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2010年9月28日火曜日

公共性とオイコスとアメリカ型資本主義のこれから

    Mon, Sep 27
  • 11:52  僕はあんまり景気とか経済の先行きといったことを気にする方ではない。日本のGDPが低くても経済的な指標が悪くても現状とちょっと先をみて判断をしている。で、その現状はこのところ悪くない。日本のビジネスにおける現状はそんなに悪くないと思う。だが、黒雲がアメリカから来そう。
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  • 11:55  最近、いろいろなニュースを見ているとアメリカがくしゃみどころか年内に肺炎になるかもしれないという予測がちらほら。リーマンショック後の底がもう一度年内に割れるかもしれないと。そうなると、本当に世界の情勢は変わってしまうだろうね。混乱の中を前に進むしかないな。日本はそのとき悪くなる?
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  • 11:58  アメリカ的体制をとっているところは厳しいだろうな。イノベーションを行わない安定した経営をする会社組織と未来の約束手形をもっている労働組合、これって、実はアメリカの戦後システムそのものだ。GMの崩壊もそのツケを払っている。この仕組みが「正義」とされて来たのだ。この仕組みが崩壊。
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  • 12:00  アメリカの思想の中ではフリードマンのように個人の能力を評価して、弱者をたたきつぶす強欲な資本主義って実は結構例外的。もちろん建国の時からジェファーソンとハミルトンの対立はあったけど、みんなに豊かな暮らしを与えるというモダニズムがアメリカの思想の根っこにはある。今回も同じだ。
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  • 12:03  今回の悲劇はみんなに住宅を与えよう、というルーズベルトが始めた住宅ローンの仕組みを住宅を所有できない人たちにまで拡大する仕組みをフリードマン的強欲資本主義をお勉強したビジネススクールのお利口さんが利用した所にある。そしてあり得ない額の不良債権が生まれた。
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  • 12:04  ここ30年、アメリカで住宅市場が拡大してきた。重厚長大の時代ではないと半導体やソフトウェアビジネスを模索していた大手のトラクターメーカーに勤めている友人がここ20年来、あうと小型の機械がアメリカで売れて売れてという。なぜだろう?というわけだ。住宅を一杯造っていた。
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  • 12:06  そもそも住宅を購入できない層に住宅ローンで持ち家を持たせて、プチブルジョワジーにして共産主義の驚異を防ぐというとんでもない仕組みでうまれた住宅ローンで多くの人たちは住宅を私有することが出来た。この夢が戦後の経済体制を支えたのだ。このあたり拙著『アメリカンホームの文化史』に詳しい。
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  • 12:08  その住宅に家電を自家用車を売り込んで日本の経済は復興し、日本人も自分の夢を叶えていった。ところがアメリカにはその夢が叶わない層がいた。それは日本も同じだろう。その層に、アメリカの夢を売り込む方法を考えたお利口さんがいた。そこが破綻した。アメリカの夢は二度目は正夢にはならなかった。
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  • 12:16  初期資本主義においては機能した公共とプライベート空間(オイコス)の分離が政府あるいは権力者によるオイコスの侵略で壊れていく。そのことに気がつかずにいままで来たわけである。だが、財産ももたず、文明を自慢せず(西洋的教養をひけらかせず)、その日暮らしをしていて何が悪いのだろうか?
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  • 12:19  このような状態は理想であるが、理性を持った人間はこの楽園から追放されたとジャン・ジャック・ルソーは考えて、理性をもった人間と国家が社会契約を結ぶ必要があると考えた。そのためにひつようなのが「一般意志」である。一般意志は法律となり、個々人を縛り国家が生まれる。
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  • 12:23  で、めんどくさいのは、自然な状態を楽園として、そこにもどるべく押し込められていたプライベート領域を解放するというこころみがフランス革命においてもロシアの革命の初期においても行われた。ここからはアーレントの理論の借用だが、理性を偽善として仮面をはぐのが革命というわけだ。
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  • 12:25  ところが理性を取り払った後に残るのは動物だ。暴力、支配、物欲、性欲がむき出しになる。(エソロジーの立場からすれば、動物にとっては迷惑な「動物論」だが)。こうしたことは「私的領域」に治めておくべき事だ。アーレントは人間に仮面をかぶることを勧める。ペルソナだ。
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  • 12:29  ペルソナをまとった人間が演技をする。公衆を意識して行動することが人格なのだ。匿名のおしゃべりがつながったところで公共性は生まれない。自分の正体を公衆の前に晒して、自分の発言に責任をもつ。そのときに良き市民として本音をみせずに演技をする。民主主義が理念ではなく実体になる瞬間だ。
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  • 12:32  インターネットによる公共圏の創出は政治学者が最近論じている非常に大きなテーマだ。それはまた新しいプライベート領域、あたらしいオイコスの実現にもつながるはずなのだ。その日暮らしで財産も持たずに生きる人が充実した人生を送ることが出来る社会はくるのか?ここが21世紀の挑戦だ。
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  • 12:34  シュンペーターが「資本主義、社会主義そして民主主義」を記した20世紀の時代とは大きく変わってきている。資本主義がアジアで新しく生まれている。民主主義がインターネットのおかげで現実のものになる可能性がある。するとこの二つを調整する役割は社会主義(20世紀には失敗に終わる)ではない。
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  • 12:39  社会主義とは全体主義であるが、アメリカ的産業構造、GMとUAWが生み出した帝国も社会主義のようなものだ。社会主義の正義もなければ、アメリカ帝国の正義もない。ではどこに進めばいいのか。オイコスをどうデザインするかの問題はこの問題をを含んでいる。確かなのは僕たちは動物じゃないことだ。
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  • 12:45  21世紀に向けてのオイコスの再デザイン。空間や家具だけではないだろう。台所や寝室やバスルームのデザインは人間関係のデザインにつながる。レストランやカフェのデザインもあたらしいオイコスの問題だ。そして在宅医療が進めば生と死、さらにはスピリチュアルな世界が顔をのぞかせる。
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