また多くの開発において未だに解決できていない問題だ。この本は顧客の経験を探し出すための道具を提供することが目的である。
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  • 09:08  (5)ユーザビリティテストは「今」行う。詳細なテストは開発プロセスの終わりの方で行うが、何か思いついたら友達や家族に話をする。彼はこれをA Micro-Usability Testと呼んでいる。誰が利用者でどのような目的を達成するのかを明らかにする。
  • 09:09  (6)次にゴール達成までの作業と手順(タスクと呼ぶ)を決める。話を聞いてくれる人を探す。そして彼らがどのようにタスクを実行するかを観察する。これが第一歩だ。Webなら簡単なプログラムを作る。ユビキタスコンピューティングは(小林茂さんが行っているように)ハードウェアスケッチで行う。
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  • 09:11  (7)デザイン思考は、この段階のスケッチングが最終目的であり、この段階でのユーザビリティテストが最終結果だと考えている人が多いが、実はここは準備段階である。このあたりで何を作ればいいか見当を付けて次の段階に入る。
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  • 09:14  (8)反復的開発を行ってニーズを調整する。(第3章)ユーザー経験をしっかりとデザインするためには機能性、効率性、思わず使いたくなる魅力(Desirability)の3つをバランスさせなくてはいけない。広告主からすればトラフィックが増えてブランドの認知度が高まればいい。
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  • 09:16  (8)だが会社としては利益が出なくてはいけない。利益が出るためには先に挙げた3つのニーズがバランスよく組み込まれていなくてはいけない。そのためには開発の方法を工夫する必要がある。一直線に開発するウォーターフォール型ではなく、渦巻き状の反復開発プロセスを導入しなくてはいけない。
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  • 09:19  (9)Kuniavskyの優れているところは反復型開発プロセスを導入すると言い放つのではなくて、具体的にどのように反復していくのかを示しているところにある。渦巻きの輪は検討(Examination)、定義(Definition)、創造(Creation)である。8回反復する。
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  • 09:23  (10)Cycle 1:検討はcontextual inquiryで。これは僕(奥出)の本『デザイン思考の道具箱』で詳細を説明してある。定義:調査した顧客のライフスタイルにあう定義を考える。創造:製品がどのようなものになるかを記述する。作ることが出来るかも検討する。さらにどのような市場があるかも考える。
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  • 09:29  (11)Cycle2:検討:フォーカスグループを作り、スケッチを見せて意見を聞く。定義:コアアイデアを固めて、セキュリティや動作のスピードなどの仕様も決める。創造:フォーカスグループの意見を反映してスケッチを作り直す。
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  • 09:31  (12)Cycle3:検討:インフォーマルなUsability Testingを行う。また想定顧客のマーケティング調査も始める。定義と創造:ゴールを明確にしてシステムの仕様を決定する。
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  • 09:35  (13)Cycle4:検討:もう一度別のフォーカスグループにスケッチを持っていって意見を聞く。定義:両方のフォーカスグループが満足するサービスの定義を考える。創造:いままでのスケッチを参考に簡単なプロトタイプを作る。
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  • 09:38  (14)Cycle5,6,7: プロトタイプを何度も作り、作る度にフォーカスグループに持っていって意見を聞く。そしてCycle8 リリースとなる。こう書くと当たり前のプロセスに見えるが、実際に本格的な開発をするためにはこのプロセスをしっかりと通っているかを確認する必要がある。
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  • 09:40  KMDのリアルプロジェクトは2年掛けてデザインしていけばいいのでこのプロセスをしっかりと実行することが可能だ。ポイントは作っては人に見せて説明し使ってもらい、作り直してはまた見せる。作るものが無いときの民族誌調査だけがフィールドワークではなくて、反復過程のなかで何度も行う。
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  • 09:43  僕はコンサルタントとして商業的なプロダクトやサービスの開発をお手伝いすることが多いが、このようなサイクルを通常の開発プロセスとして社内に持っているところは皆無と言っていい。通常開発期間も短いしスタッフも少なすぎる。これではイノベーションは難しい。調査して作ってまた調査する。
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  • 09:47  いま民族誌調査をおこない商品開発をおこなっている人たちはKuniavskyの8つのサイクルを自分のプロジェクトに当てはめてみると良い。必要な作業がほとんどなされていないことが解るだろう。当たり前のことが出来ていない。これは自戒を込めた彼からのメッセージである。(この項完)
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