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2011年2月10日木曜日

大阪市プロジェクト向けデザイン思考ワークショップ第1回


  • 06:56  新幹線で大阪に移動中。大阪市からKMDに委託されたイノベーション開発プロジェクトでおこなうデザイン思考ワークショップ第1回。売り上げが50億から500億くらいのいわゆる中堅企業数社があつまって、共同でイノベーションに挑戦。このくらいの規模だとグローバルニッチェ企業。来年度4月からが本番。 »»

  • 09:24  慶應堂島リバーサイドキャンパスKMDルーム着。ワークショップ対応に机など再配置。結構楽しいデザイン思考スタジオになりそうだ。来年は16回以上ここでワークショップを行う。 »»

  • 17:10  大阪市のイノベーションヴィレッジ構想のためのワークショップ終了。売り上げが50億から500億近くまでの中核企業の経営者や幹部を中心に行った。国内市場が縮小する中海外市場とくにアジア市場は伸びている。そこに向けてイノベーションを行うには?という共通の問題意識である。 »»

  • 17:12  普通はそこでマーケティング調査となる。アジアの市場を知ろうというわけだ。だが僕の提唱しているデザイン思考では哲学から始まる。自分は何を考えて生きているのか、ということだ。会社を経営して従業員と共に暮らし、家族や友人とすごした日々がある。高度成長を経験してきた自分がいる。 »»

  • 17:16  各自に会社の沿革と現状と自分自身について自己紹介をしてもらう。これからメンバーを組むわけだが、こうした情報を共有していることが非常に大事である。人間は現在ただ単に存在しているわけではなく、過去の経験の蓄積の上に今があるからだ。それがおわって、各自に哲学を考えてもらう。 »»

  • 17:18  哲学といっても難しく考える必要はない。みんなにこにこ仕事をする会社とかそういったものから始めて良いのだ。いくつ考えても良い。大きめのポストイットに書いてもらって、ホワイトボードに貼った。自分の考えを主語述語のある文章にすることがポイントである。それらをはって各自説明する。 »»

  • 17:20  とくに一つの哲学に収束させる必要はない。次はビジョン。ビジョンは「何が欲しい」ということであり、いま欲しいものを考えてもらう。かならずしも哲学と一致する必要はない。ペットとクラス生活における問題とか、現在の生活に対する不満とかそういったものが微妙に反映する。 »»

  • 17:21  おもしろいビジョンがいくつも出た。これもホワイトボードに貼りだして、各自に説明をしてもらった。このあたりまでワークショップがすすむと、各自緊張が解けてきてリラックスしてくる。いろんなアイデアが出てくるようになる。ある人が非常に良いアイデアを立て続けに出す。 »»

  • 17:22  「すごいですねえ、御社ではイノベーション困ってないのでは?」と聞くと、「いやおもっても作れないんですよねえ」と答える。そうなのだ。作れないとイノベーションではない。そこで宿題である。各自が出したビジョンにたいして、どうすれば作れるか、自分の会社の技術などを当てはめてみる。 »»

  • 17:24  5社参加しており、それぞれに優れた技術をもっている。そこで自分の出したビジョンだけではなく、他社の人が出したビジョンにもどうすれば出来るか考えてみる。さらに使い道が無くても関連しそうな技術は列挙してみる。これが「技術の棚卸し」である。ここまでで1時間45分くらいたった。 »»

  • 17:26  大分ビジョンがそろってきた段階で、フィールドワークの候補者を捜す宿題も出した。15をこえるビジョンがあるわけなので、それに相応しいような候補者を捜して、交渉をしてくる。これが実は大変である。調査する人と自分との信頼関係が必要。これをラポールという。 »»

  • 17:29  ルーシー・サッチマンの記念碑的な研究に刺戟されてもう15年以上解釈学的民族誌を基本にしたコンサルティングをしているのだが、僕はデザイナーやエンジニアにこの手法を学ぶことをすすめている。はっきり言うと、ソフトウェアやインタラクションをデザインするための民族誌的調査だけは駄目である。 »»

  • 17:31  それは調査を専門とする人の調査のレベルが低いからではない。逆であり、詳しくて実際にプロトタイプすら作れないからだ。何人もインタラクションデザインの民族誌的調査の専門家と話したが、作る(Make)する人でないとどこか違う。だが作る人は調査をしないで作る。 »»

  • 17:34  なので、実際に作る人に無理矢理解釈学的民族誌を行ってもらう。これが非常に大切なのだ。そのために先ず、だれを調査するのかを探しましょう、という宿題を出した。現象学に基づく解釈学的人類学による調査なので、調査して発見(あるいは「気付き」)をするわけではない。 »»

  • 17:35  その手法については来週説明と言うことでワークショップは終了した。そのあと参加者から質問をもらう。これも必ず質問しなくてはいけない、というルールにしている。5W1Hに関する好奇心をいつも持つことが大切である。なかなか面白い質問が出て答えていて楽しかった。 »»

  • 17:38  イノベーションというとアイデアや閃きが大切だという誤解がある。もちろんアイデアが無ければイノベーションは始まらない。だが、アイデアを作ることは方法を覚えれば比較的簡単である。『アイデアのつくり方』を何度か読めば出来る。 »»

  • 17:40  難しいのはどのような局面に対してアイデアを生み出していくか。そして適切な領域の問題を解決するべくアイデアを生み出していき、それをコンセプトとしてまとめ上げ、それをもとにプロトタイプを作り出す。この作業が非常に難しい。執筆中の『デザイン思考と経営戦略』ではここを論じる。 »»

  • 17:42  来週は現象学をもとにしている解釈学的人類学の手法をもちいてどのように民族誌調査をおこなうかの詳細を説明したい。(この項、完) »»


  • 18:24  ファシリテーターはほどよい調査経験をデザイナーやエンジニアに与える。つまりはプロデューサーです。@tintin_w なんと。確かにつくれる人が調査し解釈する方が実際的かも。とすると、ファシリテートする立場としては… RT @NaohitoOkude: なので、 »»

  • 18:27  @tintin_w あと、デザイナーによるどっぷりな調査は必要ない。本質的と思われるところを観察して、「スイッチを切る」。超越論的還元です。そのあといろいろとTinkeringをしながら問題を深めていく。形相的還元つまりIdeationとなる。ここが肝心かと。  [in reply to tintin_w]  »»

  • 18:56  @tintin_w ユビキタスコンピューティングに関する良書と言えば、何なのでしょうか?>>圧倒的にKuniavsky Smart Things.この本の面白さはhttp://bit.ly/g3vjGUで前に説明したので参考に。先日SFのカフェで彼と話をしたが楽しかった。  [in reply to tintin_w]  »»

  • 19:05  さて大阪から東京に戻り、一息ついたので、夕食までのあいだ、ちょっとジャズのレッスンでもするかな。平日に音楽室にこもれるとは、小さな幸せ。 »»

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