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2011年4月26日火曜日

研究現役復帰実践

  • 06:53  研究現役復帰:Emacsの次はやはり原典講読環境。学問は知の歴史の継承であり複数の領域をまたいでいくことで新しい領域に到達できる。その基本は原典であり、原典をきちんと読むことであるが、まあこれが結構難儀。僕はもともとアメリカ研究から出発しているので英語の原典に当たるのが仕事。

  • 06:55  1990年代は実は英語での思考が非常にアバンギャルドで、ポストモダンのフランスの思想家は実は英語圏で教鞭をとっており、その影響で英語でかなりのことが解った。ドイツもフランクフルト学派は英語での活動が実は盛んで、わりと英語でよかった。日本語と英語の狭間で哲学をしていたわけだ。

  • 06:59  僕の『思考のエンジン』は英語圏でのポストモダン哲学とデジタルメディアが出会ったあたりをさまよって自分で考えたことを書いた本である。そのあと、日本語にはなったが英語になるのが遅れたヴィレム フルッサー『テクノコードの誕生—コミュニケーション学序説 』に出会い、むむとおもった。

  • 07:02  数年前に稲蔭さんとCRESTという政府からの助成での研究を始めて、ユビキタスコンピューティング時代のコンテンツとは何かを考えた。その結果は今振り返ってみるとメディア芸術祭に何点も大学院生の作品が選ばれており、たいしたものだと自負しているが、このときはハイデッガーの哲学を使った。

  • 07:04  だがそれはドレイファスという非常に独創的なハイデガー解釈者のハイデガーであったために原典はドレイファスの本であった。人間の身体の延長として道具がある。その「道具」をつくり道具が創り出す新しい経験をユビキタスコンピューティング時代のコンテンツとしよう、という試みだ。

  • 07:06  ユビキタスコンピューティング技術はさらに進み、問題にするべきはもはや「道具」ではなく、経験そのものになり、経験をしている「身体」そのものが研究の対象になってきた。それは道具と身体のユーザービリティとかエルゴノミクスといった問題ではなくて、身体を動かし経験することが重要になった。

  • 07:08  フランス語圏でも英語圏でも勢いをうしなったポストモダンの思考をさらに展開したのはイタリアの美学者達である。このあたりはすこしまえに大分Tweetsしてblogにまとめた。彼らが頻繁に参照しているのがベンヤミンでありメルローポンティなのだ。

  • 07:10  ベンヤミンはフランクフルト学派と分類されることもあり、英語圏でわりと研究が進んでいる。だがメルロポンティはもう一息だ。道具の現象学から身体の現象学へと哲学を変更し、その哲学にしたがったデザイン論を展開するにはメルローポンティをどうにか読みこなさなくてはいけないなあと思っている。

  • 07:13  メルローポンティは日本語で読める。翻訳もよくできている。だが読み手である僕自身がデザインの方法論として活用しようという態度で接する限り隔靴掻痒の感じはする。まあ人文系社会科学系の研究者は原典に当たるというのが基本なので、参考書は英語だとしてもフランス語の原典を読むことにしよう。

  • 07:16  というわけで辞書を買おうとアマゾンで注文したら入荷まで1ヶ月とかでてきた。フランス語は人気がなくなっているんだねえ。ふとおもって日本橋の丸善へ。Oxford Dictionary Frenchがどんとおいてあったので購入。仏英・英仏セット。ついでにミニ版も。これは辞書選びの基本。簡単な辞書が大事。

  • 07:17  学問は形からということで、万年筆を購入。セーラー万年筆のコーナーがあったので懐かしくて覗いたら、透明ボディのものがあり、気に入って購入。大人なので2万5000円くらいでも買えちゃうのが嬉しいね。学生時代は1000円とかの万年筆。赤のインクも購入。

  • 07:23  ついでにモールスキンの大判のノートも購入。文具を買うのは研究的生活の快楽だね。オシャレな子がブティックでお洋服を買う感じ。で家に戻り、Maurice Merleau-Ponty Phenomenologie de la perceptionを取り出す。

  • 07:27  Gallimardが2005年に新しく出したもので印刷は2010年。勿論原書は1945年。実はこれも大人なのでフランスの古本屋で割と状態の良いフランス綴じの本を入手してある。頁の割り振りが違うみたいだ。このあたりはどの箇所を引用しているか、で大切になるところだけどね。

  • 07:37  さて、形から始めて、いよいよ序章の1:LA SENSATION を読む。おお、いきなり難しいではないか。sentirの使い方が独特。英訳も日本語訳も解説しながら訳しているところだ。条件法接続法が頻出。なるほど。なかなかすっきりとは解らないね。

  • 07:40  お勉強の形にこだわってみたが、昔ながらの方法に加えて、新しいツール紹介。Webのフランス語>>英語辞書を使っている。 http://www.french-linguistics.co.uk/dictionary/ これはとても便利。

  • 07:45  動詞の変化が解らなくてもインプットするともとの動詞を教えてくれると共に、変化形が何かも教えてくれる。僕もそうだが、哲学歴史社会学の研究者は語学力不足からどうしても単語の意味に引っ張られて読んでしまうので、文学の専門家のようなしっかりとした読みができない。そこをちょっと助けてくれるのでこれは重宝する。

  • 07:47  奥出直人のA Sentimental Journeyというblog http://blog.livedoor.jp/naohitookude/ でメルローポンティへの旅が(3)で中断していて、先が読みたいという声があるのですが、しばしお待ちを。このペースで読んでいていつになるか解らないが、原典で読み終わったらね。書きたいことは山ほどあるので夏前には。(完)

Powe

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