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2010年9月22日水曜日

デザイン思考と経営戦略 新しいモダニズムへの道

  • Tue, Sep 21
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  • 07:56  今日は10時から中野坂上K社月例相談会。あと、前から頼まれている新しいコンサルティングの打ち合わせもできれば。デザインのクライアントが製造業から情報産業に移っている。だがやることは同じ。人間はマテリアルのない世界で生きていくことは難しい。この感覚が分かってくれるといいな。
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  • 07:57  今日はデザインオフィスの設計の売り込み方法を考える。クライアントはS。日本ではない。あともうひとつ。内容も内緒だけどクライアントはT。これも日本の会社ではない。少しずつクライアントも多極化。
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  • 08:02  デザイン思考って1980年代からの産業構造の変化に直接関係している。1970年代日本が高品質で安い物を高性能の工場で大量生産してアメリカ市場に送り込んだ。日本は高度成長を謳歌したが、アメリカは大変なことに。そこでMITの若手研究者を集めて日本に送り込んで調査させた。
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  • 08:05  そのときに、高性能工場の仕組みを分解して制御部分を取り出してそれを「ソフトウェア」とよんだ。若き日のクスマノたちの仕事。このあたりは面白い裏話がすでに公開されているのでいつか紹介。そのソフトウェアを知財にすることを思いつき、製造業から情報産業へと一気に産業構造をシフトさせた。
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  • 08:07  この話は何回かこのTwitterでも言及した。80年代から情報産業へとシフトして、いまはアップル、マイクロソフト、グーグル、と大企業は情報産業。GMもついに失速した。製造業と言っても大量生産の工場のことだ。この工場もソフトウェア化して、世界のどこで作っても同じ品質になった。
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  • 08:08  プロダクトをデザインしても価値が生まれない時代になったのだ。1980年代からのポストモダニズムはこのことを直観したデザイナーによるモダンデザイン終焉の宣言だった。モノのデザインの必要がなくなった訳ではない。人はよいデザインの物をもとめている。だがそこには価値がつかない。
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  • 08:12  ポストモダンデザインはその奇抜さで、お金持ちの物好きに少しは売れた。これをデザインの時代と勘違いしたのがバブル期のデザイン。そして、1990年からの10年間はデザインに価値をつけないミニマリズムがデザインとされた。だがどれもデザインが必要な現場にデザインを持ち込んでいない。
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  • 08:38  1990年代はブランディングの時代でもある。デザインの才能はグラフィックデザインに投入された。コマーシャルを含む商業デザインに多くの傑作が生まれている。だが、産業の基幹である自動車や家電の世界はその領域を製造業から変えないまま現代に至る。この産業でデザイナーといえばプロダクトだ。
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  • 08:40  9割以上がプロダクトデザイナーの会社で付加価値の付かないモノのデザインを行っている。デザインが悪いとお話にはならないが付加価値が付かない。つまりデザインはコモディティ化しているのだ。ポストモダンのデザインによる付加価値も一般的な話ではない。
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  • 08:42  デザインをゼロにするか(ユニクロ)細小にするか(ムジルシ)して、高品質低価格がいまのところの解決策だ。情報領域での付加価値をつけるためのデザインはアップルなどが行っているが、日本の製造業はまったくだ。多機能で使いにくいというのはまさにデザインが解決する絶好の問題である。
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  • 08:44  だが、ここを責任を持って担当するデザイナーはいない。別の会社に発注している。だいたい、「発注」された段階で引き受ける企業にはデザインをする余地はない。仕様書にしたがって作るだけである。デザインがなくても気にならない顧客が一定数いる。そこに向けてのビジネスでどうにか乗り切ってきた。
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  • 08:54  インタラクションデザインや埋め込みのプログラミングの製造業における地位は恐ろしく低い。ここをかえるのがデザイン思考の経営戦略的な役割なのである。顧客に提供するもの、つまりはオファリングにおいて、顧客が満足する経験を提供するにはどうすればいいのか、ここが議論の焦点になる必要がある。
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  • 08:57  付加価値とはプロフィットであり、顧客になんらかのオファリングをした人なり企業なりが受け取る報酬である。原材料はコモディティである。それをどのように加工して顧客に満足を与えるか、これがデザインの挑戦だ。物を所有すること顧客が満足する時代にはプロダクトデザインに価値がある。
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  • 09:00  だが、使うことに価値があるときには別の領域をデザインしなくてはいけない。その意味で日本の携帯のソフトウェアは使ってもらったときの価値を追求している。またニコニコ動画や2ちゃんなども使ったときに価値が生まれている。こうした活動をいかにして産業に組み込んでいくかが大切なのだ。
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  • 13:38  KMD参上。さきほどK社との打ち合わせ。製品の再デザインをおこなうことに。将来の経営戦略を見据えて、具体的なデザインに反映させたい。電子回路から素材からどこまでまとめられるかに挑戦。新しいモダニズムをもとめて。
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1 件のコメント:

  1. Werner Heisenberg (1901-1976)は、量子力学の世界では、人が観察する事によって観察された対象が影響を受けて変化してしまう事を発見しました。詰まり宇宙は無機質に固定されてはおらず、生きて絶えず拍動しているとユウ事です。日本人はこれを龍安寺の石庭でデザインしました。見る人間に依って対象の見せる姿が変わってしまうのです。シンプルな中に『生きた流れ』が感じられるデザインが究極のデザインなのでしょうか?
    大家の奥出直人先生に生意気な事を申し上げました。

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