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2010年12月31日金曜日

新しいリアリティ/新しいメディア:VRと3Dインターネット放送

  • Thu, Dec 30 

  • 10:09  先日10年くらいまえの奥出研究室卒業生と日吉でしこたま飲んだが、研究室では当時大型のVRインタラクションをいくつも作っていて、彼らはOpenGLとC++を駆使するプログラマーになったり、新しいレンダリングのツールを開発するベンチャーを始めたりしている。
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  • 10:11  AndroidやiPhoneアプリケーションは実はこの技術の延長線上にある。最近Webまわりのプログラミングが普及していて、こうした本格派のプログラミングはちょっと勢いが無かったが、ブラウザーからアプリケーションへと市場が移ってきているのでハイエンドプログラミングの世界が戻る。
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  • 10:15  当時はVRアプリケーションを作るのに何億円もかかった。だいたい高性能グラフィックコンピュータが一台1億円以上した。それを何台も使う。当時の作品でいまでも動いているのは凸版本社にあるシスティナ礼拝堂だ。これは故若桑みどりさんと僕がプロデュースして作った。いまでも感動的作品。
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  • 11:28  凸版のシスティナ礼拝堂の感動はVRによってのみ語ることができる物語にある。それがあるから信仰のある人であれば涙が出る。美術を愛する人であればミケランジェロを思い胸に迫る。VR技術のみが可能にする世界だ。だが、ここからが難しい。技術を高めればより感動すると勘違いするのだ。
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  • 11:31  両方が必要。10年くらい前の技術でつくったシスティナ礼拝堂はそろそろ新しい技術で作り直した方がいい。だがいまあるVRやその展開になるARは感動させる物語があるだろうか。開発をするときに物語をつくるところにしっかり人と予算を配分しているだろうか?
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  • 11:34  いま再びアプリケーションの時代になりつつある。iPhoneやAndroidにアプリケーションを提供して、しっかりとした物語を語ることができればPCとWebから成立しているいまの状況とは全く違う世界が開けてくるはずである。
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  • 11:35  2011年は僕のプロジェクトでも久しぶりに本格的ハイエンドアプリケーション開発をやってみよう。10年前に5億円かかった世界が5万円くらいになっているのは本当にびっくりである。7〜8年前に3次元処理チップを携帯電話に売り込もうとしているベンチャーがいくつもあったな。
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  • 11:40  物語を生み出しハイエンドのアプリケーションをプログラムして人々に手渡す。クラウドコンピューティングとユビキタスコンピューティングといまや手のひらにはいる高性能マルチメディア端末。なんだか20年前に初めてSGIのグラフィックコンピュータと見たとき以来の興奮だ。
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  • Fri, Dec 31 

  • 18:51  KMDにてベートーベン全交響曲連続演奏会2010をみた。同時にHD 3D、Ustream、24bit 96kHz音響、H.264 などいろいろ。PCでうけて3Dテレビに出すと3Dになるそうだ。3Dはあまり期待していなかったが凄い。
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  • 18:56  指揮者の視線で演奏者を見る。演奏者の視点で指揮者を見る。この緊張関係が楽しい。大画面の左下にマゼール氏がくる時が一番感動した。楽譜を見る視点がわかり、また演奏者を見てコミュニケーションをする視点もみる。これは今までオーケストラの楽しみにはなかった。
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  • 18:59  映 像で似たようなカットはあるが、こちらのの視点が引き込まれるような感じはない。ヒッチコックがクレーンをつかって組み立てた有名なシーンがある。カメラ が3次元移動をする。映像が3Dだと、また違う効果が出る。3カメできりかえて、ロングショットになると普通。だがクローズアップは異質。
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  • 19:01  凸 版のシスティナ礼拝堂のVRは教皇の視点とミケランジェロがフレスコ画を足場をつかって描いた視点が物語として入れてある。つまりVRでないと経験できな いのだ。それと同じで、普通では鑑賞できないことが可能になっている。3Dならではのシネマトロジーの可能性があるね。身体性も全く違う。
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  • 19:03  歌 舞伎や能、オペラ、ジャズ、など舞台の上でインタラクションが行われているパフォーマンスを鑑賞する位置が変わってくる。まあシェイクスピアの時代だって 舞台と客席の関係はなかった。舞台が固定されてパフォーマンスを凝視するのはワーグナーのオペラ以降だ。それを映画が踏襲した。
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  • 19:06  3D シネマトロジーは確立するな。だけどここにしっかりと時間と予算と人をさくことをしないとね。技術では1回しか人を引きつけることは出来ない。3次元空間 が与えてくれる可能性を表現に結びつけなくてはいけない。3Dシネマプロジェクトはここを避けて通ることは出来ない。
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  • 19:24  3D は目が疲れて頭が痛くなる。10年前はそれが大問題だった。いまでも結構厳しいね。飛行機のパイロットの試験は3次元空間の中で自分の位置を把握できる か。空母に着陸するには空母の3次元的な動きと飛行機の3次元の動きの両方の把握が必要。さらに出来る人間は少なくなる。
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  • 19:29  も ともとOpenGLの元を開発したSGIの創設者ジム・クラークはジェット機のパイロットだ。3次元空間を移動するメタファーは彼にとっては身体的なもの であった。だが我々は地面に足をつけて2次元で生きている。普通の身体能力だったアラン・ケイが抽象度の高いコンピュータを考えたのも分かる。
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