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2010年9月15日水曜日

デザイン思考とマネージメント

  • Tue, Sep 14 

  • 09:44  デザイン思考とマネージメント:
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  • デザイン思考はエンジニアリングとデザインを融合する方法として有効なのだが、もう一つコラボレーションの方法として突出している。ここを学ばないとデザイン思考を学んだことにはならないし、デザインとエンジニアリングとビジネスが一つのものとして融合しない。
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  • 09:45  このことについては僕は『会議力』(なんで会議力というタイトルなのかは編集者の都合だが)で書いたし、『デザイン思考の道具箱』さらにThink!という雑誌の2007年夏号に詳細も書いた。だが、ここを理解する人は少ない。デザインやエンジニアリングができる人は自分がやった方がいいと思う。
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  • 09:47  コラボレーションあるいはマルチディシプリナリーアプローチの本当のすごさを理解せずにデザイン思考を学んだとは言えない。このことを説得する面白い話を現象学者の木田元が『日経新聞』の私の履歴書で行っている。木田氏は海軍兵学校をでて、戦後、東北大学で哲学を学ぶ。
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  • 09:51  彼の自伝的なエッセイには何度も出てくる話なのだが、今回はメディアが『日経新聞』ということでちょっと波紋を呼んでいる。そのタイトルは「寿命は成績順」、である。成績順に配属先が決まる。記事によると、成績上位に空母や戦艦という大型の艦船から、駆逐艦と振り分けられた。
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  • 09:53  そして成績下位者は特攻兵器「回天」など特殊潜航艇も含む小型の船舶にと振り分けられた。木田氏の別の本では最優秀成績者は陸上で戦略担当。成績の悪い順番に危険なところに配属される。これは日本の軍組織の特徴だが、イギリスの海軍も同じような組織だ。将校もこんな具合で、兵隊はもっと悲惨。
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  • 10:02  こうした組織が意味を持った時代があった。合理的な意思決定を行い、それに従って歯車として人間を動かしていく。そこで最大の能力が発揮される。だが、このような組織は小集団で協力な武器をもって戦う方法、つまり航空機中心の時代には機能しなくなる。またこれは技術問題だけではない。
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  • 10:04  北極点到達競争をしたとき、スコット隊とシャクルトン隊が競っていた。スコットはイギリス海軍方式の鉄の階級構造。シャクルトンはスモールグループ方式。シャクルトンはメンバーの命が危なくなって断念。スコットは強行して、北極点到達するも全員死亡。どちらが指導者として正しいか?
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  • 10:06  これも時代の価値観だろう。国家の威信をかけた冒険を実行した英雄なのか、無駄に人を死なせた無能の指揮官なのか。時代が人間を大事にする価値観をもち、技術の進歩が小集団での実行力が大規模組織を上回る、という状況になり、さらにはその二つが組み合わさったとき、どうなるか?最強組織誕生だ。
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  • 10:10  日本軍の組織的欠陥を指摘した『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を著した野中郁次郎が『アメリカ海兵隊』という本を出しているのも、大規模エリート組織と小集団民主主義的組織の能力差を意識したからだろう。小集団コラボレーションを適切なテクノロジーを使って行うと強烈な実力が出る。
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  • 10:14  そうしたマネージメントの方法としてシャクルトンが注目されていたが、この分野は実は一つの結構確立した学問分野なのだ。組織行動学(Organizational Behavior)という。日本ではあまり活発ではない分野である。金井 寿宏氏などが活躍しているが精神論で技術との連携はない。
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  • 10:18  ベンチャーを起こそう、あるいは大学発でビジネスをしようと体制を組んだとする。Googleの起業をした二人組はPh.Dを持っていないから、大学とは関係ないんだと述べている無邪気な人が多いが、スタンフォード大学はあらゆる側面からこの起業を支援している。これはアカデミズムの力なのだ。
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  • 10:20  起業支援はもちろんテクノロジーが大事だ。そして資本も必要。日本の起業支援はこのセットに弁護士と会計担当者。テクノロジーと資本がなくて知財と経理とやる気というかやまっけという大学発ベンチャー支援組織がほとんどだな。でもスタンフォードの体制をみていると感心する。
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  • 10:24  いま評判のTina L. SeeligはStanford Technology Ventures Programで教えている。http://stvp.stanford.edu/ がURLだ。ハイテクで起業をする学生を支援する。ここでは技術と資本と組織行動学が3本の柱。
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  • 10:27  名著『実行力不全』などを書いているRobert I. Suttonが教員として参加していろいろな人と一緒にさまざまな授業を展開している。組織行動学は一言で言えば、行動が実践される現場でのリーダシップを教える学問。ここが日本では定着しない。
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  • 10:29  ものつくりなんて「大工」にまかせておけばいいとのたまうビジネススクールの学生が日本では普通だろう。まあアメリカも最近までそうだった。だが実践の場で鍛えられていない人間に組織の命運を握るリーダーは任せられない、という視点から学生を鍛えて、起業したばかりのベンチャーに卒業生を送る。
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  • 10:31  ビジネスモデルってこの実践の現場からしか生まれてこないはずだ。だが、日本の組織はここを大事にしてこなかった。数年前に僕の研究室で発想も技術も突出した学生いた。この学生の修士発表のとき、日本の大企業のエンジニアからアカデミズムに戻りSFCの教員をしている若手の研究者が手を挙げた。
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  • 10:32  「君はどこに就職するの?君みたいな学生はS,M,T,Hなどの会社に行くとすぐに子会社出向だよ。考えて作り作って考える人を拒絶するのが日本の会社だから」と述べた。その学生は「就職活動でそのことをしりました。なので#社(イニシャルもやめておこう)に行きます」と述べた。
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  • 10:35  これは日本だけではない。『実行力不全』には多くアメリカの会社が例として出てくる。いずれにしても、小集団で現場のプラクティスで成果を上げて、先にすすんでいく。いまの社会情勢でこの活動を評価できない組織は生き残れない。だが、いま日本で小集団を率いる卓越したリーダーの数が不足している。
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  • 10:39  数学と知識で選抜されたエリートが大規模組織をうごかした時代は終わっている。駆逐艦や特殊潜航艇で、というか飛行機で戦艦を破壊できる。「除隊」して仲間と編隊を組んで、好きな方向に飛び立っていけばいいのだ。そうした小集団のリーダ達を鍛える仕事は、21世紀の大学の大切な任務である。
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  • 10:41  おまけ:ちなみに第二次世界大戦時の航空機に相当するのがインターネットである。戦艦はメインフレーム。なので勝負はもうついている。だが、組織や人材育成の方法がまだまだ。これも日本軍と似ているね。飛行機の技術に拘泥してその技術にふさわしい組織と人材を作らなかった。
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  • 10:43  KMDで小集団コラボレーションを厳しく言うのは、組織行動学を座学ではなくリアルプロジェクトの実践から学んで欲しいからである。1年生はそろそろプロジェクトが本格化する。2年生は実践の中で勝負をするのが秋学期だ。しっかりとがんばっていこう。(この項、完)
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